表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

幻想世界~永遠のさようなら~

 以下の動画の続きを小説にしてみました。この小説を読む前に以下の動画をご覧になることをお勧めします。動画の作者様、すみません…


【東方MMD】夢迷秘封世界~Wake Up!!~

http://www.nicovideo.jp/watch/sm22421440


プロローグ


2015年1月26日の「幻想郷」にて。


???「お~い、霊夢!土産を持ってきたぞ~」


霊夢「あ、魔理沙…え!?土産って何?」


魔理沙「そこで拾ってきた新鮮な(ゆかり)だぜ!」


霊夢「そんなのいらないわよ!どっかそこらに埋めておきなさい!…あら?それ、紫じゃないわよ?」




…………………………………………………



 2015年2月5日の昼時。とある京都市内の大学前にて。メリーは蓮子と二人だけの「秘封倶楽部(ひふうくらぶ)」に所属していた。これからその「秘封倶楽部」を始めるために、いつも蓮子と待ち合わせをしている校門前にやってきた。

 しばらくすると、息を切らして蓮子がやって来た。


蓮子「遅れてごめん、メリー…」


メリー「相変わらずね…たまには時間通りに来てよ?」


蓮子「あはは…。ちなみに今日は何分遅れた?」


メリー「4分32秒」


蓮子「細かい…」


蓮子は思わず苦笑い。


 メリーと蓮子は「秘封倶楽部」でこれから何をやるか話し合うために、近くのカフェに行くことにした。 今日は雲ひとつ無い快晴。蓮子はこのままの天気がしばらく続いてほしい、と思った。


 10分後、カフェの中にて。蓮子はいつものブラックコーヒー、メリーは紅茶を頼んだ。


蓮子「ねえ、一つ思いついたことがあるんだけど?」


メリー「どうしたの?」


蓮子「10日前、博麗神社の裏にあった境界の裂け目に入ったら『幻想郷』に行けたじゃない?」


メリー「うん」


蓮子「それでメリーが『魔理沙』っていう人に会った時、『結界がそこかしこで綻んでいるだなぁ…きっと』って言っていたんだよね?」


メリー「確かに言っていたわね…」


蓮子「その結界の綻んでいるところが、私たちが調査している全国にある境界の裂け目なんじゃないか、って思ったんだけど…どう思う?」


メリー「つまり、全国の境界の裂け目は全て『幻想郷』に繋がっている、ということね…ということは、私たちが今まで入った世界は全て『幻想郷』だった??」


蓮子「けど、証拠も何もないからこれが本当に正しいのかわからないけどね…」


メリー「なるほどね…じゃあ、もう一度『幻想郷』に行って魔理沙さんや霊夢さんに聞いてみる?」


蓮子「でも、この間入った境界の裂け目は無くなっているんじゃない?他の裂け目から行けるかもしれないけど…」


メリー「あれ?私の能力を言っていなかったっけ?」


蓮子「ん?境界の裂け目が見えるって能力じゃなかったっけ?」


メリー「『幻想郷』で再会する時に蓮子の目の前に境界の裂け目が出てこなかった?」


蓮子「うん、博麗神社の裏の境界の裂け目と同じものが出てきたけど…?」


メリー「それ、私が出したの」


蓮子「!?え?境界の裂け目が見える能力から、作る能力に進化したの??」


メリー「ふふ(笑)…けどこの能力で上手く『幻想郷』に行けるかわからないけどね」


蓮子「おお~!じゃあ、明日やってみよう!15:00に博麗神社に集合する?」


メリー「いいよ!」





翌日16:00ごろ、博麗神社前にて。蓮子が手を振り走ってきた。


蓮子「やっほー、メリー!時間ぴったりだよね?」


メリー「…今何時?」


 蓮子は自分の右手についている腕時計をみて、自信満々に時間を言った。


蓮子「3:01だけど?」


メリー「一時間遅れているよ…」


蓮子「嘘!?あ、あれ?私の腕時計と携帯が…メリー、ほんとにごめん…」


メリー「来てくれたから別に怒ってないよ」


 二人は博麗神社の裏にまわった。10日程前にはここに、この世のものとは思えない不気味な裂け目があった。しかし、蓮子はあたりを見回したがそれらしきものは見つからなかった。


蓮子「あ~、やっぱり境界の裂け目は無くなっているか…」


メリー「じゃあ私がやってみるよ」


 メリーは深呼吸をし、静かに腕を胸と同じくらいの高さまであげた。そして、瞼を閉じて『幻想郷』のイメージをする。すると、いきなりメリーの手を中心とする一筋の線が目の前の空間に現れた。そしてメリーは瞼を開けて、その一筋の線をこじ開けるように手を横に動かした。すると、こちらを睨みつけるような目がたくさん見える、あの境界の裂け目が現れた。


