ストロベリーファイル 魔王と勇者の終わりなき系譜 〜血統書のない継承〜
パンッ!
庁内に乾いた発砲音が響く。
花束の花びらが飛び舞い散る。
「やめなさい!長澤警部!」
あたしの名前を呼ぶ南警視正の声を遠くに聞きながら、抱えていたプレゼントの箱から転がり出て落ち潰れた苺を、口角を目いっぱい上げたまま見つめていた。
苺…甘酸っぱい香り…朱殷色…花…
「っ!!」
気づいたら、あたしは涙を流し笑顔で自分自身の左肩を打ち抜いていた。
「うぐっ…!」
左肩に耐え難い突き刺されたような熱さが押し寄せる。
お陰で朦朧としていた意識がハッキリと戻り生存本能により心臓の鼓動が最大限に鳴って血液を送り続けている。
意識は戻っている。
拳銃を持っているあたしの腕をもう片方の腕で静止しようと試みているが徐々に額の方へ。
いくら抗っても止まらない。
足元には赤い花びらが散っている。
あの時すでにアンカーを仕込まれていたのか…。
こんな結末だなんて…
やはりあんたは天才ね…
あのとき散った景色が再びフラッシュバックする。
自分の手で向けられる冷たい銃口は額に到着してしまった。
涙を流し笑顔のまま
「ごめん…美桜…」
パンッ!!
———
自分の尻尾を噛む蛇
始まり─。
<高級住宅街>
「ちっ、あっちーな…」
暑い夏の日、恰幅の良い捜査一課の山川亮平が汗にまみれ現場に到着した。
「またか…これで五件目か…」
室内に入ると鳥肌が立つほどの冷気。
山川の目の前には食卓に向かい合っている3人の被害者。
食卓には家族団欒の食事風景を再現しているかの様に、四人分の食器が並べられている。
床には赤い花びらが散らばっている。
3人共口の周りにイチゴジャムのようなものが塗りたくられ異常に口角が吊り上がっているようにも見える。
「……」
山川は更に鳥肌を立て一筋の汗を流す。
———
続く
———




