二章 アルジェンとの出会い。 3
やがて順番が巡りめぐっていく。
「よし、次。…カレンナ!」
「はい!」
今度は私が呼ばれた。すぐに父と対面して、剣を交わらせて勝負をする。
互いに激しい攻防を繰り広げていた。
私が先に上段から斬りかかる。
父は難な回避しながら、隙を突いて大振りの反撃を繰り出す。
さらに私は避けて、また別の角度から攻撃を仕掛ける。
親子で一歩も退かずに、つばぜり合いとなる。
しかし、私の方が押され気味だ。幼少の頃より教育方針で、父から直々に剣術の指南を受けていたが未だに敵わない。
暫くの間、膠着状態が続いた。
「…止め。…今日はここまでだ。」
唐突に父は宣言して、訓練を無理矢理に終了した。
ようやく私も剣を鞘に収め、息を整えると一礼をする。
同時に他の兵士達も、緊張を解いていた。
ベテランの兵士達は、汗を拭い立ち尽くす。
逆に新人の兵士達は、膝から崩れ落ちてしまう。
すぐに父は、怒鳴りつけだした。
「お前ら、弛んでいるぞ!…そんな事では、10日後の式典で、何かあった時に対処が出来るのか!」
次の瞬間には、へばった兵士達は慌てて立ち上がり姿勢を直すと、急いで訓練の後片付けをしだした。
ついでに私も、ドキリとした。表情は変えずに、平静を保つ。ただ内心では落ち着かず、心臓が早鐘の様に鼓動していた。
未だに朝に起きた時の出来事が気になっている。
しかし父は此方の様子を気にも止めずに、「…行くぞ、カレンナ。…」と呼び掛けながら、踵を返して歩きだす。
すぐに私も走り出し、後を追いかけていき、広場を後にした。