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恋のチカラ ~奇跡のひだまり~  作者: 小林汐希
第1部 いつか並んで歩いた道
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第5話 今日、相手してくれたお礼だから




 家に帰ると、既に彼女からのメールが入っていた。


 丁寧な今日の礼の言葉と彼女のプロフィールが書いてあった。


 星野(ほしの)陽咲(ひなた)、18歳。


 この春に大学に入ったばかりだったのか。それならまだ抜けきらない雰囲気にも納得がいく。


 長野の地元から出てきて、一人暮らしを始めたばかり。 特定の彼氏などはこれまで誰もおらず、お付き合いの()()()も知らない未熟者ですと書いてある。


 18歳じゃ4月生まれで23になっちまった俺とは5年も離れている。


 俺にとっては交際する・しないというより、なんとなく人懐っこい妹のような雰囲気だった。


 後は寝るしか予定のない俺も、自分のことを少し詳しく打ち込んで送ってやった。


 すると、もう夜の11時を回っていたというのに、すぐに陽咲からの返信が来た。


 困ったことに、テレビが映らなくなってしまったらしい。


 仕事上、こういう困ったことを放置できない性分だ。メールで電話してもいいかと伝えると、陽咲から折り返しかかってきた。


「すみません。こんな時間に」


「いいさ。とりあえずいろいろ教えてくれないか?」


「はい」


 電話越しに、配線やスイッチの状態を聞いていく。


「残念ながら買い換えが必要かもな」


「そうですか……。明日とか電機屋さん呼んだり、買いにいかなくちゃならないかもしれないですね」


 ふと思い出した、あんな見た目の陽咲が一人で選びに行っても、なかなか厳しいかもしれない。


「明日、暇だから俺でよければ行ってやろうか?」


「いいんですか? 今日お会いしたばかりなのに、そこまでしていただいたら……」


 ここまで来たら乗り掛かった船だ。それにこんな心細そうな声を聞きながら、放置するのも無理な話だ。


「別に明日は俺も暇だし。サービスマンを呼ぶだけでも金がかかる。直らなかったら勿体ない話だ。それに、今日あれだけの時間を相手してくれたお礼もあるしな……」


 実際に、時間にして2~3時間ほどだったかもしれない。


 そもそも人数集めで行った俺たちだ。パートナー探しの機会をうかがっていた主催連中とは違って、もしあの場で陽咲に会っていなかったら、もっと疲労感だけが残っていただろう。


「……それじゃあ、お願いしてもいいですか?」


 陽咲が伝えてきた住所を書き留め、翌日の時間を決めて電話を切った。


 スマホで住所を検索してみると、この部屋から歩いて15分ほどの距離だ。



 しかし……。落ち着いてからふと思う。


 ことの流れとは言え、今日出会ったばかりで年頃の女性の部屋に行くという状況。


 深く考えるほど、目が冴えてしまう。


「まぁ、仕事だ。5歳も違えばなんも起きないだろうし」


 シャワーを浴びてベッドに倒れこむ。


「星野陽咲か……」


 俺は彼女と交換して持ち帰った「自己紹介カード」をもう一度見る。


 今一度見てみると、18歳とはいえ女子高生などによく見る丸文字ではなく、教科書に出てくるような丁寧でしっかりした字を書くようだ。もっとも、モノがモノだけにその場限りの字体を使い分けているのかもしれない。


 深夜番組の面白くもない画面を内容を理解することもなく、ぼんやり見続けていた。


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