蓮子「あ、あの時の境界の裂け目だ…メリーさすがだね!!」


メリー「あ、蓮子、注意してね!この境界の裂け目の奥が本当に『幻想郷』に繋がっているとは限らないからね。あと、この間みたいにはぐれるかもしれないし…」


蓮子「大丈夫だって!今度は一緒に入ろ?」


メリー「わかった。」


メリー&蓮子「いっせーのーで…」



 境界の中はとても広いが、あちこちにこちらをにらみつけるような目がある。二人はできるだけ、それらの視線を気にしないようにして前に歩いていった。

 しばらくして、二人はこのあたりで境界から出ることにした。メリーは再び裂け目を作り、そこから境界の外に出た。そこで二人は丸太で組まれた足場を目にした。どうやら神社を工事しているようである。だが、二人はこの神社に見覚えがある。


メリー「あれ?神社が…工事中??…けど、この雰囲気、確かに『幻想郷』だね」


蓮子「うん。何かあって壊れたのかな?」


メリー「いやいや、何があったらこんな大きな神社が壊れるのよ??」


蓮子「まあ確かに…。」


メリー「あれ?神社の向こうから声が聞こえるけど…霊夢さんかな?」




「幻想郷」の博麗神社にて。神社の賽銭箱の前で、紅白の服を着た巫女が絶叫していた。


霊夢「う~…人がこないぃぃ…賽銭よこせぇぇ~金よこせぇぇぇぇ~よこせぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!かねぇぇぇ~あ”あ”あ”あ”あ”~~~~~~」


工事の人「うるさい、脇巫女!!ちょっと黙ってろ!仕事に集中できないだろうがっ!…というか、おまえがそんな態度だから客がこないんじゃないかよ?」


霊夢「は!?わ、脇巫女って何よ!あと、客が来ないのはあなたの仕事が遅いからよ!ちゃっちゃとその仕事を終わらせてよね!……む?神社の裏から誰か来る…」


メリー「あ、霊夢さんだ!こんにちは!また来ました!!」


霊夢「?…ってどこかで会ったっけ?というか…なんだその服装は!?」


メリー「…え?10日前に会ったんですけど…」


霊夢「う~ん、10日前は…お客さんとは誰にも会っていないはずだよ?この通り私の「博麗神社」を建てているからね!」


蓮子「え!?10日前はしっかりと神社が建っていたじゃない!」


霊夢「いやいや、その時は3分の1ぐらいしか建ってなかったわよ?この辺はよく人が来るって言われたから、ここに神社を建てることにしたのに…最近お客さんがこない(泣)前までは結構人の姿を見かけたんだけどなぁ…はぁ~」


メリー「え?……じ、じゃあ魔理沙さんや紫さんはどこにいるんですか?」


蓮子「ついでにマミゾウも…」


霊夢「マリサ?ユカリ?マミゾウ?誰?」


メリー「え…どういうことですか???霊夢さんが丸い…確か『遠隔支援端末』を使って紫さんを呼んでいたのですが?」


霊夢「えんかく…何だって?そんな名前初めて聞いた。妖怪の名前?」


蓮子「どうなっているのよ?初対面のような感じだけど…一旦自己紹介でもする?」


メリー「そうよね…え、えっと。私はマエリベリー・ハーンです。えっと…メリーでいいです。で、こっちが…」


蓮子「宇佐見蓮子です。私たちは日本中の結界を暴く「秘封倶楽部」という部活をやっているんですけど、少し聞きたいことがあって外の世界から来ました」


霊夢「改めて。私は博麗霊夢。ここの神社の巫女になる予定よ。で、本題に戻すけど。あなたたちは外の人間、ということでいいのね?」


蓮子「ええ…」


霊夢「そして、あなたが私のことを知っていて、私はあなたのことを全く知らないということは…10日前に行った『幻想郷』と今の『幻想郷』との時間のズレがあるんじゃない?…それにその服装、見たことがない…」


