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恋のチカラ ~奇跡のひだまり~  作者: 小林汐希
第2部 あなたという時間を…
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第40話 実家のお片付けに




「ひな、出るぞ?」


「はぁい。ちょっと待ってください。冷蔵庫から飲み物持って行きます」


 私は冷蔵庫に冷やしてあったペットボトルと戸棚からお菓子を適当に袋に詰めて戸締まりをした。


 車のエンジンと暖房をかけて、私を待っていてくれた旦那さまの剛さん。助手席に座った私を見て苦笑する。


「途中休憩も取るんだし?」


「渋滞だってあるかも知れません」


 時間はまだ日が変わったばかりの真夜中。空には冬の星座であるオリオン座がハッキリと見えている。


 もちろん、こんな時間の道路だから渋滞なんてものもない。


 30分も走れば、高速道路にたどり着いて、剛さんは慣れたように車を車列の流れに乗せた。


「こんな時間にごめんな。休憩とかするときは起こすから寝ていていいぞ。俺も時間調整できるようなら少し仮眠するから」


「うん、でも大丈夫。私は半休で帰らせてもらったけど、剛さん抜けられなかったんだし。遅くなってもお母さん怒らないです」



 私のお母さんから電話があったのは一昨日のこと。実家に置いてある私の荷物を整理したいという話だった。


 そこで、この土日を使って急遽帰省することになったのだけれども。


 私、坂田陽咲の実家は長野県の松本市になる。今の二人の住まいからだと、東名高速、圏央道、中央道と抜けていくから、必ず高速渋滞にはまってしまう。


 そのため、私が会社を早く切り上げて先に支度をして、剛さんは最低限の仮眠をして、渋滞区間を抜けてから車内で休むという強行スケジュールを組んだ。


「あの、今日のお昼ね、設備課の尾張さんから、そんなに早く結婚して勿体ないって言われたんです」


「なんて返したんだ?」


「私は大切な人のところで一緒にいるって決めたんですから、後悔なんかしてません!って」


「なるほどな。それであいつ夕方俺のところに真っ青になって謝りに来たんだな?」


 私も、来月で25歳になる。実際、この歳で結婚3年目と言うと、近所の友人や会社の後輩たちからは、早いと言われることが多い。そして、旦那さまの剛さんは今年30歳になる5歳差。同じ会社で、社内では同僚かつ上司と部下関係にある私たち。



 今年とか入って来た後輩たちから見れば、社内恋愛と聞かれても仕方ない。


 でも、そんなものじゃなかった。


 私は、剛さんに出会っていなかったら、言葉だけでなく、本当にこの世にはいられなかったのだから。


「知らなかったんだから仕方ないですよね」


「でもさぁ、そういうふうに言われるって事は、ひなが若く見られているわけで、嬉しいような複雑だなぁ俺は」


「大丈夫。私は剛さんにずっとついて行くって決めたんです。だから心配は無用です」


 その言葉に偽りはない。それが私に許された唯一の人生だもの。




 夜中の高速道路はトラックが多かったけれど、恐れていた渋滞もなくスムーズに流れた。


 甲府を過ぎて、双葉サービスエリアに入る。ここで剛さんは長めの休憩に入ると決めていた。夜が明けて朝食をとってから出発する。


「ひなも休んでおけよ?」


「うん、おやすみなさい」


 運転席のシートを倒して毛布をかけた剛さん。


 急な話で休憩もなく出発となった。申し訳なくて、邪魔をしないように静かに外に出た。


 11月にもなると日の出が6時近くだから4時過ぎの今はまだ真っ暗で、空を見上げると、まだたくさんの星が見える。


 手洗いを済ませてから、自販機で紅茶を買ってベンチに腰を下ろした。


 エリアの外を見下ろすと甲府の街の灯りが見える。


 こんなふうに一人で夜景を見下ろしていたのは初めてじゃない……。



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