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花浜匙  作者: 遠華鏡
プロローグ
2/8

第1話「再会」

 続けて投稿しました。

 この世界には、人間界と天界が存在する。

 地上に存在する人間界と雲の上に存在する天界。人間界は大小様々な国に分かれ、常に何処かしらで戦が起こっている。一方天界には、絢爛豪華な街並みが続いており、何処もかしこも明るく賑やかな声で満ちていた。天界一の広さを誇る大広場には、いつも楽しげに話す神々で溢れている。

 夏も終盤に差し掛かったある日、灰色の光線が大広場の中央に設置してある台に落ちた。その台は神となった人間が天界で初めて踏み締める土地であり、大広場で話す神々の話題というのはだいたいその時の心情の話である。

 灰色の光線が落ちた衝撃で、天界で唯一時間を知らせる時計塔の鐘が落ち、天界に住む神々の家が崩れた。数多の神々が野次馬の如く広場に集まった。

「おいおい、いったい何が起きてんだ? 凄い衝撃が来たぞ!」

「今の衝撃で俺の家が崩れたぁぁぁぁ!」

「ちょっと! 時計塔の鐘がないじゃ無い! あんな光線見た事ないし、天界が崩れちゃうわよ!」

「なぁ、灰色の光線って、もしかしてだけどさ、もしかするのか?!」

「知らねぇよ! 何なんだよ!」

 それぞれの反応を示す中、2柱の武神が静かに光線に近づいていった。

「早く行くぞ」

「わかってるよ」

 ようやく光が収まったと思い、野次馬しに来た神々が光線が落ちた台を見ると、まるで恐しい化け物を見たかの如く悲鳴をあげて逃げていった。逃げている最中、とある男神が悲鳴に近い声で言った。

「天主様に早くご報告しろ! 邪害神(じゃがいしん)が天界に不幸を運んできたと! このままでは、天界にいる全ての神々の魂が消滅させられると!」

 邪害神と呼ばれたのは、15、6歳程の、銀の長髪を無造作に高く結んだ、深い空色の目をした美しい男子だった。その男子の着ている長袍は喪服の様に黒く、ところどころ擦り切れている。顔には狛犬の面をかけている。

 男子の前に来た2柱の武神は、男子の顔を見て優しく微笑んだ後、片膝を立てて跪いた。そして、声を合わせて言った。

「「この度の天雷(てんらい)の送り、誠におめでとうございます! 心よりお祝い申し上げます! 無慚殿下!」」

 黒の長髪を団子にして結び、赤を基調とした軍服を着た端正な顔立ちの、20歳程の姿をした男性の武神が泣きながら言った。

「.....お久しぶりです。お会いしとうございましたっ!」

 片方の、色白の肌を持つ眉目秀麗の、茶色の長髪を綺麗に1つに結んだ緑を基調とした同じ様な格好で、泣いている武神とそう変わり無い歳の姿をした男性の武神が、目に涙を浮かべながら、泣いている武神を小突いた。

「おい、泣くなよ。俺だって我慢してんのに」

 邪害神と呼ばれた男子は笑顔で言った。

「有り難う、焔、颪。僕も2人に会えてとても嬉しいよ。ああ、焔そんなに泣かないでよ。僕まで泣いちゃいそうだよ」

 狛犬の面をかけている邪害神の名は、無慚(むざん)

 そして、初めに泣き出した武神の名は焔。

 目に涙を浮かべている武神の名は颪。

 この3柱は約500年振りに再会したのである。

「ところでその口調なに?」

「「あ、やっぱり変?」」

「変だよ」

誤字脱字などがあったら教えて下さい。

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