メリー「!!ということは…私たちはタイムスリップしていた、ということですか!?」


蓮子「でもどうして…?」


霊夢「私には全くわからないわ…それより、どうやってここに来たの?簡易的とはいえ、私が作った結界をいとも簡単に通り抜けるとは…」


メリー「あ、それは私の能力です。こんな風にして境界の裂け目を自由に操れるんです」


メリーはそう言うと、腕を胸と同じくらいの高さまであげて、さっきと同じ境界の裂け目を作り出した。


霊夢「!!!す、すごい…この中に入ったら、外の世界と『幻想郷』とを自由に行き来できるようになるのね!」


メリー「それで…まずは今の時間を知らないと。でないと、本当にタイムスリップしたのかわからないからね…」


蓮子「えっと…今の時間とかわかりますか?」


霊夢「えっと、私が30日前に結界を張ったから…今日は1501年11月6日、だと思う…」


蓮子「1501年…ええっと、1506年に雪舟が死んだから…って室町!?そんな…500年も昔の時代じゃないの!?」


霊夢「え?あなたたちの時代は?」


メリー「平成時代…って言ってもわからないですよね。2015年2月8日から来ました」


霊夢「2015年…遠い未来から来たのね…」


蓮子「星が見えたらまた時間を調べてみよう」


霊夢「そういえば、さっき聞きたいことがある、って言っていなかった?」


蓮子「あ。そうだった。けど…ここは過去の世界だから、現代の『幻想郷』とは状況が違うわよね?」


霊夢「だったら、まずは今の『幻想郷』の状況を説明しようか?」


メリー「是非お願いします!」


霊夢「わかったわ。手っ取り早く言うと、今の『幻想郷』は不完全なの。さっきも言ったけど、30日前に私が簡単に結界を張って中の妖怪たちが外に出ないようにしているんだけど、『幻想郷』の空間に満たされている『ある力』によってこの結界はいずれ消滅してしまうの。だから、その前に『ある力』にも耐える強い結界を張らないといけないんだけど、今の結界よりも強いものを張ると私の体が数時間しかもたないの。私が結界を張る以外の方法があったら良いのに…」


