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ラピスの刃  作者: エル
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青の覚醒

本作には流血・暴力表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。

※本作には流血・暴力表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。


俺は武田誠。今日から高校生になる。平凡な、ただの男子高校生だ。


朝、台所から母の声が聞こえた。

「誠、帰ってきたらおやつ用意しておくわよ」

笑顔でそう言う母に、俺は軽く手を振った。

「うん、行ってきます!」

その瞬間、心がじんわり温かくなる。小さな日常、でもこれが俺の幸せなんだと感じる朝だった。


学校に着くと、同じクラスの佐藤彩花が笑顔で話しかけてきた。

「おはよう、誠くん」

俺も返す。

「おはよう、彩花さん」


授業が始まる前、彩花と今日の授業の話や、数学の課題で悩んでいることを話した。途中で高橋直樹も混ざる。

「お前ら、放課後どうする?帰りにちょっと買い食いでもしようぜ」

俺たちは笑いながら、その日の放課後の計画を立てた。


授業が終わり、昼休み。彩花さんと一緒に昼食を食べながら、部活の話になる。

「誠くん、どの部活入るの?」

「まだ迷ってるんだよな。剣道部も面白そうだし、軽音部も楽しそうだし……」

彩花は笑顔で言った。

「迷うならいろいろ見学して決めたらいいよ。あたしも付き合うから」

その言葉に胸が高鳴る。平凡な日常だけど、楽しくて充実していると心から思える瞬間だった。


放課後、俺たちは坂道を下りながら、小さな店で買い食いをした。

「ここのたい焼き、うまいんだよな」

「ほんとだ、誠くん、甘いもの好きだよね」

笑いながら歩く。ふと時計を見ると、もう夕方。

「うわ、やばい、帰らないと母さんに叱られる」

俺は坂道を小走りに駆け下りる。頭の片隅で母の声を思い出す。

「誠、帰ってきたらおやつ用意しておくわよ」


しかし、家に近づくにつれて、どこか異様な匂いが鼻を突く。焦る気持ちと、違和感が胸を締め付ける。


家の扉を開けた瞬間、目に飛び込んできたのは、血まみれの母の姿――いや、すでに動かなくなっていた。

「母さん……!」

声が震える。体が硬直する。何もできずに立ち尽くす俺の前に、赤い瞳をした少女が現れた。


「驚かせてごめんなさい。だけど、これがあなたの母親の最期よ」

少女は落ち着いた声で説明する。

「これは……結晶けっしょう。モンスターによってあなたの母親はこの結晶に変わったの。砕けるとエネルギーになる。そしてそのエネルギーは……戦う力になる」


俺は戸惑いながら、少女の言葉を理解しようとする。しかし、目の前にある母の結晶を見て、吐き気が込み上げる。

「……こんなの、食べられるわけない……」

少女は優しく微笑む。

「大丈夫、少しずつでいい。口に入れてごらんなさい」


震える手で結晶を口に入れると、体中に熱が走った。手のひらが青く光り、握る拳からも微かに光が漏れる。


少女は微笑んで言った。

「いいわね。その調子。じゃあ、ちょっと腕を振ってごらんなさい」


半信半疑で腕を振ると、テーブルの上にあったコップが、何の力も入れていないのにパリンと割れた。

「……え……?」

少女は頷く。

「これが力よ。もっと強くなれば、あなたの母親を殺した者を倒せる」


その瞬間、俺は理解した。

「……もう、人間じゃない……」

絶望と怒りが胸に渦巻き、戦う覚悟が生まれた。母のため、未来のため、そして自分自身のために。


窓の外、夕陽に染まる街を見下ろし、青の光が俺の手のひらで揺れる。

新しい戦いの幕が、今、静かに始まったのだった。

自分の世界観を形にするべく第一話書いてみました。誠のこれからの闘いの姿にご期待ください!

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