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茶店にて

「さくちゃんが帰ってきてるなんて思わなかったよ。」

ルビーを連れた私に配慮してくれた篠さんはショッピングモールの茶店に案内をしてくれた。

道中、この10年の近況を軽く話し合った。

篠さんは、遠山 さくのマネージャーを終えたあと、また同じように幼いタレントを育て始めたのだとか。

遠山 さくの名前が届くたび、遠くからではあるが活動を応援してくれていたらしい。


「少し前に活動休止の報道を目にして心配していたんだよ。」

優しいお父さんって感じがする篠さんや、ここで和音さんに育てられていた私を知る人たちにまで嘘はつきたくなかったな。

それでも、国との契約だから。

それに、篠さんやお世話になった人たちには幸せでいると思ってほしいから。


「連絡できなくて、スミマセン。」

和音さんのイトコに引き取られたことにしてここを出てからのこと。

引き取られた先でWCCの通知を受け取り、引き合わせられた人と結婚してルビーに恵まれて。

即興で辻褄を合わせて考えた設定。

空白の10年間を埋める嘘。


「さくちゃん、今は幸せ、でいいんだね?」

篠さんの唐突の問いに笑って肯定をする。

嘘でも、仮初だったとしても一人ぼっちじゃない。

ルビーや山田さん、不本意ながらルーも今の家族の一人と数えられるだろう。


「ああ、良かった。さくちゃんが幸せじゃないって答えていたら、うちのコとして連れて帰るところだったよ。」

物騒な言葉と意地悪そうに笑う篠さん。

これは、ルーの存在をからかわれたのかな?

もー、篠さんてばっ。からかわないでくださいな。

今はこんなにかわいいルビーも連れてるのにっ。


「篠さん、私、夏休みの間はこの都市に滞在する予定なんです。」

和音さんのお店、少しは片付けておかないと帰って来る予定だから。

そうしたら、その頃にはルビー君は看板息子になるってわけか。

楽しみにしてるし、それまでにこうして帰って来るんだろう?

その時は連絡してくれよな。孫を可愛がりに来るから。

別れ際に優しくルビーに接してくれる篠さん。

やっぱり、篠さんは和音さんに続いてで私のお父さんらしい。


「篠さん、優しい人だよね、ルビー。」

まったく。ルーもあんな優しいお父さんなら良かったのにね…。

って、無理かぁ。本当のお父さんじゃないもんね…。

何も知らないルビーをあやして、お店への帰路につく。

さて、と。帰ったらまたレポートの続きを…。

って、あれ?お店の前に誰かいる?___







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