蓮子「もし、今の結界が消滅したら、この『幻想郷』はどうなるんですか?」


霊夢「間違いなくこの世界の住人、私たちや妖怪が消えてしまうわ」


メリー「え…どれだけもつのですか?あと、前兆はあるんですか?」


霊夢「前兆はあるわ。けど、結界がもつ時間はわからない。しばらくはもつと思うんだけど…」


メリー「う~ん…それよりもこれからどうする??」


霊夢「そうね…一旦神社に泊まる?これからのことはまた明日考えよう」


蓮子「けど、泊まるところがあるの?」


霊夢「大丈夫よ。いつもやつらが寝ているところを使えば。ねぇ?足袋じいさん?」


工事の人「おい!足袋じいさんってなんだよ!?あと、わしらはどこで寝ればいいんだよ?」


霊夢「神社の裏でも使えば?」


工事の人「くそ…なぜこんな紅白脇巫女に言いなりにならないといけないんだ…」


霊夢「なんか言った?」


工事の人「え?何のこと?」


 二人はこの会話を聞いて笑わずにはいられなかった。



 日没後、博麗神社の境内の中にて。蓮子とメリーは夕飯を食べ終わった後、空を見ながら一休みをしていた。


メリー「蓮子見て!星がきれいだよ!!」


蓮子「うわ~天の川がくっきり!確かあれが『アルタイル』だね!」


メリー「電灯がない世界もなかなかいいね。そういえば時間は?」


蓮子「1501年11月6日19時42分…本当に過去の世界のようね。やっぱり圏外?」


メリー「うん…GPSも使えないわ。」


蓮子「相変わらずね…」


 蓮子は星を見るだけで現在の時刻を、月を見るだけで今いる場所を知ることができる程度の能力を持っている。だが、今は月は出ておらず、今いる場所はわからなかった。




翌日早朝。博麗神社の境内の中にて。


メリー「やっぱり朝は気持ちがいい…」


霊夢「あ。メリー、早いわね」


メリー「あはは…2015年の『幻想郷』の霊夢さんにも言われました」


霊夢「あら?考え方は全く変わらないようね…」


メリー「さて…蓮子は起きているかな?」


 メリーはそう言うと蓮子が寝ているところに行った。


蓮子「zzz…」


メリー「うわぁ…まだぐっすり寝てる…蓮子!」


蓮子「zz…う?」


メリー「蓮子!おはよー」


蓮子「あ…メリー…早くない?」


メリー「気持ちいよ?」


蓮子「寝ていたほうが気持ちいいよ…zzz…」


メリー「だめだこりゃ」


 メリーはため息混じりの苦笑い。

 結局、蓮子は一時間以上後に眠そうに目を擦りながら起きてきた。



 昼時。博麗神社の境内の中にて。


霊夢「2015年の『幻想郷』の結界の状態を知っているだけでもいいから教えてくれない?」


メリー「えっと。あっちの『幻想郷』の結界はいたるところで綻んでいるっては言ってましたけど…消滅する、というような話は全くなかったです。」


霊夢「え?そうなの?…ということはそのうち解決策がでてくる、ということね!」


メリー「あと、私のように結界の裂け目を作る妖怪にも出会いました」


蓮子「それと、未だに私たちの世界では実現されていない『核融合』もありました。」


霊夢「カクユウゴウ??どんなの?」


メリー「あっちの『幻想郷』の核融合のしくみは分からないんですけど、私たちの世界の核融合は『軽い原子が重い原子に変わる現象』と定義されていますね」


霊夢「軽いゲンシ?重いゲンシ??う~わからないぃぃ」


蓮子「この世界はまだ化学が発達していないから、言っても分からないよ」


メリー「あはは、そうね」


蓮子「あと、霊夢さんは妖怪退治で『たまに』忙しい日がある、って言ってました」


霊夢「へぇ~、これから妖怪がいっぱい出てくるのかしら?それより、あっちの神社の様子はどうだった?」


メリー「言ったら悪いんですけど…全く人が来てませんでした…妖怪は結構来てましたね…『やっほ~紅白!今日もヒマそうだな』って…」


霊夢「未来の霊夢はどんだけサボっているのよっ!」


霊夢は未来の博麗神社の巫女に向かって怒った。すると、屋根の上で作業していた工事の人が霊夢に突っ込んできた。


工事の人「人のこと言えないんじゃない?」


霊夢「だまれ、足袋じじい!おまえこそサボってないでさっさと終わらせろ!!」


工事の人「へいへい…」


蓮子「なんか大変そうですね…そういえば、霊夢さんの知り合いは『幻想郷』にいるんですか?」


霊夢「神社の工事の人と妖怪だけよ。この間『人食い』を退治したんだけど、何故か私の神社によく来るようになったわ」


メリー「へぇ~。あと、霊夢さんもいずれ誰かと代わるんですか?」


霊夢「ええ。あと10年位したら私の代わりを探し始めるわ」


蓮子「ということは、あっちの『幻想郷』の霊夢さんは今の霊夢さんとは違う、ということね…なんで名前は同じなんですか?」


霊夢「う~ん…私まだ一代目だからよく分からないわ。まあどうせ私が原因でしょうけどね」


 しばらくして…


メリー「そういえば、どうして過去の世界に戻ってしまったのかな?」


蓮子「この間の境界の裂け目は、紫さんが閉め忘れた裂け目を使ったわよね?けど、今回はメリーが境界の裂け目を作り出したからじゃない?要するに『幻想郷』の内側から裂け目を作った時と、外側から裂け目を作った時では少し違うんじゃないかな?」


メリー「う~ん…だけど蓮子の話だったら、紫さんが外から帰ってくるときに何度もタイムスリップしていることになるわよ?そんなことは紫さんは言っていなかったはずだよ?」


蓮子「あ、確かに…」


霊夢「もしかして、結界から出る場所が悪く偶然にも過去の『幻想郷』に繋がってしまったのかもしれないわね。私たちの世界では、時間は座標で決まる、って言われているしね…。」


