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ガシャァアアン!!



突然の大きな破壊音に私とユグドラは耳を塞いで、ジュリアスと白銀が音のした方向を睨んでいた。


何が起こったのよ!?と私が叫ぶより早く、女性の高笑いが私の耳に届いた。


「アッハハハハハ!ざまぁないわね!!さぁ、どんどんおやりよ!!人造ビーストちゃん!!」


その声に応えて、人々の悲鳴が聞こえる。


そして異常なまでに興奮した獣の咆哮、何が起こっているのか…私は白銀の背中に隠れる形で、会場内を覗き見た。


狂ったように人々を襲う乙姫、まるでそれに従うように人々が連れていたビーストたちが人々を襲う。



「な…なによ、これ…」



私はこれだけを口にするのが精一杯で、その場にペタッとへたりこんでいた。


「白銀。あの女はビーストマスターだ。指名手配中のレディ=スカーレットを知ってるか?」


「知ってる。天才と言われた女だろ?…あれだけの数を操るなんて、洒落にならん相手だ」


そんな話をしながら白銀は愛銃『双月』を抜き、ジュリアスは両手に革のグローブを嵌める。


洒落にならないとか言いながら、白銀もジュリアスも楽しげに笑っている。


猛獣の血が騒ぐ…というより、全力で遊ぶぞ!という子供の様子だ。



「あんたたち!!」



私は立ち上がり、二人の背中に怒鳴る。


その声にびびったのか、二人が恐る恐る私の方を振り向いた。

少し青ざめてるのは、きっと気のせいね。



「わかってるわね!!虎とライオンが不様な戦い方するんじゃないわよ!!やるなら勝ちなさい!!負けて帰ってきたら、私があんたたちをフルボッコにしてやるわよ!!」



私の隣ではユグドラがポカンとしている。


当然かもしれない、こんなことをいう人間も珍しいだろうから。



「「フ…フルボッコ?!」」



言葉の意味は謎でも、ジュリアスは身の危険を察したらしく、尻尾をプルプルと震わせている。


白銀も同じく、尻尾をプルプルと震わせていた。



「わかったら早く行きなさい!!目標はレディ=スカーレットよ!!」



「「はい!女王様!!」」



二人は見事に声をハモらせて、会場内へと飛び込んで行った。


私はそれを見届けるとドレスの裾を破り、太股を露にすると隠していた銃を抜いて安全装置を外した。




「あ…!ユグドラ、ビーストマスターってなに?」


「えぇ…!?黒羽さん、知らずに二人を向かわせたんですかぁ!?」




しばしの沈黙のあと、私はコクンと頷いた。


ユグドラを驚かせる私の無知を知ってか知らずか、会場内に飛び込んだジュリアスと白銀はその能力を遺憾無く発揮していた。



「白銀くん、黒羽さんってカッコイイね。僕、ドキドキしたよ。怖いくらい気の強いとこ、堪らない」


「やらねぇぞ。黒羽は俺様のだからな」



背中をぴたっと合わせ、二人は何やら話してる様子だった。


ちなみに…


私はビーストマスターについて、ユグドラから御教授頂いていた。



「へぇ~…強制的にビーストを操る能力を身につけた人間がいるのね。まったく知らなかった」


感嘆の声を上げた私の目の前で、ユグドラはガックリと両肩を落とす。


「…黒羽さんもセンスがあると思います」


これは褒められてるのかしら?


ふっと嗅いだことのない香水の香りがして、私はその方向へ銃口を向けた。

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