#48 最強コンビ結成
ユニークPV4000突破ありがとうございます。
今後も精進していきたいと思います。
「あとは、応援演説をする推薦者を決めるくらいかな?」
「そうだな。推薦者は演説会当日に登壇するし、立候補者の次に注目される立場だ。個人的には、ここで決まるとすら思ってる」
立候補者の演説は、主観で語られる実現目標や自己PRだ。しかし、応援演説は客観的に立候補者を見た、他己紹介の側面がある。立候補者をよく知る者が登壇すると同時に、外からの観点で投票したいと思わせることが求められる、説得力が不可欠といえる仕事だ。
「推薦者って、私達の中から選ぶんだよね?」
「もちろんだ。――俺には、推薦者をやってもらいたい人がいる」
「ふーん、てっきり光がやるのかと思ってたわ」
「俺が登壇しても、『誰だこいつ』って思われるだけだろ」
「渚の許婚、なんでしょ? 有名人じゃない」
「ばっ……! 噂はいずれ消えるものなんだよ!」
「ってことは――」
何か勘付いた様子の矢野が、小野寺に視線を向ける。
「……麗奈ちゃん? どうしたの?」
肝心の小野寺は、ここぞというところで察しが悪いらしい。
矢野からの『言っちゃえ言っちゃえ!』という無言の圧に、俺は頷いた。
「俺は矢野の推薦者を、小野寺にやってもらいたいと思ってる」
「え、私……?」
俺の指名に、小野寺は面食らっているようだ。
本当に気付いてなかったのか……。この場に小野寺以上の適任はいないんだけどな……。
「いいか? 小野寺は、俺達の中で一番の有名人だ。定期テストで常にトップの生徒ってだけでも注目されるだろうし、高嶺の花っていう先入観がなくても、小野寺が才色兼備であることに変わりはない。むしろ今の小野寺の方が、親しみやすくて俺はいいと思う」
俺が主張を述べると、周囲の空気はなぜか生暖かいものになっていた。
……あれ? 俺なんか変なこと言ったか?
「あんた、真顔でよくそんなこと言えるわね……」
「僕でも少し躊躇いそうなものだけど、無自覚なんだから恐ろしいね」
呆れた物言いながら、蓮はどこかニヤついた様子だ。翔太に至っては、少し引き気味にも見える。
「……変なことは言ってないだろ?」
こいつらは、こうやって俺をおちょくろうとする時がある。……昔は三人組だったからしてやられたが、今はそうはいかないぞ。
俺は残りの二人――小野寺と矢野に同意を求めようと目を向ける。しかし――
「きゃー…………大胆だね……」
「ぁ、えっと…………」
矢野は両手で顔を覆っているし、小野寺は俯いて言葉も出ないときた。
……どうやら、この場に俺の味方はいないみたいだな。
「どう収拾つけるんだよ、これ……」
昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴って、ようやく小野寺から承諾の旨を聞くことができた。
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