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知らんよ

 にゃんこはマーブルといった。

 ところで、クロード、急に何かを思い出したフリをして、

「あ、俺、忘れ物しちゃった。悪いけど、先にいってて」

 わざとらしい台詞をはきながら、家に戻ろうとするのを、カカンボが襟首捕まえて引き止める。

「待て。おまえ、俺の留守を狙って、何か、よからぬことを考えてねえか・・・・・・」

「や、やだなあ、パパァ! そんなこと、ぜーんぜん考えてませんよぅ。息子を信じないの?」

「信用できる人格を作ればなっ。話は別だが」

「そんなぁ。ぼく、改心しました。だからちょっと家に帰る」

 クロードのお目目がきらきら。

 そそくさと家に帰ろうとするが。

「まーてーとーいうに!」

 ぐえっ、と蛙をつぶしたような唸り声を上げ、クロードが再びカカンボのもとに引き寄せられた。

「ひどいよ、とうちゃん!」

「ふ、このカカンボを甘く見てはならんぞ。ばか息子!」

 クロードは泣きながら鼻水を流し、うるうる。

「ひどいや。かわいい息子をバカ呼ばわりなんて。とうちゃんなんか、嫌いだ!」

「どさくさにまぎれて、家に帰ろうとするでない」

「俺、本当に忘れちゃったんだよぉ」

 ずびずびと鼻水をすするクロードに、なおも父、迫る。

「ほっほう。するとお前、いったい何を忘れたというんだね」

「うへへへへ」

 クロードは思い出し笑いをしながら、下品に笑む。

「気色悪・・・・・・って、お前な。その笑いはなんだぁ」

「ゆうべ、とうちゃんとかあちゃんの寝室のぞいちゃったんだよねぇ。そしたらさ」

「てめえ、いくら親子でもプライバシーってもんがあるだろ!」

 ぐいぐいぐいと、カカンボはクロードの軍服の襟首を締め付ける。

「おいおい、それ以上したら、クロード死んじゃうぞ」

 ここでようやくマーブルがカカンボをつついた。

「そ、そんとき、俺・・・・・・かあちゃんのおっぱいを揉ませていただきたいと、ええ、ぜひ」

「この、変態鬼畜将軍! そんな忘れ物などより、きさまの記憶を飛ばしてやる〜ッ」

 カカンボ、怒りのマックス締め付け!

 ぐるぢ〜、というクロードの悲痛な叫びもなんのその、カカンボは手加減せんかった・・・・・・。

「さ、さすが俺のかあちゃんだ・・・・・・形が最高にグーだぜ」

「そりゃまあ、俺の嫁さんだからな。・・・・・・っておいっ! このやろう!」

「もういいじゃ〜にゃいか。ゆるしてやりにゃよ。カカンボ」

 カカンボはクロードを離すと、今度はマーブルに抱きついて愚痴をこぼす。

「マーブル! 俺は情けないよ、だああ〜。こんなバカが俺の息子とは・・・・・・! このカカンボ、死んでも死に切れん!」            

「死ぬ予定があるやつの言う台詞だろ。ああ、まあ、しかたにゃいな。こいつじゃあ。あれっ」

 忽然と姿を消したクロード。

 カカンボは猛スピードでやつを追尾し、家に魚雷のごとく到着した。

「はひ〜、はひ〜、はひ〜」

 汗もだくだくでカエデちゃんを捜すカカンボ。

「あら、どうしたのよ」

「どうしたもこうしたもあるか! あのガキ、お前にエッチなことをしようとしたんだぞ!」

「おほほほほ」

 カエデちゃん、なぜか大笑い。

「何がおかしいんだ! 俺はまじめにだなぁ」

「ばかねえ、あなた。あの子は私たちの息子でしょうに」

 ――いえね奥様。だからこそ、将来が不安なんですよ。

 というカカンボをよそに、敵は現れた。

 そして、クロードはカエデちゃんに魔の手を伸ばす!

「させるかああ!」

 カカンボの一撃を食らって、カエデに抱きつくクロード。

「ママァ、パパがいじめるぅぅぅ」

「あなた・・・・・・」

 困ったような顔でカカンボのほうを見るカエデ嬢。

「貴様なんぞ、遠いアフリカの奥地で、チンパンジーと戯れてやがれ!」

「それはひどい・・・・・・」

「わあん、ママ〜」

 クロードは陰でニヤリと含み笑い。

 カカンボは怒るに怒れず、

「い、行くぞクロード! もう気はすんだだろう!」

「まぁだぁ。もうちょっとぉ」

 ――くっそ〜、忌々しい息子め!

 カカンボは拳を握り締めたまま、プルプルと震わせるしかなかったんだよね、これが・・・・・・。

「不幸なやつ・・・・・・」

 あとからやってきたマーブルは、口ひげを引っ張りながら汗をぬぐった。

「かあちゃん、俺、とうちゃんに嫌われちゃったから、家出する! ふんふん! ついてくるなよ!」

「おい待て、竜騎隊はどうするつもりだ!」

「しらねえよ〜だ。あっかんべ〜だ」

 ――お・お・お・お・おのれええ!

 まんまと騙されたことに、今頃気づくカカンボも、相当ぼけてると、マーブルは思うのであった。

「わしゃ猫だし、これ以上は知らんよ・・・・・・」       

 まさしく 残念 の境地ではないか!?

 どうするよ、カカンボ(笑。

カカンボ「だから、笑い事では・・・・・・」

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