第1話
外の世界は、どんな色?
私が知らない外の世界・・・。
目を開けるといつもの世界が始まる。
「朝?」
時間を知ることができるのは、ベッドの隣にあるこの部屋唯一の小窓だけ。
そして、そこから見える景色だけが私が知っている「外の世界」だった。
6畳ぐらいの小さな部屋に、白いシーツで覆われたベッドと食事をするための小さな丸いテーブルと椅子が1つずつ・・・。それ以外は何もない・・・。
物心ついた時から、私はここにいる。
晴れていた日もあれば、雨が降っていた日もあった。
それでも私は、ここにいた。何をする訳でもなく。
今日も私は、ここにいる。
今日もまた、私のイツモが始まる。
「ハァ・・・。」
深いため息をつきつつ椅子に腰掛けた。
食事はいつだって、気がつけば用意されている。
そして、メニューはいつも、小さなロールパンが2つと小皿に入った野菜サラダが1つ、その横にドレッシングの入った小瓶とスープが1皿置いてあるだけだった。
1日中、小窓から外の景色を見て過ごす私にとっては十分な食事だった。
当然のことながら味ですら、いつも同じ。
けれど、ほんの少しだけドレッシングが甘い気がした・・・。
食事を取り終えた私は、イツモのように小窓へと足を進めた。
外を見ると、久しぶりに雲ひとつない青空が広がっていた。
「きれい・・・。」
ため息混じりにつぶやく。
小窓から見える景色も、いつもたいして変わることはない。
けれど、こんなに綺麗な青空を見るとほんの少しワクワクする。
そんな私の期待が届いたのか、鳥たちが見たことのない花を運んできてくれた。
その日私は、外の世界に恋をした。