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「そうなのか?俺様、黒羽のところに帰りたいばっかりだったから、成績とか気にしてなかった」


「口を開けば、黒羽!黒羽と!貴様の頭には黒羽しかないのか!」


白銀本人がジュリアスをライバルと認識してないんだから、この温度差はあって当たり前の必然なのね。


ジュリアスがライバル感覚で噛み付いても、白銀は同じ訓練所にいた友達の一人感覚でいるんだわ。


天然なのかしら、うちの白銀は。


「俺様は黒羽が好きだから当たり前だ。ジュリーだってユグドラが好きだから頑張ったんだろ?ユグドラのとこに帰るんだって暴れてたじゃねぇか、初日」


「それは忘れろ!!今すぐに忘れてしまえ!!」


逃げ回ってる白銀と追い回してるジュリアス、子猫がじゃれあってるみたい。


ツンツン…誰かが私のドレスの袖を引いた。


視線を下ろすと、車椅子に乗った小さな女の子が私を見上げていた。


「あの…うちのジュリアスが…すみません」


柔らかそうな金髪と薄い青色の目、まるでお人形さんみたいな可愛い女の子。


この子がユグドラなのかしら。


「あれは幼友達のじゃれあいよ、気にしちゃダメ。私は黒羽よ。よろしくね、ユグドラ。危ないから向こうで話しましょ」


「あ…はい。ありがとうございます…黒羽さん」


私はユグドラの車椅子を押して行こうとすると、ジュリアスと白銀が追いかけっこをやめて戻ってきた。


珍しいビーストのお披露目が始まるまでの間、私とユグドラは趣味の話からビーストに至るまで色々な話をしていたが、ジュリアスと白銀も何か話してる様子だった。


落ち着いて話をしているジュリアスと白銀は、傍目から見る分には素敵に映るんだけどな。


「ジュリーの執事は意外だったな。俺様より本格的な戦闘訓練を専行してなかったっけ?」


「俺は貴様よりビーストの血が濃いからな。…ほら、貴様にはないだろ?」


ジュリアスはぐいっと襟元を緩め、白銀に何かを見せている。


私の位置からはジュリアスが白銀に何を見せていたのか、わからなかった。


「なんだ、それ?」


白銀の耳と尻尾がピクッと動いて、面白くなさそうな顔をしている。


素直な反応を見せた白銀に、ジュリアスは襟元を直しながら肩を竦めた。


「制御装置だ。俺が不安定なのは貴様が一番よく知ってるだろう?」


ペタンと白銀の耳が伏せてしまう。


話を止めさせた方がいいのかもしれない、私は二人の間に入ろうとした。


それをユグドラが、私の手を掴んで止めた。


ジュリアスの手が白銀の頭に乗せられ、子供にするような仕草で撫でている。


[にゃんにゃん、しょぼ~ん、しょぼ~ん]


撫でている手のすぐ近くで、オハナシパンダがそう話し出す。


ジュリアスは目を細め、オハナシパンダを掴む。


「貴様、幾つだ?」


「生後10ヶ月くらい」


白銀の答えに何も言わず、ジュリアスはオハナシパンダを白銀の頭に戻した。


幼稚過ぎると思ったのかもしれない、私が甘やかしてるのが原因だけど。


「可愛いだろ?オハナシパンダさんだ」


「そんなことはどうでもいい。貴様はまだどちらでもないんだな?」


ジュリアスの質問に首を傾げると、白銀は耳をピクピクと動かしていた。


問い掛けの意味がわからないと、ジュリアスを見ている。


何かの意を決した顔で、ジュリアスは白銀の両肩をガシッと掴んだ。


「理想の女がこんなところにいたとは…どうしてまだどちらでもないと教えてくれなかったんだ?貴様というやつは…罪作りな」


私も白銀も、そしてユグドラさえもジュリアスの発言に言葉がなくなった。


「白銀、愛してやる。俺のものに…」



[にゃんにゃん、たまたまあるある]



ジュリアスの求愛を遮るように、オハナシパンダが楽しげに告げる。


求愛を受けた白銀はというと、双月の片方を抜いてジュリアスの額に銃口を突き付けていた。


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