81/167
空を歩くひと
あのひともきっと
やり場のないこの世界で
優しいひとだった
さよならも言わずに
記憶の空へ消えたひと
心に穴が開いて
寒くて震えていた
それでも握りしめた
指先の温もりを信じた
あのひとはきっと
やり場のない叫び声を
抱えたひとだった
愛してるとひとこと
記憶の空を歩くひと
心に穴を開けて
流れる血潮を見た
縋るように信じてた
指先の感触を感じてた
帰ろう、記憶の中の街へ
煙った朝のにおいが
懐かしい海と山と
雑踏が待つふるさとへ
帰ろう、記憶の中の街へ
緑の初夏のにおいが
眩しくて海も山も
駆け巡ったあのころへ




