警告通知
「…サクちゃん、戻ってきてたんだねぇ。」
えーと、遠山 さくのファン?の内で危険な感じの人…。
って、ルビーが危ない…。まずい。
この気色悪くなる話し方、ほんとに危険だ。
誰か、…ルビーを守れる人…。
「…サクちゃん、赤ん坊?だめじゃないか…。」
まずい。ルビーを狙われたら庇って逃げ切れるの?
こんなことなら、険悪でもいいからルーの側で居たほうが私はともかく、ルビーは安全だったのかな?
ルー、お願い。ルビーだけでも助けて…。
咄嗟に抱き上げたルビーを連れて逃げる。
足の速さだと逃げ切れるわけがないことはわかっているけど、ここは幸いにも6歳まで過ごした高等教育都市ロカルノ。
和音さんと過ごした時間を無駄にはしない。
「ルー君、緊急事態だ。もうすぐそちらの山田さんも…。あー、アラートが始まった。」
とにかく移動しながら詳しいことは説明するから。転移ポートを手配をかけている。
矢継ぎ早に断片的なことしか知らされず、とにかくも緊急時用の転移ポートとやらで移動しながら説明される。
「マチルダさんはルビーを連れて出身地に里帰りしたのはわかっているね?」
ああ。だけど、彼女も被験者でどこか高等教育都市の出身だろう?
彼女の仮親の下に戻っただけのことでは?
ご両親と一緒であれば一定の危険からは守ってもらえるはず…。
独り言をついたと思っていたのだが。
ルー君の推測はこのシステムの基本的な仕組みを理解しているからのものだね。
いつもの穏やかな口調で現れたのはコーディネーター。
「直接顔を合わせるのは初めてだね。
コーディネーターのシンだ。」
ちょうど仕事をしていて警告通知が端末に届いた。
少し前に気にかけていた仮親の通知だったために驚いた。
この二人には話していなかったけど、僕は特例だったり、気にかかる経歴を持つ仮親たちを本業としてコーディネートしている国の機関の人間だ。
この仮親たちはルー君は通常の課程を経ての仮親採用になるが、マチルダさんは例外扱いになる。
国との契約で僕からルー君に伝えてもいいことはある程度決められている。
「今から少し前。マチルダさんが滞在している都市に接近禁止を申し立てられている人物が不法に入ったとアラートが鳴った。」
マチルダさんの側に仮親たちが居れば少しは護ってくれるのだろうけど。
今の彼女は単独で赤子を連れて動くしかなくて。
つまり、危険な状態が迫っているということ。
早く助けに行かないと…。
「それって、俺が対応することですか?
誰か、彼女の仮親とか、国の人とか。」
マチルダと普段関わらないからこそ言える言葉だろう。
ルー君、置いてきたほうが良かったかな?
もしかして、ルー君に警告を出していたわけじゃ、ないよね___。