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始動

「…ID222138、高等育英都市フェルネウス第一家政学部卒業、浅井 マチルダ。

育英都市トロントにおいて極秘任務、未来projectのマザーとしての任命を下す。」

西暦、9985年3月末。

フェルネウス第一家政学部の寮の自室にて、卒業後の確定未来をウェアラブルコンピューティングシステム、通称WCCより通知を受ける。

世界が一つの国家となり、早、幾千年。

WCCにおいて、人々は未来の確定診断を受け、幸福な人生を歩むことを確約された。

幾通りもの人生が適性、ライフスタイルによって決められる時代。

その中でも最大の欠点とされたのが捨て子の問題だ。

決められた未来に沿わない子供。

その子供たちは名前もつけられることなく捨てられていく。

頭を抱えた国が苦肉の策として打ち出した計画こそ、未来project。


「今を売り渡し、未来を買う。」

不平等な人生だ。こんなのが国の制度としてまかり通るとは。

計画の概要を読み、鼻で笑い飛ばす。

この計画に入らなければ、ろくな人生歩めないのはわかっている。

これから先、幸せなんてやって来るのか?


「はじめまして。

浅井 マチルダと申します。」

あなたがファザーの浅倉 ルーですね。

赤ん坊を抱いた紫のウェーブのかかったアッシュモーブの瞳をした女が言う。

ああ。緩い日暮れの陽光がどこかのアイドルを彷彿とさせるような小柄な少女の姿を映す。


「養育惑星、イオネウスがこちらに向かう銀河電鉄の沿線でしたのでこの子をつれてきました。」

浅井 マチルダとはパートナーと内定した段階からメールでのやり取りが始まっていた。

どちらかが養育惑星で対象の赤子を引き取らなければならないが、沿線という事でマチルダが引き取りをしてくれた。

こんなところでも何ですし、中に入りましょうか。

全員のIDをかざして中に入る。


「お帰りナサイまし。

ワタクシ、この未来project専用家庭型アンドロイドや・まだと申しマス。」

えーと…。発音が難しいので山田さんと呼ぶことにしよう。

彼女の案内で室内に落ち着き、まず、提案がなされたのが赤子の名付けだ。

10日ほど前に捨てられた赤子は男の子ということ、労働都市アルノー出身であることのみわかっている。


「ルビーはどうかしら?

この子の赤い髪と私たちから一文字取ったわ。」

マチルダの言葉に賛成をしておく。

ルビーの響きもいいし、赤子に似合いの名前だと思ったから。

ねえ、ルー。

私たちの設定はどうしようか?

この世界では15からの結婚は許されている。

その事についての話だろう。


「んー?そうだな。

俺たちは夫婦でルビーは子供ってことにするか。」

お前には浅倉を名乗ってもらうが。

あと、学歴、年齢を偽ってもらうことになるが。

ええ、もちろん。

こうして様々な約束ごとが決められて1日が終わったーーー。

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