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国と野良

「…シンさん、ルビーを一刻も早く病院に。」

長時間遊具の陰に置き去りにされたルビーを見て。

一刻も早く医療関係者に大丈夫ですよ、と言ってもらいたい、そう思った。

正直、子どもに関する生体とかそういうのあんまり関係ないかなぁ、パートナーに任せておけばみたいに考えて積極的に学んでいなかった部分は否定できないから。


「ルビーならしばらくはこのままで大丈夫だよ。データ確認する限りでは異常な程の高熱出てるわけでもないし、水分もそんなにがっつくように飲んではいない。」

熱中症や脱水の傾向は出ていない。

離れる直前までマチルダさんがきちんと面倒を見ていた、そして、夕方で涼しくなったと言え、油断せずにいてくれたおかげだろう。


「シンさんに子供のことなんてわかるわけないじゃないか。」

シンさんは見るからにどこにでもいる20代の大人にしか見えないし。

とにかく、心配だ。ルビーに何かあったら…。

その思いが不意をついて口を出ていた。

ここまで言ってもシンさんを頼れないのなら…。


「僕も、仮親の経験者だし、育児のカリキュラムは君たちが学ぶ以上に多かった世代だよ。」

僕らの世代以降、育児はこうあるべきって決めつけるよりも家庭的な雰囲気を出せるよう家庭環境に関するカリキュラムが増えたと聞いている。

この言葉でルー君に信用してもらえたらいいんだけど。

ルビーを守りたい気持ちは強く伝わってくるけど、マチルダさんへはきついあたりをして。

これ以上続くようであれば、評価を少し落として要注意パートナーとして様子を見る予定だったが。


「ほんとう…ですね?本当に、仮親だったんですね?」

シンさんが仮親だったなら信頼はおける。

高等教育都市ロカルノで授業の一環で育英都市から先輩方を呼んでの講義があった。

みんな子どもたちを連れての参加だったがそれほど離れていない年だというのに眩しく、大人びて見えた。

あんな先輩方と同じであれば…。


「わかりました。いまはシンさんの言葉を信用します。」

不満顔をしながらも、何とか納得はしてくれたようで良かったと思う。

マップで確認するに、ただ、闇雲に逃げるよりは人混みに紛れて動いている動きに見える。

多分、人の目があれば危害を加える隙がないとわかっているからそうしているのであろう。


「単刀直入に言う。マチルダさんに危害を加えようとする人が彼女を追っている。

ルビーを守りたいからこうして、信頼の置ける人に託そうとして。」

彼女を保護しよう。詳しい話はそこからだ。

現地に向かいつつ、ルー君はルビーを守らないといけないから、危険な行為はしないようにと釘を差される。

このときは知ることもなかった。

俺が国に育てられた人間なら、彼女は野良の世界で生きてきたことに___。








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