表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/123

#25 文化祭二日目・終

「文化祭楽しかったね」


「そうだな」


 閉会式を終え、俺と小野寺は撤収作業の後に下校した。

 約束をしたとはいえ、こうして文化祭が終わっても一緒にいられるのは嬉しいことだ。


「そういえば閉会式のあれ、すごかったよな」


「うん。いきなりだったから、私びっくりしちゃった」


 首謀者である最上先輩を除いて、おそらくあの場にいる全員が驚いたに違いない。


「まさか登壇して告白するなんてね」


 閉会式の山場である実行委員長の挨拶。そこで最上先輩は、大胆にも従者に愛を告げたのだ。


『綾音君! 僕は君を愛している! 高校生活最後の文化祭を、君と一緒に過ごせて最高に楽しかった』


 マイク越しではなく、肉声で伝えられたその言葉に、綾音先輩はただ一言『仰せのままに』と答えた。

 主と従者に、それ以上の言葉はいらなかった。


「近くにいた人の話だと、綾音先輩も涙目になってたらしい」


「なんだかロマンチックだね」


 小野寺も、そういう劇的なシチュエーションを求めるのだろうか。

 ふと、そんな疑問が頭に湧く。


「でも、私は恥ずかしいかな。……大勢の前での告白なんて、考えただけで熱くなっちゃうよ」


 そう言って小野寺は、言葉の通り耳の端を赤くした。

 あれは最上先輩だからできたものであって、俺がそれを追いかける必要はない。俺は俺のやり方で、思いを伝えればいいのだ。


「……参考になる」


「え?」

 

「いや! なんでもない! あー、文化祭も終わったし、二週間後は中間テストだな」


「私、勉強には自信あるから任せて」


 翔太としては、小野寺の加入は心強いだろう。自分の勉強をしながら、俺と蓮の面倒まで見ていたのだから、かなりの負担だったはずだ。


「お世話になります」


 深々と頭を下げ、小野寺に誠意の姿勢を見せる。

 

「……私の為にやってることだから気にしないで」


「それって、誰かに教えるのも勉強になるってやつか?」


 翔太も最初はそう言っていたが、さすがに一対二は厳しかったらしく、早々に発言を撤回していた。


「ううん、違うの。もし、放課後に補習が入っちゃったら、間宮君と一緒に帰れなくなっちゃうでしょ」


 少し照れ臭そうな小野寺の姿に、なんとしても平均点は取ろうと心に誓った。

お読みいただき、ありがとうがとうございます。

面白い、続きを読みたいと思ったら、☆評価や感想などを頂けると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