そんなぁ
「おかあちゃんが、オーストリア兵連れ込んだ〜っと」
クロード、珍しく日記を書いている様子。
しかし、もっとましな内容にできないのか、おまえは・・・・・・。
「クロード・・・・・・」
そこにカカンボ父さん現る。
ものすごく顔色悪いけど、平気かあんた!
「その話は本当か」
「ほんとだとも〜。現場に居合わせたからな〜」
カカンボは手を震わせ、
「カエデちゃんが、不倫!?」
怒りのやり場に困ってしまっていた・・・・・・。
「おとうちゃん、元気出せよー。かあちゃんは美人ってわけでもないし、その気になれば父ちゃん、いい女ゲットできるじゃん。ヨンさまみたいに、とは言わないけどよ、それなりにいい男じゃん」
ヨンさまねえ・・・・・・クロードが知るようなあれか?
「そ、それは慰めで言うとるんか・・・・・・」
カカンボ、急いで家に戻る用意をするが、いきなり砲撃が放たれ、鉄球が落下してくる!
「のわあああ!」
ちゅど〜ん! と派手な音がして、地面に穴が開く。
「なんてことだ、これじゃあ帰れない!」
とうとうカカンボ父さん、泣き出す始末!
カカンボの肩を、ぷにぷにした手が軽くたたいた。
「マーブル! 危ないからどいてなさい」
「ワシは錬金術師だにゃん。カエデ嬢をおまえ一筋にする魔法を知っているんだがニャ〜」
カカンボそれを聞いて、
「ほんとうか!?」
と、つばゴクリ。
「にょっほっほ、ホントほんと。どうだにゃ、一滴8000ガウスで売るにゃん」
「金じゃなくてガウスかよ!? しかも多いしっ」
「賢者の石を作りたいからニャ。ああ、水銀でも砒素でもいいにゃん。て・つ・だ・え」
「毒物ばっか!」
しかしカカンボ、カエデちゃんを手放したくないばかりに、つい承諾してしまう。
「くう、わかった。手を打とうじゃないか!」
「商談成立〜」
マーブルはカカンボとクロードをこき使って、原材料集めにいそしんだ。
「もっと腰に力入れて掘れ」
「何でマーブルがさぼってんだよ!」
「わし、監督だし」
クロードは泥まみれになりながらも、なんとか劇物を掘り起こした。
「こいつか? こいつだな、おいっ」
「おうこれこれ。ダンケね」
カカンボとクロードは、疲労しきってその場に座り込んでしまった。
「俺たち、革命軍に参加しないでいいのかよ」
「いいんじゃないの〜。俺はボナパルチスト(ナポレオン傾倒者)じゃないしぃ。しぃらね」
カカンボはしれっとして言い放つ。
クロードはシャベルを突き立てて、軍服の詰襟をはずし、楽な格好になると、呼吸を和らげるのだった。
クロードもココまで章が進んだらまともになったかな。
それにしてもパパ、やけくそですかい・・・・・・。