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「ジュリー…?頭に風穴が空く前に思い出せ?訓練所の便所でもシャワールームでも顔合わせてただろ?俺様の部屋は男専用だ…そもそもお前は俺様とルームメイトだったろ?いい子だから脳みその奥をほじくり返して思い出せ?」


ジュリアスの額を銃口でグリグリしている白銀の尻尾を見てみると、ぶわっと膨らんでいる。


男が男に求愛されたわけだから、白銀の立場を考えれば正常な反応だ。



『黒羽お嬢様。ビーストは人間と違い、本来は性別を確定させずに生まれてくるのです。白銀のように男として生まれてくるビーストは珍しいのですよ』



そういえばセバスチャンがそんな話をしていたわ。


なるほどね、ジュリアスの求愛行動は普通なんだ。


白銀がどちらでもなければの話だけども。


「白銀…貴様は俺のことをよく知ってるんだな?」


銃口を突き付けていた白銀はジュリアスの質問に目を細め、双月をホルダーに収めると気に入らないと言わんばかりに睨んだ。


「話がある、来い!」


「はぁ!?」


「苦情は後だ!!」


いきなりそう言うと白銀の腕を掴み、ジュリアスは問答無用で白銀を連れて、私とユグドラから離れた。


不思議な行動に私が首を傾げていると。


「彼は私のためにジュリアスを演じてくれています。彼は私が気付いてないと思っているんです…私も気付いていない振りをしています。…そうしないと彼は出来損ないとしてパパに始末されてしまう…そんなの嫌だから…」


ユグドラの瞳から涙が溢れ出し、私は堪らなくなってユグドラを抱きしめた。




テラスに来ると白銀の腕を離し、周囲に注意を払いながらジュリアスは話を始めた。


「白銀くん。君はどれだけオリジナルを知ってるのかな?教えてほしいことがあるんだ。そのために僕はユグドラとパーティーに参加したんだよ」


急に言葉遣いと態度の変わったジュリアスに驚き、白銀は「まさか…」と唇だけを動かした。


「僕はクローンだ。オリジナルはユグドラを庇って死んでしまった…ユグドラの足もその時にね」


クローンだと告白したジュリアスは「証拠を見せるよ」と時計を外して、右の手首に刻まれている文字を白銀に見せた。


「ユグドラのためか?」


「うん」


素直に頷くジュリアスを見つめ、白銀はゆっくりと口を開いた。


「わかった。俺様の知ってる限りを話す。これはユグドラのためじゃない、お前を生かすためだ」


「ありがとう。白銀くん」


二人が何の話をしていたのかは私にわからなかったけど、ユグドラの様子から見て白銀に用事があったということはわかった。


「…あ」


「え?」


照明が急に落とされて、私とユグドラは小さな声を上げた。


緊急事態を危惧してか、話を中断した様子で白銀とジュリアスが、私とユグドラの側へ寄り添う。

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