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12話 12歳 とっておきの魔法

まだ寝ぼけているのか、目は軽く開いているが、頭がぼーっとしている。

隣に人の気配があることも感じて、セリナが遠くへ行ってなかった事に安心する。

『昼寝は不味かったかなぁ。…でも、外での昼寝がこんな気持ちがよかったなんて、知らなかった…』

覚醒しない意識の中、そんなことをアリアは思っていた。



しばらく流れる雲を眺めてから、深く、深呼吸をして身を起こす。

「おはよう。気持ちよく眠れた?」

アリアが目覚めているのに気付いていながら、

完全に起きるまで声をかけずにセリナは待ってくれていた。

おかげで、素晴らしい目覚めになった。

「あぁ、おはよう。すごく、すっきりしたよ。たまには良いね。のんびりするのも」

「ふふっ、よかったね。私も楽しめたし、今日は良い日だよ」

何を楽しんだのか、分からなかったが、

「んー、まだ時間ありそうだし、何かして遊ぼうか?」

来て即行寝てしまったことに少しばかり負い目を感じ、そう提案した。

「それじゃぁ、街の中では使えない魔法を見せてくれたら嬉しいな!」

ニコニコ笑顔でこちらを見るセリナ。

快適な昼寝のお礼も込めて、

仕様がないなぁ。と笑って答える。

「うっし、それじゃぁ特別大サービス」

自分でハードルをあげて、立ち上がる。

セリナはもうワクワクがとまらない!早く!早く!って様子だ。

「あ、いつもの言うの忘れてた。この魔法『も』秘密にね」

「うん!わかってるよ!誰にも言わないから安心して!」

今までも色々とセリナには魔法を見せてきたが、

どれもこれも秘密にしてもらっている。

その理由は、ただ単に厄介事に関わりたくないというのが大きい。

この年で魔法を使うだけでも凄いことなのに、

独自の魔法をも使えるとなると、周りが黙っていない。

希少な存在、しかも子供なので与し易いだろうと、

トラブルが起きることは容易く想像がつく。

なので、秘密。

トレオとフィルの気配が無いことを確認し

「うし、それじゃ、いくよ…」

精神を集中させる。

披露する魔法は、最近発現させる事に成功した『とっておき』の魔法。

選んだ理由は、まだ実際に扱った事が無いので試しにと思ったこと。

それと、『魅せる』ことにも適した魔法だからというのもある。

両腕を広げ、アリアは歌うように詠唱を始める。

「─風は音色を、場に満たし」

アリアの広げる手の先、空中に一本の緑色の剣が現れる。

『剣』といっても金属質な剣ではなく、剣の形をした風の魔力の集合体である。

魔術に精通していないセリナでも、風でできているのは感じることができた。

濃密な魔力を人は本能で感じることができる。

出現した剣はそれ程の質量を有していた。

セリナはそれだけで驚くが、アリアの詠唱はまだ続く。

「─水は正しいリズムを刻む」

今度は風剣の横に、水でできた剣、水剣が出現した。まだ、終わらない。

「─土はステージ、主役を選び」

「─火は明かりとなって、場を制す」

アリアの身体を挟んで反対側に、土剣、火剣が現れる。

「─複合詠唱魔法。ブレイズダンス」



アリアの周りには4本の剣が浮かんでいる。

それぞれ、風、水、土、火の魔力で構成された剣だ。

「…………アリア君………」

セリナは今まで見たことも聞いたこともない魔法を見て、言葉を失っていた。

これまでも何度か、新しい魔法を見せたが、その時以上に驚いた様子だった。

「ふぅ、とりあえず成功っと。…見せたいのはここからね」

4本の剣の顕現を維持させるため、莫大な量の魔力を消費しつつ、

それぞれの剣に意識を集中し、アリアは、踊った。



アリアとしては、剣の師匠であるベーンさんと行う模擬戦を意識して動いている。

4本の剣を同時に、しかし動きはバラバラに操る。

仮想の師匠を追い込むように、乱撃を繰り出すように。

この剣は手に持たなくても良いため、剣筋に脈絡がない。

それがまた、見る人、セリナにとっては綺麗に映っていた。



現在、実践を想定して動きながら4本の剣を維持できる時間は2分間。

アリアとしては辛い2分。

セリナとしては、あっという間の2分が終わり、

魔法が消えた。

自分の作品が多くの人の目に触れるのは、嬉しいけども、恥ずかしくもありますね。

誤字脱字には気をつけようっと…笑

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