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生まれ変わったら死んでました〜怠惰なゾンビは隠者になりたい〜  作者: かんた
第1章 ゾンビになった日
10/49

天国からの手紙?

前回までのあらすじ


ゾンビな話なのに、今さらのホラー展開でした。



『母さんへ』



『昔から体が弱かったので、ずっと考えていました』


『もし自分が、愛する人を、世界を、何もかもを残して旅立つとしたら、何を思い、何を願うだろうか』


『家族には一生分の幸せをもらいました。

 父さんは僕が動けるようになって、一緒に冒険者の真似事でもしようって本気で思ってくれていた。

 母さんはいつも笑ってるけど、僕のことに対する不安に押しつぶされそうで、見ていて辛かった。

 フニランがそれを一番に感じ取っていたようで、それを毎晩僕に訴えてくるから、もっともっと辛かったなあ』


『領主様には本当にお世話になりました。

「我が家にも君と同い年の娘がいて、同じ寝たきりだが、友達になってやってほしい」って言ってくれた。おっきな背中だった。

 もし動けるようになったら、その後も生きられるんだったら、あんな人になりたかった』


『近所の子には、顔色の悪いゾンビ野郎って、散々馬鹿にされたけど、僕には同い年の友達がいなかったから、それでも嬉しかったんだ。今は本物のゾンビらしいけどね』



『なんで母さんの手紙にこんなことを書いたのか、疑問に思うよね?』


『別に後で父さんに見せても構わないよ。ただ愚痴りたかっただけだし。偉そうにごめんね?』



『ずっとこうやって、話したかったんだ。母さんとは』


『父さんは頭固くて裏表ないからできなかったけど、ずっと僕のことペロペロあばあば親バカなふりして心の底で泣いていた母さんなら、いきなりでも答えてくれると思ったからさ。もうそれを聞ける僕でもないけどね』



『最初に書いた「何を思って、何を願うか」の答えだけど』


『僕はもう苦しみの外、穏やかなところに行くんだって、女神様が教えてくれた。

 でもこの世界で、新しい「僕」が愛されないのは、母さんが愛せないのは悲し過ぎる』


『だからさ、これまで僕にして来たように、今のゾンビになった「僕」のことも、心の底から愛してよ。僕だと思ってさ』



『遺言はそれだけ、あとは言わなくてもわかるだろうし、これで吹っ切れるよね?』


『あえて別れは言いません。愛しています』







『父さんへ』



『この本返します。あと普通に恥ずかしいのと、あんま時間ないのもあるし、内容はお母さんの方の手紙にうっすらーと書いておいたので、それでなんとなく察しておいてください。終わり』


『P.S いつも頭おかしいんじゃないかってくらいパワフルだった、あなたの輝きを忘れません。あと10年あれば、あなたの悲しみを知れたのかなって思います。

 父さんみたいにはなれなかったけど、息子らしい反応できなかったけど、尊敬してるよ。心の底から』








『ゾンビになった僕へ』


『フニランへの手紙は書かないので、僕が天に召された後にいっぱい甘やかしといてください。僕も今夜中は甘やかしとくんで』


『タンスの下に僕の日記があるので、なんとなくでいいんで僕のこと知っといてください。これから生活するのに役立ちます』


『後のことはよろしくお願いします。あなたに女神の祝福があらんことを』







『そして、クロムハーツ家の新たな一歩に、僕から精一杯の願いを込めて』




『________ケロック・クロムハーツ』



これでプロローグ的なお話は終了です。

父への手紙で本文と追伸が逆に見えるのは、家族内でファランの立場を示す伝統芸の一つだと思ってください。

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