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助けたギャルが高嶺の花だった  作者: 大豆の神
そして二人は――
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#93 翔太の恋のトレーニング……?

 その晩のトレーニング中は、放課後の話で持ち切りだった。というのも、翔太も弥勒寺先輩の襲来を目にしていたのだ。花森先輩の助太刀を経て、俺達の三人行動の顛末がどうなったか気になっていたらしい。


 買い物の話を聞いて、翔太は満足そうな声を上げた。


「へぇ、その縄跳びにはそんな物語があったんだね」


「まぁ、願掛けみたいな感じだな。受験の時に『○○高合格!』って壁紙張るみたいなさ」


「その縄跳びが光に力をもたらしてくれるなら、小野寺さんも選んだ甲斐があるってものだね」


 この公園には俺と翔太の二人しかいない。でも、もっと仲間がいるような感覚がしていた。小野寺だけじゃない、一緒に戦ってくれる蓮や矢野、花森先輩もここにいる、不思議とそう思えたのだ。それが縄跳びのおかげなのか気の持ちようなのかは分からないけど、とても心強かった。


「色んな人が協力してくれてるんだ。……負けるわけにはいかないよな」


「光、もう少し素直になったらどうなんだい?」


「え?」


「最初から負けるつもりはないんだろう?」


 翔太に言われてハッとする。たしかに、俺はたくさんの人に助けられている。翔太や蓮、矢野という友達だけじゃなくて、花森先輩や最上先輩みたいな頼りになる先輩の力も借りているのだ。

 それでも、俺の優先順位の一番上――たとえ一人で立ち向かわなくちゃいけなかったとしても、揺らがない信念がある。


「……そうだな。俺は、これからも小野寺の隣にいたいんだ。――だから、負けたくない」


「恋は男にとって一世一代の大勝負なんだ。こういう時くらい、闘争本能を剥き出しにしないとね」


 そう言って翔太はニヤリと笑みを浮かべる。

 両想いだったとはいえ、自分の手で好きな相手を物にした男が言うと説得力が違うな。


「そうだ、これを渡し忘れてたよ」


 俺は、翔太から小さく折りたたまれた紙を受け取る。


「ポケットに入れる為に折りすぎちゃったけど、大目に見てもらえると嬉しいな」


「それはいいんだけど……なんだこれ?」


「……それを聞くなら、せめて中を開いてからにしてもらえるかい?」


 翔太の許しも得たところで、俺は折り目を開いていく。

 中に記されていたのは、今後の日付といくつかの文字。ランニング、縄跳び、休養と日付の隣に書かれたそれを見て、俺はピンときた。


「これ、スケジュール表か?」


「簡易的なものだけどね。前の日にならないとメニューが分からないんじゃ、予定も立てづらいだろう?」


「この時間はだいたい暇だけどな」


「小野寺さんと電話したりしないのかい?」


「電話は……ほら、それなりの用がないとだろ……」


 ……そうだよな?! 大して用もないのに電話かけて、話すことがなくなって気まずくなるなんて嫌だろ? 聡明な同士諸兄なら、分かってくれると信じてるからな。


「まさか光がそこまで初心だったとはね……。――じゃあトレーナー命令だ。今度の休養日、小野寺さんに電話で遊びに誘うこと」


「は、はぁ?! 何言ってるんだいきなり!」


「これもトレーニングの一環だよ」


「そんなわけあるか!」


「そんなことはないさ。体だけじゃなくて心のリフレッシュも大事だからね。小野寺さんとどこかに出かけて気分転換してくるんだ」


 ……得意げに言われてしまうと、本当にそんな気がしてきた。

 ……ちょうど二人で出かける約束はしている。あとは場所とかを決めるだけで、翔太からの指令はこなせる。……俺に、電話する度胸さえあれば。

お読みいただき、ありがとうがとうございます。

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