第10話 ニューヨーク予選 前編
アメリカ、テキサス州ビーチバレッチから5000㎞
ここニューヨークでアメリカンストリートレースグランプリ一次予選と二次予選が行われる。
「ふう、やっと着いた。」
「皆大丈夫かなぁ?」
「さきに偵察したらしいけど、トップスピードとドリフト重視のコースらしいよ。」
「都市部らしいコースだな。」
だとすれば、Mustang GTで行った方が良いのかな?
馬力は945馬力でトップスピードとコーナーを曲がりやすくしたからな。
「リク、何で行くの?」
「Mustang GTで行こうかなと思ったところ。」
「確かにあのMustang GTはトップスピードとコーナーに特化した車だものね。」
「そっちは?」
「r34 GTRで行こうかなと思っている。」
「そうか。もうすぐスタートの時間だし、先に乗っとくね。」
「うん、分かった。」
カチャッバン
そして僕はレースコースへと向かった。
『さあ、今年も始まりました。アメリカンストリートレースグランプリ。
今年は史上初の6人姉弟のレーサーが出場します。もし、6人姉弟全員がニューヨーク、シアトルでの予選を通過したら、史上初の姉弟6人がアメリカンストリートレースグランプリワールドツアー出場する事となります。申し遅れました。
実況のクレスティンです。』
『クレスティンさん、あなたは毎度の事ですが、自己紹介が遅いですよ。解説のロバートです。』
『今年のアメリカンストリートレースグランプリニューヨーク予選はどんな風になるでしょうか?』
『今年のニューヨーク予選は、世界最大の予選大会です。今回も60人もの選手が参加します。
この中でも注目選手はチームとして参加してるチームsix racersはストリートレースのチームとしても存在しているチームで、特にこのチームがあるテキサス州ビーチバレッチはスピード感溢れるストリートレースができる都市として有名です。ロバートさん、この事はどう思いますか?』
『このグランプリではストリートレーサーが出ることも珍しくはありません。実際、ストリートレーサーが優勝した年も何度かあります。
もちろん、私もストリートレーサーだったので例外ではありません。今回も世界中のストリートレーサーが出ているので、私はsix racersがこの予選大会でトップを狙っているのは確かでしょう。』
『しかし、なぜ、ストリートレーサーはトップしか狙わないのでしょうか。』
『理由はすこぶる簡単です。それは、────』
プチッ
「あっちょっと!!」
「美夜、もうすぐでスタート地点に行かなきゃでしょ。最終調整も終わっているから速く行くわよ。」
「はーい。」
「こちらリク、スタート地点の配置に付いた。通信できてる?」
「こちら七海、リク大丈夫よ。通信状態は良好よ。」
「こちら妙子、もうすぐでスタートよ。」
『エンジンスタート!!』
甲高いエンジン音がスタート地点から鳴り響いた。
『Trafic signal countdown start!!』
6列に並んだ信号が左から順に点灯し始め、そして全て赤になった瞬間、一気に信号が青に切り替わった。
勢い良く60台の車が走り出した。
今回のレースはサーキットレースでニューヨークの街中一周5㎞のコースを20周する。
所々にS字のカーブがいくつもあり、毎年、何人かの脱落者がここで発生する。
「様子見て周囲を確認したけど全速力で走るか。
姉ちゃん付いてきて!」
「分かった!」
「了解!!」
『このレースは馬力の範囲指定はがあります。最低馬力は990馬力、最高馬力は1060馬力までとなっています。この馬力の範囲指定で皆さん、最高馬力に行くのかとおもっておりましたが、どうやら1000馬力前後でまとまっているようです。』
レース開始から5分思ってたより順位が上がらないし、1位グループから少し遠いしな。
『1位グループはネセロン、クレンディ、クレシイーノの3人、2位グループはsix racersの6人が固まっています。おっとここで事故の情報が来ました。12位のヒュウゴ選手、11位のレスナー選手が事故によりクラッシュし、棄権したとの事です。そして、チェイサーが導入されたとの情報です。』
ザーッ
『レーサー全員に告ぐ。チェイサーを導入する。以上だ。』
「姉さん、チェイサーって?」
「そのまんまよ。追跡車よ。」
「役割は?」
「チェイサーは鬼、つまりクラッシュさせようとするわ。」
「ってことは、このレースはテクニック、スピードコントロールが必要ってこと。」
「1位との差はあまりない。一気に詰めるぞ。」
1位は俺達の物だ!