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二章  アルジェンとの出会い。 8

 ようやくして、部屋の中が落ち着いた雰囲気となる。

 その頃合いを見計らい、ライルが真剣な表情で話をしだした。

 「まず自己紹介し直すよ。……僕の名前はライル、…またの名を怪盗アルジェン。…此方のヴィシュ-様の命令を忠実に聞く手駒で、ある目的を遂行する為に、怪盗行為をしているんだ。……そして今から言う事は、信じられないかもしれないが全て嘘偽りない話です。」

 「…え、えぇ。…」

 と私は返事しながら、段々と話に聞き入っていく。

 「……僕は、ある物を盗む為に、10日後の舞踏会で参加者に成り済まして侵入し、犯行に及びます。…ただ実際には不測の事態に巻き込まれて、失敗してしまうんです。…その際に僕の魔法の力が発動して、舞踏会の10日前に戻ってきているのですよ。…そのうえ今回は、近くにいた君をも巻き込んだまま過去に戻って来ているんです。」

 「…ま、魔法?……それにヴィシュ-殿下の、命令?…」

 「…知っていると思うけど、僕は舞踏会でナンリー姫を拐った。…しかし彼女を、害するのが目的じゃない。…真の目的は、舞踏会の参加者の中から魔法を使う者を探しだして、人を操る力を盗みだす事なんだ。」

 「…何、それ?…どういう事なのよ。…訳が分からないわ。…例えそれが事実だとして、…どうして、あんな事に?」

 「…実は、…その舞踏会には、人の思考を乗っ取って操る魔法を使う賊が潜んでいるんだ。…あろう事か、そいつは妹のナンリー様を操り、ダンスの時に婚約者のシヤリー様を殺そうとしている。」

 「はぁ!?…シヤリーが殺されるですって!!?」

 「…僕は何度も時を巻き戻して、同じ光景を目の当たりにしている。だから、ほぼ間違いない。…それで僕はナンリー様の手で、シヤリー様が殺されない様にと、彼女を舞踏会の参加者から遠ざけたんだ。」

 そう言うとライルは話を、一旦区切ると、次第に暗い表情で俯いてしまう。

 部屋の中には、重苦しい雰囲気に包まれる。

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