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魔法動物

開いてくれてありがとうございます

楽しんでください

マフの部屋から、かすかな啜り泣きが漏れていた。

今日、両親が自分のことで言い争っていたことが、よほど堪えたのだろう。

「……はぁ……もう……」

声にならない言葉が、喉の奥で溶ける。

マフは部屋の隅に視線をやり、そこから目を逸らした。

考えないようにしていたことが、頭の中に浮かんでくる。

――このまま、消えられたら。

マフは勢いに任せて部屋の端にあるロープを掴んだ。



胸が苦しくなり、マフは床に座り込む。

次の瞬間、力が抜けたように、部屋の中央に仰向けに倒れた。

「……無理か……」

天井を見上げながら、乾いた笑いが漏れる。

「人間って……思ったより、簡単じゃないんだね……」

そのとき。

しゃらららーん、と。

この部屋には似つかわしくない、現実感のない音が鳴った。

「……?」

マフが息を止めて振り返る。

開いたままの窓枠に、それは立っていた。

二頭身ほどの、小さな生命体。

丸い頭には犬のような耳。

腰のあたりからは、ふさふさした尻尾が揺れている。

目はない。

その代わり、目の位置にはバッテンが縫い付けられていた。

ぬいぐるみのようで、どこか不気味な存在。

首元には、奇妙な飾りが巻かれている。

「ヤァ!」

――喋った。

「……しゃ、喋った……」

「大丈夫?いきなり現れて驚いた?」

「……っ、してない……」

「ならよかった!前回の子はパニックだったからさ!」

ソイツは軽い調子で、窓枠に腰掛ける。

「ねぇねぇ。今、人生詰みかけてたでしょ?」

「……なに……?」

「命、まだ使えるのにもったいないなーって思ってさ!」

間髪入れず、言葉が降り注ぐ。

「だから提案!ボクと一緒に働かない?」

「ま、まって!まず……アンタは何なの!?」

マフが叫ぶと、ソイツは嬉しそうにくるくると二回回り、ぴたりと止まった。

「ボクは魔法動物だよー!」

胸を張って、ドヤ顔。

「使い道を見失った人間とか、消えそうな人を――

魔法少女にスカウトするのが仕事!」

「……は?」

「キミは後者だね!」

「な、何言って……」

理解が追いつかない。

「ボクはね、今日キミが“ここで終わるかも”って思って来たんだ!」

満面の笑みで、ソイツは言った。

「だから!キミも魔法少女になろうよ!」

ありがとうございました

また読んでください

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