蓮子「なるほど!」


メリー「やっぱり素人が結界を行き来したら駄目だったんだね…ごめんね、蓮子…」


蓮子「気にしていないよ、メリー」


霊夢「ということは、ここに来るときに入ったところがわかれば、上手く2015年の世界に戻れるかもしれないわね…入ってきた場所を覚えている?」


メリー「あんまり自信がないです。大丈夫かな…?」


霊夢「大丈夫よ。自分自身を信じなさい!あ、参拝して行く?」


工事の人「おい!そうやって1円という大金をかすめとろうとするなよ??」


蓮子「一円…安くない?」


メリー「蓮子…昔の一円玉はすごい高いんだよ?」


蓮子「あ…そっか。今は室町だっけ…」


霊夢「この子たちは未来から来ているんだよ??今通用するお金なんて持っていないわよ!」


工事の人「おお…わしとしたことが…」


メリー「まあ、気持ちだけでも…」


 二人は霊夢の言う通り、神社の賽銭箱の前で手を合わせて参拝した。


霊夢「で。いつまで『幻想郷』にいる?私としては、しばらくいてくれたらうれしいんだけどね…」


メリー「じゃあ、お言葉に甘えてしばらくここにいます。一応『しばらく旅行に行きます』って言ってあるしね。一ヶ月は大丈夫です」


???「霊夢!!また遊びにきたよ~」


霊夢「あ。人食い。」


人食い「あれ?その子達はどうしたの?」


霊夢「大事なお客さんだから食うなよ?」


メリー「マエリベリー・ハーンです。(え…これが人食い??)」


蓮子「宇佐見蓮子です。(女子高校生…?)」


霊夢「この子達は未来の世界から来たの。」


人食い「み、未来!?何年位先の未来なの?」


蓮子「私たちは2015年の世界から来たので、大体500年位先の未来です」


人食い「…すごいね…どうやって来たの?私もがんばったら未来に行ける?」


霊夢「なぜおまえは未来に行きたいんだ?まあ、聞く気があるならこの子達がこの世界に来れた経緯を話すわよ。それと未来の『幻想郷』についても」


人食い「じゃあお願い」


 霊夢はそう言うと、蓮子とメリーから聞いた話を人食いに話した。


人食い「へ~面白いね…けど、未来の霊夢もサボり癖があるんだ…この神社の巫女はどうにかならないの?」


霊夢「う、うるさい!余計なお世話よ!」


蓮子「あの~、人食いさん。なんで毎日ここに来ているんですか?」


人食い「人食いでいいよ。前までは人の面白い行動を見て暇潰しをしてたんだけど、最近人が来なくなってね…あまりにも暇だから霊夢の所に遊びに来いるんだよ」


霊夢「あれ?そっちも人が来ないの?こっちも、ここ最近全く人を見かけていないのよ」


人食い「ということは、人里の人間に何かあったのかな?明日様子を見に行く?」


メリー「だったら、私たちも人里に見に行ってもいいですか?」


霊夢「じゃあ、人食いと一緒に行ってみようか。あ、けどその服装はちょっとマズいから私の服を着る?」


工事の人「ちょ!?じゃあ、明日この神社を留守にするつもりかよ!!?」


霊夢「どうせ人も来ないし、あなたたちがいるから盗人も来ないから安心して仕事しなさい。あ、私がいないことを理由にサボったら承知しないからね?」


工事の人「うう…」




 翌日。メリーと蓮子は、室町時代に合う服を霊夢から借りた。一方、人食いは正体がばれないように霊夢から渡された布を頭に被って変装した。しかし…


霊夢「あはは!盗人に見える!!」


 霊夢はふざけて、よく泥棒が被るような風呂敷を人食いに渡したのだ。


人食い「おい霊夢!もっとマシな色はないの?…」


 霊夢はふざけてもう一枚同じような風呂敷を渡そうと考えたが、さすがに人食いも怒ってしまうかもしれないと思って、自分が持っている中で一番マシなものを渡した。


霊夢「はいはい…」


人食い「あるんなら始めから出してよ!」


霊夢「じゃあ行きますか」


メリー&蓮子「は~い」


 博麗神社は山の中にあり、人里はその山の麓にある。霊夢達は30分程かけて人里に辿り着いた。しかし霊夢は人里に入るなり、いつもと様子が違うと感じた。


霊夢「あれ?」


人里の人「あ、霊夢さん!!大丈夫でしたか!?」


霊夢「何かあったの?」


人里の人「博麗神社に行った人が何人も帰ってこないので様子を見に行ったら…人が妖怪に食われていたんです!」


霊夢「それって…」


メリー「もしかして…」


蓮子「もしや…」


人食い「…」


 人食いはその場にいられなくなり、逃げ出そうとしたが…


霊夢「人食いか。私が退治しておいたよ。この通り」


人食い「ひ!!ちょっ霊夢!?」


 霊夢は隣にいた人食いの首をつかみ、頭の布を無理やり取って人里の人間に見せた。


人里の人「あ!!!?こいつだ!!!」


人里の人「やれぇ!!やっちまいな!!!!」


人里の人「人食い、観念しろぉぉぉぉぉ!!」


人食い「ひ!!!た、たすけてぇぇぇぇ!」


霊夢「ちょ、待って!!こいつはもう人間は絶対に襲わないからって言っていたから!!」


人食い「すみませんでしたっ!!」


人里の人「本当だな?それなら許すけど…」


霊夢「また何かあったら私に言ってね~」


人里の人「霊夢さん、ありがとうございました!さて…店を始めるぞ!!」


メリー「人里の人はこれで納得するのかな?」


蓮子「したんだからいいんじゃない??」


メリー「そうね…そういえば、ここは室町時代の商品とか売っているんだよね?」


蓮子「そうみたいね…私たちも見に行こ!」


メリー「けど、何か買っていきたいね…」


蓮子「霊夢さんに言えばお金もらえるんじゃない?」


メリー「そうね…霊夢さ~ん!」


人食い「私はそろそろ戻るわ。またね!」




 しばらくして。蓮子とメリーは


蓮子「貴重なものばかりあるわね…」


メリー「あ!これ、教科書で見たことあるわ!今はぜんぜん残っていないんだっけ?」


蓮子「買っていこ!!」


蓮子&メリー「こんにちは~」


店の人「へい、らっしゃい!」


メリー「それいくらですか?」


店の人「6銭だよ。おや?始めてみる顔だな。ここには珍しいものがたくさんあるからいっぱい見てってや~」


蓮子「はい!ありがとうございました」


メリー「金銭感覚が全くわからないわ…6銭って高いのかな??」


蓮子「まだ安いほうじゃない?わからないけど・・・」




その日の夜、博麗神社の境内の中で。


蓮子「楽しかった!!また行きたいね!」


メリー「結構教科書と違うんだね…何か不思議な感じだわ」


蓮子「元の世界に戻れたら、みんなに自慢しよう!!…信じてもらえるかな??」


メリー「いや、やめておいたほうがいいんじゃない?はっきりした証拠もないし…私たちの発言で歴史が変わることだってあるからね…」


蓮子「そうね…」




11月9日。

工事の人が愚痴を一日中言っていた。


11月10日

神社がもうすぐ完成する。だが、工事の人が疲れて倒れてしまったため、暇つぶしも兼ねて私たちも工事に加わることになった。


11月11日

今日も工事の手伝い。昼頃に一度小さな地震があった。ただ、霊夢さんは気づいていないらしい。


11月12日

霊夢さんが「む!?あちらで妖怪の気配…」といって神社を飛び出していった。工事の人は「お?霊夢がいなくなった。今日は寝るか」と言って一日中寝ていた。今日は帰ってこなかった。


11月13日

霊夢さんが疲れきった状態で妖怪を連れて帰ってきた。どうやら妖怪は退治できたが、妖怪はこれからどうすることも出来なかったので、連れて来たらしい。相変わらず『幻想郷』の妖怪は女性に見える。何故だろう??


