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一章 波乱の舞踏会 7

 目の前の惨劇を、他の招待客達も目撃した。

 大きな悲鳴が彼方此方からあがった。

 一気に会場内に、恐怖と混乱が伝染していた。

 我先に男達は逃げ惑う。

 女性達の中には、狼狽えて立ち竦んでしまう者がいる。

 すると今度は会場の出入口の扉が開く。

 そこから、城の数多くの近衛兵達が雪崩れ込みながら駆けつけてきた。騒ぎを聞き付けたようである。

 「何事だ!」

 と先頭の大柄な男が叫び、辺りを確認しながら中央の舞台へと駆け寄っていく。

 彼は赤い髪と真っ赤な軍服を着た人だ。私の父であり、城代及び近衛騎士団団長のスカーレット伯爵である。

 私も訳が解らずに呆然としていた。しかし、すぐに我に返ると、父の後に続いてシヤリーの側へ向かい、呼び掛ける。

 「シヤリー!!」

 「カレンナ?!」

 と彼女も気がつき、顔だけを振り向かせて返事をしてきた。ずっとヴィシュー皇太子殿下に付き添い、ハンカチを彼の腕に押し当てて傷口の止血をしている。

 その隣では、ヴィシュー皇太子が前をじっと見つめていた。

 彼の視線の先では、父がナンリー姫殿下の羽交い締めにして動きを抑えている。さらには必死に大声で呼び掛けていた。

 「ナンリー様!…お気を確かに!」

 「殺す殺す殺す殺す、…。」

 とナンリー姫殿下の様子は変わらない。ずっと呼び掛けに反応せずに、不穏な言葉を戯言の様に呟きながら、虚ろな目を向けている。

 狙いはシヤリーのようだった。

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