バイキ○ト〜!
「あ、そういえばだな」
カカンボは再び軍服を身に着け、妻を振り返った。
「なんですか」
「最初の一話目に家を建てたと書いてあったが、あれはなんだったんだ!?」
うっ、つっこみかよ・・・・・・。
「あははは、あなた、そんなこと気にしちゃだめ! どうせ、あらすじは一切無視の方針なんだから」
それはそれで、いけないような。
「あははは、それもそうだな」
て、おいっ! いいんかい!
「それじゃあ、まずいってくるよ。あ、そうだ。浮気するなよ・・・・・・」
「だいじょうび〜! 世界の中心で愛を叫ぶほど、あなただけ愛してるわ」
こりゃあ、ぜってーウソですな!
しかしやさしいカカンボは、
「そ、そうかい、じゃあ信じるよ」
銃剣を背負って、パリに向かう。
・・・・・・世界の中心て、いったいどこなんだべ?
一方で、マーブルは市街地へお買い物に出かけており、(カエデちゃんのおチュかい)クロードはというと、修道院の尼僧に一目惚れしておった。
偶然その現場を目撃するマーブル。
「クロードめ、やりおるわ」
ところが、その修道女にとてつもない嫌悪感を抱くマーブル!
「にゃにゃにゃ〜!? ぞわぞわぞわ〜」
背筋が寒いにゃんこ。
クロードとベンチに座り、仲良くお弁当を食べている姿は普通・・・・・・なのだが・・・・・・。
「ステキなクロード様。はい、あ〜んして、あ〜ん」
この修道女、なんとなく雰囲気がカエデちゃんに似ているような。
マーブルは陰で二人を見守ることに。
じぃぃぃ・・・・・・っと建物に隠れて監視。
あんたはストーカーか・・・・・・。
「キアラは俺のママにそっくりだよぉ。かわいいから好き〜ん」
普段は、かあちゃんといっとる癖に・・・・・・。
こういうときだけママかい! とマーブル、ツッコミ。
修道女のキアラが、
「ふふふ、生贄が、ひと〜り・・・・・・クックック」
といったのを、マーブルは聞き漏らさなかった!
「にゃにゃ!? 生贄!? ぞわぞわ〜」
肝心のクロードはキアラに夢中で、ぜんぜん気づいてねぇ。
「にゃんとか、しにゃいと! どうしよう」
カカンボはすでに革命軍に参加。
ここはワシがやらねば、とマーブルは思い切って近づき、クロードの尻を短い足で蹴り飛ばした。
「お、マーブルじゃん」
クロードがマーブルを抱き上げた。
「あらぁ、かわいい。・・・・・・食ったらさぞかし、うめえだろうなぁ、ちきしょうめ」
キアラの口元からだらだらとよだれが!?
「クロード、クロード、頼むから家に戻ろう!」
マーブル、失神寸前まで追い込まれる。
「なにいってんの。見て分かれよ、この状況。俺、彼女できたんだよぉ。キアラとここまでこぎつけるのは、苦労したぜ」
「そんにゃことは、どうでもいいのっ、はははは早く逃げ・・・・・・」
「にがさねぇでございますわよ! おっほほほほほ!」
キアラがついに、(いや、早すぎる気もするが)正体を現した。
おっそろしい形相で仁王立ち!
スカートのすそから、トマホーク(巨大な斧)をとりだして、クロードに斬りつける。
「なななな! だからいわんこっちゃねえ!」
「ぬがあ、でもそんなキアラちゃんも、ステキ〜」
そんな台詞をこの状況で・・・・・・。
親父が心配するわけだ。
それにしても、キアラの武器は体との釣り合いが取れぬほど、でけえじゃん、とマーブルは逃げながら思うのだった。
意外と冷静か、おぬし。
「こんにゃとき、ベ○ラマとか使えたら、いいんだがにゃ〜」
それは話がちゃうやろ!
「錬金術って、魔法の一種なんだろぉ。だったらそれで、なんとかすりゃあいいじゃん」
「おお、そうじゃ。クロード、たまには、さえたことを言う」
マーブルはマジック・ナイフを取り出して、呪文を唱えた。
「ぎく。貴様、錬金術を」
キアラと向かい、にらみ合いがしばし続く。
「ふふふ、キアラたん、覚悟しいや」
・・・・・・だがしかし、やっぱりだめ。
マーブルの腕が短すぎて、相手に届かない。
「くそー、くそー、くそー! この手がっ、手がぁぁぁ!」
マーブルは生まれてはじめて、敗北した――。
「負けそうになったんだから、俺がそのうち、バイキ○ト覚えてやるよ」
うそつけ、クロード!
どうしてこいつらが、ド○クエしってんだよ・・・・・・。