11月14日

今日は月初め。工事の人も含めた私たちと妖怪で宴会(?)をやった。霊夢さんと妖怪はお酒に強かったが、工事の人は全員すぐに倒れてしまった。私たちも飲んでみたが、あまりの度の強さで飲めなかった。そして、今日の昼頃にまた地震が来た。しかし、気づいたのは私達だけだった。


11月15日

昨日の宴会で工事の人が完全にのびてしまったので、今日は工事は中止。元気な私たちだけで再び人里に行った。


11月16日

ようやく神社が完成!工事の人は「やっと紅白から離れられる」と大喜び。


11月17日

神社ができたが参拝客が全く来なかった。霊夢さんは「かねぇぇぇ!」と何度も絶叫していた。霊夢さん、大丈夫かな??


11月18日

昼頃、少し揺れの大きな地震が来た。ただ、普通のP波とS波があるような地震とは違う感じがした。霊夢さんは初めてこの地震に気が付いた。


11月19日

再び地震が発生。昨日の地震よりも大きくなった。霊夢さんは少し気にしているようである。


11月20日

さらに大きな地震が発生。昨日に比べて揺れる時間も長くなっていた。



メリーは地震について心配になり、霊夢に聞いてみた。


メリー「あの…霊夢さん。この地震は普通の地震ではありません。普通は弱い揺れの後に強い揺れが来ます。けど、最近の地震はいきなり大きな揺れが来ています。」


霊夢「…前に結界が消滅するときに前兆がある、と言ったのを覚えているかしら?」


メリー「ええ…まさか!?」


霊夢「実は、結界が消滅するときの前兆がどのようなものなのかよくわからないの。けど、明らかに異常な現象が起きることはわかっているの。この地震が本当に結界が消滅する前兆かどうかをこれから調べないといけないわ」


蓮子「じゃあ、私たちもできるだけ協力します!」


霊夢「ありがとう」


メリー「その前に私たちに今の結界の仕組みとか教えてくれませんか?」


霊夢「わかったわ。まずは結界について簡単に説明するわよ。」


 霊夢は今の『幻想郷』に張られている結界の仕組みについて簡単に説明した。しかし、素人には簡単に理解できるようなものではなかった。


メリー「…」


蓮子「う~ん…この結界は、私たちの世界で言う『バリア』だよね?確か空間に含まれる分子の配列を組替えて並べることによって、分子結合の力を増加させる技術だっけ?」


霊夢「やっぱり難しいわよね…まあ、これから結界の状態を調べるから一緒に来てくれる?」


 そう言うと霊夢達は足早に博麗神社から少し離れたところにある小さな小屋に向かった。その中には小さな紫色の玉が置いてあった。これは結界の状態を調べることができるものらしい。霊夢はそれを手にとり、入念にその玉を調べた。


霊夢「…やっぱり、結界が消滅しかけている!何でこんなに早く…もっても明日の昼だわ…」


メリー「そんな…もう時間がないですよ!?どうするんですか???」


霊夢「まずは神社に戻って、今よりも強力な結界を張るわ!そして、私の体がもっている間に人里の人間を外の世界に避難させるわ!」


蓮子「けど『幻想郷』は私たちの世界にも存在するんですよ??何か別の解決策があるんじゃない?」


霊夢「蓮子、あなたたちが『幻想郷』の歴史を変えてしまった可能性も考えないと!本来はもっと結界はもっていたのかもしれないわ」


蓮子「そんな……」


霊夢「とにかく!今は私が結界を張る!!明日の昼に決行するわよ!!!それよりも、本当にあなた達は元の世界に帰れるの?」


蓮子「多分。ねえ、メリー?」


メリー「(…蓮子…もしかしたら、私は…)」


蓮子「?」


 メリーは何故かずっと黙ったまま。だが、蓮子は特に気にかけることはなかった。



翌日の早朝、博麗神社境内にて。


霊夢「今の結界が消滅する、巳の刻の始めにやるわよ!」


蓮子「けど、そのうち霊夢さんが倒れるんじゃ…?」


霊夢「私のことは心配しなくてもいいわ!それよりもあなたたちが上手く帰れるかどうかの方が心配よ…」


蓮子「大丈夫だと思います。ねえ、メリー?」


メリー「ええ…」


蓮子「メリー!もっと自信を持って!!信じれば上手くいくよ!」





 辰の刻、博麗神社境内にて。霊夢は今よりも強力な結界を張るための準備に追われていた。メリーたちは、霊夢が結界を張るために必要な道具を集めるために人里へ出かけた。しかし、人里で地震の話をしている人は全くいなかった。どうやら博麗神社周辺での出来事のようである。



そして巳の刻前。博麗神社境内にて。


霊夢「じゃあ、準備も整ったから結界を張るわ。少し離れていて。1分位で終わるよ」


 そう言って霊夢は御札を自分の周りにすばやく並べ、結界を張るための儀式を始めた。しかし、開始30秒後。霊夢も予想していなかった、今までにない激しい地震が博霊神社を襲った。それも収まりそうになく、どんどん揺れが激しくなっいる。


