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ローズ
「あ、ありがとうございます」
「君を助けたつもりはないよ」
「え?あ、あの、お名前をお聞きしてもよろしいですか」
少年はしばらく考えたあと。
「ローズ」
「まぁ、なんて素敵な名前でしょう。私はフローラと言います」
「うん、聞いてない」
ローズ、我ながらいいネーミングセンスだと自分を褒めた。
「それでは、私はこれにて。ありがとうございました、ローズ様」
フローラの背を見送ったあと、ローズは辺りを散策した。しばらく歩くと川を見つけた。川を覗き込んだ。赤い髪に琥珀色の瞳。これは誰かと思ったが、どうやら自分のようだった。