表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/82

一章 波乱の舞踏会 11

 ふと目の前の廊下には、奥へと向かって走る人影がいる。

 人を抱えているようだった。

 アルジェンだ。と私は確信した。急いで後を追いかけていく。

 幸いにも周りに他の人おらず、ぐんぐんと速度を上げながら距離を詰めていく。

 人影も気がついたようだ。一瞬だけ背後を振り返っていた。

 続けざまに、すぐ近くの部屋の中へと咄嗟に逃げ込んだ。

 ゆっくりと扉が閉まっていく。

 間一髪で、私は間に合った。壁と扉の隙間に掌を滑り込ませると、力一杯に扉を押して部屋の中に突入した。

 「…っ!!」

 と部屋の奥の壁際にいた人影は、此方に対面する様に振り返ってくる。

 私は目を凝らしながら、まじまじと確認する。

 予想通りの人がいた。

 やはり相手はアルジェンである。口元を苦々しそうにしていた。片手で姫様を大事そうに抱き抱えながら、反対の手で頻りに壁の彼方此方を触り、何かを探しているようだった。さらには、

 「…どうして、…お前が此処に?」

 と問いかけてくる。

 その声は、思いの外に女性の様に高かった。

 対して私は相手の質問には答えない。代わりに鋭い目付きで睨めつけながら、威圧的な態度で喋りかけて説得を試みる。

 「もう逃げられないわ。…大人しく捕まりなさい。」

 「…くそっ。…」

 しかし、アルジェンは対面した状態で微動だにせずに、悪態をつきながら此方を睨み付けてくる。全く降参する気はないようだった。

 「…仕方ないわね。」

 と私も小さく呟きながら、相手から目を離さずに隙を伺う。勢い良く飛び出して組伏れる様に身構えていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