霊夢「マズい!こんな地震が来ることは考えていなかった!どうしよう?????ここまで揺れていたら結界が上手く張れない!あなたたちは早く帰りなさい!このままではあなたたちも消えてしまうわ!」


蓮子「そんな…メリーどうするの?」


メリー「…」


霊夢「早く!!」


 しかし揺れが大きく、メリーは立てる状態ではなかった。さらに、あまりにも揺れが激しいため、恐怖も感じていた。だが、このままぐずぐずしていたら自分達も一緒に消滅しかねない。そう思い、座りながら何とか結界の裂け目を作った。すると、蓮子はすぐに境界の中に入っていった。だが、メリーは何故か入ろうとしない。


蓮子「メリー!早く入って!!」


メリー「蓮子…中をしばらく歩いたら裂け目が見えるはず。多分2015年の世界に繋がっているわ。蓮子は迷わずそこに行くのよ」


蓮子「え?メリー??何で一緒に来ないの??」


メリー「蓮子…元気でね…」


 そう言うと、メリーは静かに裂け目を閉じた。


蓮子「メリー!何で?何をしようとしているの!?一緒に来てよ!!ねぇメリーーーー!!!!」


だが、境界の裂け目は閉じられてしまっていたため、メリーには届かなかった。


蓮子「…そんな…」


 蓮子は崩れるようにその場に座り込んだ。いくら自分の周りを探しても、今入ってきた裂け目は見つからなかった。蓮子は「メリー」と何度も叫んだが、自分に声が返ってくるはずもない。結局どうしようもできず、ゆっくり、ゆっくり、一歩、一歩、前へ進んだ。体が重い。今まで経験したことの無いような重さ、岩でも背負っているような、そんな感覚がした。

 そして何時間たったのだろうか。一度も足を休めることなく歩きつづけ、ようやくメリーが言っていた裂け目を見つけた。蓮子は一度後ろに振り返り、それから結界の外に出た。そこに古ぼけた博麗神社があった。しかし霊夢がいるような雰囲気がなく、神社の入り口の灯篭が倒れていた。


蓮子「メリー…」


 蓮子は何も考えられなかった。自分の声も聞こえない程頭の中が真っ白になっていた。しばらくして、蓮子は神社を後にして近くの街に出た。そして今の時間の手がかりになるようなものを探す。すると、電気屋の薄型テレビで正午のニュースが流れていた。そして、今日の日にちと時間が表示され…


蓮子「2015年3月1日…………帰って…これた…」


 だが蓮子は、帰ってきた実感がない。なぜなら、隣にメリーが居ないから。なぜあの時、メリーは「幻想郷」に残るという選択をしたのだろうか。もしかしたら、メリーは「幻想郷」を救う、とっておきの秘策を持ってたのかもしれない。もしこれが本当だったら。そして蓮子がメリーの考えを聞いていれば。メリーが何と言おうと一緒に「幻想郷」に残っただろう。しかし、それは蓮子の「想像」であって「事実」ではない。また、これが「事実」であったとしても絶対に帰って来れる保証はどこにもない。一方、蓮子はあの時メリーを説得して一緒に結界の中に入っていたら、確実に今ここでメリーと話すことが出来たはずだ。結局、メリーと離れ離れになってしまったのは自分のせいだ、そう思った。蓮子はまだメリーとやりたいことが山ほどあった。だが、もう遅い。後悔、怒り、悲し…。いろいろな気持ちが自分の心の中に渦巻いている。だが、自分を責めてもメリーは帰ってくることはない。かといって、メリーを探すことも出来ない。そう、今蓮子にできることは…


蓮子「メリーが帰ってくることを信じること…」




 そして、3ヶ月後。メリーと離れ離れになってしまったあの日から勉学に全く意欲が出ず、ずっと自分の部屋に閉じこもり、部屋の隅でひざを抱えて座っていた。大学の友人や先生が心配して家まで訪ねてきてくれるが、一切顔を見せるつもりはなかった。このまま自分は立ち直れないのか、自分はこの世界で生きていく意味があるのか…。だが、蓮子はメリーが帰ってくることを信じると決めた。何があってもメリーの帰りを信じるんだ、と自分に言い聞かせ、顔を上げた。すると、自分の前に見覚えのない手紙があることに気が付いた。いつの間に自分の前に手紙が置かれたのか不審に思いながらも、恐る恐るその手紙の封を切って中身を読んでみると…


「蓮子へ

 久しぶり!元気にしてる?私は元気だし、霊夢さんや他の妖怪も元気だよ!『幻想郷』は、霊夢さんが前に張っていた結界は消滅してしまったけど、消滅する寸前で私が結界を張ったから、今は安定しているそうよ。けど、私自身妖怪になってしまったらしく、外の世界の人は私のことが見えないの。だから直接蓮子と会うことは出来ないんだけど、こうして手紙を使って話すことができるから、また『幻想郷』にいるみんなの様子とか教えるね!じゃあ、またね!

