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二章  アルジェンとの出会い。 6

 全員で移動していき、途中で別れて各々の目的の場所に向かいだした。

 そのまま父だけは、先に会議室の方に進んで行った。

 続けてライルが前に出て、父とは反対の方角に向かって歩きだすと、

 「此方です。」

 と、言いながら、促してくる。

 私も付いていく。

 だんだんと城の奥へと入り込む。だが城の三階部分から階段を下りていき、どんどんと階下へと向かうようだった。

 私は、不可解さに首を傾げていたが無言のまま付いていく。

 やがて地下に続く階段をも降りきった。

 地下の廊下に辿り着く。

 さらに目の前の角の先には、目立つ朱色の扉があった。

 ほぼ同時に「…彼方の部屋です。」と、ライルが告げる。さらに扉に近寄ると、ノックを三回もしていた。

 …コン、コン、コン。

 「ライルだな?…入れ。」

 すぐさま部屋の中から、誰かが返事をしてきた。聞き覚えのある声だ。

 ヴィシュー殿下で間違いない。

 「失礼します。…どうぞ。」

 とライルが扉を開けながら、此方に手で指示を送り、入る様に促している。

 「…は、入ります。」

 私も指示に従うと、部屋の中に足を踏み入れていく。扉を潜り抜けると辺りを見回した。

 その部屋は簡素な内装だ。表の扉の豪華なイメージとは裏腹に、真逆の印象である。

 まず四方を石壁に囲まれており、奥の壁側に少しの家具しかない。

 しかも有るのは、古いベッド、ボロボロ机と椅子、スカスカの本棚である。まるで牢屋の中みたいだ。

 さらに、そこの椅子には、ーー

 「…やっと、来たか。」

 とヴィシュー殿下が呟きながら、どかりと背凭れに身を預けて深く腰掛けていた。さらには怒った表情で、此方を睨み付けており、鋭い視線を浴びせてくる。

 「…連れて参りました。」

 とライルが側まで行くと、すぐに膝を付いて頭を下げながら報告をする。

 「あぁ、そうか。」ガン!!

 すると突然、ヴィシュー殿下が頷いたと同時に、ライルの頭を思いっきり蹴り飛ばした。顔面を的確に当てている。

 その衝撃でライルは、後ろに仰け反りながら、床に倒れてしまう。

 「!?…ねぇ、大丈夫?!」

 すぐに私は彼の側へと寄っていき、抱き起こそうとした。

 「……痛っつぅ。」

 それよりも先にライルは、顔面を抑えながら起き上がりながら、ゆっくりと立ち上がった。まるで怪我なんてしてないと振る舞っているみたいだ。

 「ふん。…貴様のせいで、しくじったんだろうが。」

 対してヴィシュー殿下は鼻を鳴らして、ふんぞり反りながら、再びライルを睨み付けて文句を言っている。なんとも態度が悪い様子だ。

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