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第1話 女の子って奇跡に溶かされちゃう♡

「ねー、だよねー」

「ほんとほんとー」


 ふわりと髪が揺れる。

 視界の端で、ひと房だけ踊るみたいに。

 その瞬間、透き通った声が耳の奥をくすぐってきて、私の世界がじわじわと甘く溶けていった♡


「え、でもさー」

「それ超わかるー!」

「ね、ね、やっぱりそうだよねぇ」


 お昼休みの教室。

 その片隅に、色とりどりの花が咲いている。

 女の子たちの輪。

 軽やかな黄色い声が空気をくすぐり、

 クラス中の視線が、私たちに絡みついてくる。


 その中心で──

 私はひとり、静かに悦びに震えていた。

 白鳥しらとり 沙織さおり

 みんなからは「学年一どころか、学校で一番の美少女」って、そんな風に言われている。


 長く伸ばした髪が、ふわりと風にそよぐたび、教室の視線がそっと集まる。

 細くしなやかな髪の一本一本が、光を受けてきらりと揺れ動くと、それだけで周りの空気がわずかに変わるのがわかる。


 透き通るような白い肌とか、ぱっちりした目とか、客観的に見れば誰もが振り返ってしまうような魅力を放っていると自分でも思う。


 背筋を伸ばして向かい合うと、たいていの子よりもわずかに視線の位置が上になる。

 それでもクラスの中で浮くほどではなく、自然にその場に馴染んでしまう程度の高さ。

 すっと伸びた首筋から、肩のラインにかけてのシルエットは、友達から「女優さんみたい」とよく言われる。


 スカートの裾が揺れると、そこから覗く脚線も細すぎず、柔らかくしなやかにまとまっていて、

「沙織の立ち姿って、見てるだけで尊い」って声がこぼれるたび、私は胸の奥がじんわり温かくなる。


 制服のブラウスを纏うと、薄い布越しでもわかる体の曲線が優しく浮かび上がる。

 大きすぎず、小さすぎず、触れたら指先が沈み込むような柔らかさ。絶妙なバランス。

 自分でも「ちょっとズルいな」って思うくらい、私の見た目は“可愛い”って言われ続けてきた。


「なー、それなー」


「あはは、それ最高」


 女の子たちの声が、鼓膜をそっと撫でるたびに、

 音の波がじわりじわりと神経を這い回って、

 脳の奥で、トロッと甘いものが溢れ出してくる♡


 みんな可愛い……好き……好き……♡

 あぁ……んっ……みんな……大好き……♡

 可愛い……可愛い……♡ 可愛い……♡


 微かに震える声が、首筋をすべって、背中を這って、脳髄の奥にじんわり染み込んでいく♡

 そのたびに、頭の中にぶくぶくと、甘い泡みたいな快楽が溜まっていく♡♡


 それが一滴こぼれるたびに、私の思考は輪郭をなくしていく♡

 もう、“可愛い”とか“好き”とか、そんな想いしか残らない♡♡


 ……みんなごめんね、尊いって言われるけど、私いつもこんなことばかり考えてるの♡

 ダメだと思うけど、止まらないの♡♡


 好きっ……♡ 好きっ……♡

 大好き……♡大好き……っ……♡

 気持ちいい……あぁ……もう……♡

 蕩けるっ……蕩けちゃう……♡


 心臓が、トクン、トクンって跳ねるたびに、全身にぽわっと熱が走る♡

 その熱が、皮膚の裏を伝って、細かく震えながら、指先や脚の先まで溶かしていく♡♡


 その震えが、背骨をゆっくり這い上がって、気づけば呼吸さえも蕩けてしまいそうだった♡♡


 んっ……♡ 可愛い……っ……ふぁ……♡

 あぁ……好き……♡ 好きっ……♡

 はぁ……気持ち……いぃ……♡ もっと……♡


 息を吸うだけで、胸の奥がじわじわ熱くなって、吐息が小さく震えながら溢れ出しそう♡

 呼吸ひとつで蕩けていくなんて……♡♡


 学校でこんなイケナイ気持ちになるなんて、絶対にダメ。でも、止まらない。どうでもいい。蕩けちゃう♡♡


 視界はふわふわ揺れて、目の前がきらきら滲んでいく♡

 頭がぽかぽかして、意識が蕩々と揺らいで、

“好き……好き……可愛い……”

