4話 6歳 さらに上を目指して
「おはよう、父さん」
「あぁ、おはよう。さて、今日は何をしようかね」
毎日の鍛錬で、アリアの魔法を使う技術は格段に成長していた。
それは、稀有な才能もあったが、努力したからというのも大きかった。
まだ荒さは残るものの、両親が教えられることは一通り習得している。
「んー、父さんみたいに中級魔法をもっと上手に使えるようになりたいんだけど…」
中級魔法は使える、けれども威力も効果もまだまだ未熟で、不満を持っていた。
一般的に、魔法補助具なしで中級魔法を扱えるようになるまでには、
20年ほど年月が必要だと言われており、
それを6歳で習得したアリアは周りから見れば異常なのだが、
両親は出生時の事もあり、納得できていた。
「そうか。ならば一度、補助具を使って感覚をつかんでみるか?」
補助具とは、魔法を使用するとき、術者にかかる負担を軽くし、
術者自身の魔法力を一時的に増幅させる働きがあるため、
素の力より強い魔法を扱うことができるようになるモノのことを言う。
また、補助具は希少で高価な物が多く、所有している人は少ない。
「補助具は使わない。僕の力だけでなんとかしたいから」
「まあ、そう言うと思ってたけどな」
ハハッと笑い、アリアの頭に手を置く。
「いいかアリア。人には得意、不得意としている系統があることは知っているな?父さんが見る限りだが、アリアはまだ中級魔法を中級魔法の威力相当に当てはめて発動できていないから、違和感を感じ、上手く扱えていないと悩んでいるんだと思う」
「父さん、それってどういうこと?」
「アリアは風系統が得意だよね。得意な風系統で中級魔法を普通に扱えるレベルということは、風系統以外だと、中級魔法を扱うにはちょっと時期が早いと考えることができるよね」
「あぁ!そうだったのか!それじゃぁ、他の系統の練習をもっとすればいいんだ!」
補助具に頼る。諦める。という選択肢は無かったようだ。
「そういうことになるね。うーむ、しかし困ったなあ。これ以上、父さんたちでは効果的な鍛錬の方法が思い浮かばないぞ」
「?いつも通りの練習をしてればいいんじゃないの?」
「アリアは十分すぎるくらい基礎をこなし、身につけることもできたから、もう今までの方法では得られるものが少なくなる頃だと思うんだ」
「そっかぁ。んー、どうしよう…」
父さんを真似て腕を組み、考えるポーズ。
父さんは笑いながら
「アリアが本気で魔術を習いたいと言うならば…町にいる父さんの先生に指導を頼んでみようか?」
「先生?」
「そう、父さんが学生の時にお世話になった人だよ」
「怖くない?」
興味はあるが、知らない大人の人ということで、少し腰が引けている。
「…今はもう怖くないよ。とても優しいおじいちゃんさ」
アリアはどうしようか悩みに、悩んで
「父さん、先生に魔法を教わってみたいです」
と答えた。