メリーより」


 そう。この手紙は紛れもなくメリーが書いたものだった。蓮子はこの手紙を見たとき、自分は泣かずにはいられなかった。そう、メリーには「幻想郷」を救う、とっておきの秘策があったのだ。だが、再び会って話をすることは叶わなかった。メリー自身が妖怪になってしまい、外の世界の人には見えない存在になってしまったのだ。だが、蓮子にはこんなことはどうでもよかった。なぜなら、メリーと手紙を通して会話ができるから。蓮子はこれで十分だと思った。






一方、溯ること3ヶ月前。


…………………………………………………


 ここは「幻想郷」。さっきまでの地震が嘘のよう。博麗神社は地震で屋根が傾いてしまったが、ほぼ原型は留めている。その神社の鳥居の近くで二人が倒れていた。そう、紛れもない霊夢とメリーである

 しばらくすると、二人が目を覚ました。


霊夢「………ここは…『幻想郷』…?あ…メリー!」


メリー「………う…あら…私、無事だったの…?」


霊夢「メリー!大丈夫!?」


メリー「あ、霊夢か…えっと…『幻想郷』の状態は?」


霊夢「…今は安定しているわ(ん?口調が変わった…?)」


すると、霊夢が持っているお払い棒がメリーに反応した。


霊夢「え!?まさかメリーが…妖怪…いや妖怪になってしまった!!?」


メリー「そういえば『人間』という感じではないわね…」


霊夢「そんな…結界は上手く張れたのに、張った本人が妖怪になってしまうなんて…」


メリー「そういえば霊夢。この神社どうするつもりよ?」


霊夢「あ…はぁ~、この間やっとのことで完成したのに…それよりも。ここの妖怪の掟は知っている?」


メリー「掟??そんなのがあるわけ?」


霊夢「『幻想郷』に一度入った妖怪は絶対に外の世界の人間と接触しないこと、というより出来ないわ。あなたが外に出ても、外の人間はあなたの姿が見えないの」


メリー「え…ということは、蓮子と二度と話すことが出来ないの!?そんな…」


霊夢「けど、物体は外の世界の人間に認識されるようだから、手紙を書くことはできるわよ。ただ、裂け目から時間軸を調節して上手く手紙を送ことが出来たらの話だけどね…」


メリー「蓮子…」





 1ヶ月後。霊夢がメリーの結界を懸命に調べたので、その構造がようやくわかってきた。そして霊夢はメリーが張った結界を応用して、全く新しい仕組みの結界を張った。この結界は世代ごとに何度か張りなおしをされて、後に「博麗大結界」になった。そして、メリーの張った結界も一時的なのに過ぎなかったこと、さらには外の世界の人間の勢力が増して幻想郷の社会のバランスが崩れることを憂いたため、数年後に霊夢と協力してほぼ完璧な結界を張りなおした。これが「幻と実体の境界」となった。さらに霊夢は「マエリベリー・ハーン」という名前を日本人の名前に変えたかったらしく、一ヶ月考えた末「八雲 紫」という名前になった。しかし、博麗神社の2代目巫女の名前を考えるのがめんどくさかったのか、結局自分の名前を付けてしまった。現代の博麗神社の巫女の名前もこれに由来するようである。



 そして、蓮子と離れ離れになってから3ヶ月後。メリーは蓮子に宛てて手紙を書いた。メリーは妖怪になったせいか口調が大きく変わってしまい、霊夢などのに対して敬語を全く使わなくなった。しかし、なぜか蓮子に対しては自然と丁寧な文で書くことが出来た。そして、書いた手紙を蓮子のもとに裂け目を通じて置いた。すると、数時間もしないうちに蓮子から返事が来た。どうやら蓮子も元気そう。メリーは胸をなで下ろした。



 その後、メリーと蓮子は何度も手紙を書いた。それが唯一の情報源であり、かつての親友との会話となった。だが、このやり取りはやがて途切れてしまう。「人間と妖怪」。この違いだけで、それぞれの与えられた時間に大きな差が出来てしまうからだ。






エピローグ

 現代の「幻想郷」。紫が外の世界の様子を見に行ったときに生じる結界の揺らぎが原因で外の人間が何度か迷い込で来た。その中にはあの核融合の考案者もいて、ある妖怪がその人に仕組みを聞いて作ってしまったため「幻想郷」に核融合が出来てしまった。他にも、外の世界のスポーツ「サッカー」が一時的ではあるが「幻想郷」で流行した。


そして500年前の、あの「幻想郷」の出来事が忘れ去られようとしたころ…


???「お~い、霊夢!土産を持ってきたぞ~」


霊夢「あ、魔理沙 …え!?土産って何?」


魔理沙「そこで拾ってきた新鮮な紫だぜ!」


霊夢「そんなのいらないわよ!どっかそこらに埋めておきなさい!…あら?それ、紫じゃないわよ?」


終わりのない物語が、再び動き出す…



Thank you for read…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