「ゴメンね」と愛の始まり
「貴方なんてもう知らないからっ!ほっといてよ!」
俺の頬を叩き目の前から消えた、愛おしい彼女。
俺の部屋を飛び出す姿を唖然と見ていた。
本当は自分が悪い。でも、素直になれないんだよ。
あの日から一週間が経とうとしていた。
君が居ない夜は悲しくて寝れない。
悲しくて目を閉じた。
「あ、あのっ…神代先輩…。」
『何だ?春香さん。』
「入学した時から先輩が好きでした…。ひ、一目惚れで…生徒会にも入ったのは生徒会長を追いかける為に…。」
『え…。こんな俺でいいのか?』
「はい…。」
『よろしくな。春香。』
「…!はいっ!」
「蓮…大好きだよ。」
『俺もだ。』
「今日のデート楽しかったよ!」
『別に…。』
「最近冷たいよ…。私が何かしたの?」
『なんでもないから。』
「高校卒業してから可笑しいよ。蓮っ!」
『黙れっ!』
「っ…。」
『ゴメン。』
「貴方なんてもう知らないからっ!ほっといてよ!」
頬に涙が伝い目が覚めた。
彼女が居なくなってから毎日見る夢。
まるで、俺の心に追い打ちをかけるように。
付き合って1年でカップルは別れる聞いた事がある。
でも、俺は違うんだ。
日に日に彼女がさらに愛おしくなって壊しそうで…彼女を。
怖いんだ。
深夜に突然インターホンが鳴った。
『はーい。』
涙で濡れた目を擦り玄関のドアを開けた。
目の前に居たのは愛おしい彼女。
『…あ…。』
すると彼女はこう言った。
「ごめんなさい…。蓮の気も知らないで…。」
『お、俺も…ゴメン。』
目からは大量の涙が溢れて来た。
目を擦っても止まらない。
「泣かないで…。こっちが泣きたくなるよ…。」
俺の涙を指ですくってくれる彼女。
『っ…ありがとう。』
「蓮…大好きだよ…。家を出た時に凄く後悔しちゃって…でも、1週間が経つと会いたくなって…。」
『俺もお前が居なくなってから悪夢にうなされてしまって…。会いたいと願ってしまってさ。』
この日、本当の愛を知った。
『もう、離さないからな。』
「ありがとう…。」