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 今まで、アクセル、リアム、ライアン(1周目も含めて)という3人の攻略キャラを見ている。

 どうせ学校で会うのだから、いつか他の攻略キャラとも会えることは想定内ではあった。けれど、残りの攻略キャラ3人のうち、エイダンに会うのだけは、少し避けたかった。


 エイダンはゲーム中で、マリーのことを、ことごとく嫌っていた。その分、エマとしてプレイしている時は、わりと容易に攻略できるキャラでもあった。ただ、現状として、マリーとなっている今、それは不安材料でしかない。



 嫌っている理由は、ゲーム中では明かされていないし、後日発売されたらしいファンブックには載っていたのかもしれないけれど、生憎、買っていない。

 マリーの中でも、学校ではじめてエイダンと会ったはずなのに、なぜか嫌われているという記憶だ。本当に、何故なのだろう。



 その時ふと、ルーシーとのことが思い出された。あの時は、公爵家ほどの家柄なら、ルーシーを家に招致することも簡単だろうから、覚えていないだけで、1周目のマリーが何かをやらかして、ドレスを作って貰えなかったんじゃないかと考えた。

 その、『覚えていない』というところに、ヒントがあるのかもしれない。



 もし、1周目でもエイダンが、家庭教師として招かれていたとしたらどうだろう。そして、そのエイダンに、何かしら嫌な気分になるようなことをしでかしていたら…………?



 マリーは、『よほど』のことしか記憶として覚えていない。にいがきまりにとっては、攻略キャラに会うことは、注目すべき『よほど』のことだ。けど、マリーにとったら、ただの記憶する必要もない家庭教師としてしか思っていなかったのでは…………?



 どれも推論でしかないし、今となっては確かめようがない。けど、可能性としては高い。

 嫌な目に合わされた相手の家庭教師をしていたけど、学院ですっかり忘れられて、ハジメマシテなんて言われたら、嫌いになるもの無理はない。

 私なら、嫌いになる。



「緊張されていますか?」



 私が悶々と考え事をしていたら、声をかけられて意識が戻された。

 私が固まっていたのを、緊張しているのだととられたらしい。

 茶色の澄んだ瞳が、私を心配そうに見下ろす。



「あ、はい。少し……。」



 ごまかすように、両手の人差し指をあわせてツンツンとし、モジモジとしていたら、私の目線の高さまでエイダンが屈んだ。エイダンの茶色の目が、すぐそばにある。



「緊張せずとも、大丈夫ですよ。」



 エイダンはそう言って、柔らかく破顔し、私に手を差し出した。私の緊張をほぐそうとしているのがわかる笑み。少したれ目気味なところが、可愛いと前世では思っていた。相手は自分よりかなり大人だけど、やっぱり可愛いと思ってしまった。



 どうすればいいのかわからなくて、同じようにエイダンに手を差し出すと、その手の甲に、エイダンは唇を軽く押し当てた。



 いや、逆に緊張しますからーーーー!!!



 後でソフィアに聞いたけど、手の甲へのキスは相手への敬愛を示すものらしい。

 はじめましてでするものなのだろうか、それ。

 逆にエイダンに対して、警戒心がわいてしまった。

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