 そんな想いだけが、私の脳内でぶくぶく膨れ上がっていく♡♡


 可愛い……好き……好きっ……♡大好き……♡

 あぁ……もう……♡気持ちいい……♡

 んんっ……蕩ける……♡ 頭……とろとろ……♡

 ふっ……あっ……♡ もう……おかしく……なっちゃう……♡♡


「ねえ、見てよー。 この沙織の髪、どうしたらこんなサラサラになるの?」


「ほら、見て……私の指が勝手にスルスルって吸い込まれちゃうんだもん……」


「沙織だけ、なんでそんな特別な髪してるの? 触るだけで私、イケナイことしてる気分になるんだけど」


「沙織、絶対シャンプー違うよね? 特別なやつでしょ?」


「……沙織っ♡……沙織の髪、サラサラ……♡」


 少女たちの指先が、私の髪に絡みつく♡

 爪の先が首筋にちょん、と触れた瞬間、ゾクリッ……と震えが走る♡♡

 耳の裏をそっと撫でるその指が、まるで“知らないふりして私を犯している”みたい……っ♡♡♡


 肩甲骨まで流れる長い髪を、一筋一筋、優しく摘まれて……♡

 爪の先で、柔らかく撫でられるたびに、まるで肌を這うみたいに、愛でるみたいに……私の奥まで触れてくる♡♡


 時間がとろ〜り、とろ〜りと伸びていくのがわかる♡


 ゾクッ……ゾクッ……♡

 粘膜の奥を、熱い針がくすぐるみたいに震えが這い上がって、髪を梳く指先の動きが、耳元で吐息が混ざる♡♡

 熱い舌先が、耳殻のふちをゆっくり舐めるみたいに這って──その瞬間、背骨の奥でビクンって跳ねた♡♡♡


 その小さな摩擦が、神経を撫で回すたびに──

 毛根から、皮膚の裏側、背骨の奥まで……♡

 髪一本が撫でられるごとに、身体の中でじわじわ蕩ける波紋が広がっていく♡♡


 まぶたの裏が、ほんのり白く染まる♡

 脳が、幸せに飲み込まれていく瞬間。

 その感覚に、身体がびくんって反応してしまう♡


 んっ……♡ あっ……♡ だめっ……♡

 気持ちいい……気持ちいいの……♡

 もう、蕩けちゃう……蕩けさせられちゃう……♡

 ねぇ……もっと……触れて……触って……愛でて……♡


 この髪は、彼女たちのために磨き上げた宝物。

 毎晩、オイルで髪全体を包み込んで、指先で丁寧に梳かして……

 髪一本たりとも絡まりなんて許さない。

 些細なほつれさえも、許さない。

 指を滑らせた瞬間、“蕩ける感触”を与えられる完璧な質感でなければならないの。


 私は“女の子と触れ合う”ためだけに、存在しているんだもの。


 私は──可愛い女の子たちの憧れ。

 私は──可愛い女の子たちの象徴。

 私は──“可愛い”という言葉そのもの。


「沙織の髪、ほんとに綺麗だよね……触るだけで幸せになれるもん」

「私、今触っただけで女子力10くらい上がった気がする!」


 少女たちの声が、私の脳髄にじわぁっと滴り落ちてくる♡

 蕩ける声色が、私の内側で甘く泡立って……

 そのまま、私の全身を蕩尽させていく♡♡


 指先の愛撫は、まるで愛玩の儀式みたいで、

 同時に私への礼賛の言葉にもなって……♡

 私は、その快楽の輪の中心で、ただただ溶かされていくしかなかった♡♡


「もー、大したことしてないよぉ……それより私は恵美の茶色がかった髪色の方が羨ましいなぁ」


「えーっ!? 沙織こそ透明感バグってるからね!?」


「ほんとほんとー! 沙織の髪、光の当たり方が反則なんだよ」


「恵美の髪色は大人っぽくて憧れるけど、沙織はザ・無敵って感じなんだから」


「ちょっと待って、千夏の巻き髪だって天性のモテ髪でしょ?」


「えー、私なんて巻いただけだし! でも……真央のストレートもサラッサラで癒されるよ?」


 髪を撫でる指先、飛び交う褒め言葉、絡みつく視線♡

 その全部が、私のことを甘く甘く包み込んでくる。

 この輪の中で、共感と愛撫が、とろとろに溶け合いながら広がっていく♡♡


 嬉しいが嬉しいを連れてきて、

 喜びが喜びを産み続けて、

 いつの間にか、この場所には──

 一つの楽園が生まれていた。


◇◇◇


 ──その子は、ずっとこちらを見ていた。

 でも、目が合うたびに小さく俯いて、そっと視線を逸らしてしまう。

 わかる。私には、そういう“気配”がちゃんと伝わってくる。

 「声をかけたいけど、かけられない」そんなもどかしさ。

 胸の奥がぎゅうっと締めつけられるような感覚。

 その想いが、今にもこぼれそうで、でも踏み出せずにいる。


 そんな彼女が、ついに勇気を振り絞った。

「ねえ……白鳥さん……ちょっと、いいかな……?」


 その声は、ふわりと、私の耳元に落ちてきた。

 小さくて、震えるような、でも確かに熱を帯びた声。

 まるで、天使が振り絞って紡いだ、命そのものみたいだった。


 あぁ……分かるの。

 こういう時の“お願い”は、いつだって決まってる。

 女の子が……勇気を出して……顔を赤くしながら、どうにか縋りつこうとする時って──


 そう、“恋愛相談”に決まってる。


 だって、この世界は不完全だから。

 女の子たちは、みんな純粋で可愛くて、

 誰よりも神聖な存在なのに……


 でも、その大切な天使たちに、

 劣った遺伝子に支配された“男”が、

 穢れた劣情で女の子を惑わしている。


 男という劣等因子に、私の天使たちが汚されるのを許せない。


 誰よりも綺麗で、可愛くて、

 愛されるために生まれてきた女の子たちを、

 そんな汚れたものに触れさせてはいけない。


 私は……彼女たちを救わなきゃいけない。

 この手で、絶対に。


「うん、どうしたの?」

 私は、微笑みながらその子に向き直る。

 優しく、柔らかく、でも心の中は燃えている。


 彼女が抱えた悩みは──

 必ず私が、蕩けるように解きほぐしてあげるから。



────────

 ここまで読んでいただきありがとうございます。

 なんか尖った作品ばかり書いてますが、なかなか読まれないので、ラブコメを書き始めることにしました。

 うん、なんかこれも尖ってる気がする。

 でも、書きます。

 フォロー、応援、コメント等頂けると嬉しいです。

 お付き合い、よろしくお願いします。

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