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1話 0歳 生まれた時から特別な
「この子を、頼みますね」
声が響いてきた。
それは、僕が生まれる直前のこと。
両親の声でも、産婆の声でもない。
初めて聞く声だったが、それはとても心地よく、
意味も理解できる不思議なものだった。
次に僕の両親の声
「母さん、よく頑張った!ハハッ、可愛らしい男の子だ!」
父は興奮した様子で、母はホッとした表情をしていた。
「ん!?母さん!アリアの手の甲に何かが…これは…痣?」
「はぁ…はぁ…アリア…良い名前ね…大丈夫よアナタ…その子はきっと…精霊様の祝福を…受けたんだわ…」
「精霊の祝福?それは…?」
父は続きを待った。
「声がね…聞こえたのよ…」
「声?」
「そう、声…アリアに何かを、頼んでたみたいね…」
「精霊が!?…。さすがは私たちの子ってところか。将来が楽しみだな、母さん」
「もう、アナタったら」
二人は暖かな表情で、元気に泣くアリアを見つめるのだった。