第4話 なにーー!私が囮に?!
登場人物紹介
水島美貴 新米刑事。
田中晴人 交番長、美貴の上司。
山田剛 一課長、通称デカ長。
江口一馬 一課の刑事。
阿部百合子 美貴の同僚、鑑識。
永谷景子 美貴の同僚、監察医。
*登場する名称等は全てフィクションです。
若い女性が犠牲になる連続殺人事件が発生。
2人目の殺害現場近くで聞き込みをしている所、江口さんから3人目殺害の連絡が入る。
早速現場に着くと、既に規制線が引かれていた。
「江口さん、被害者は。」
「所持品から佐藤奈々さん、27歳っス。」
「私と同じくらいの年なのに、3人も殺すなんて…。犯人はいったい…。」
「後は鑑識に任せて、一度一課に戻るっス。」
デカ長が皆を集める。
「今朝発見された被害者は佐藤奈々27歳、会社員。鑑識の結果によれば死亡推定時刻は午前5時から6時。死因は刺し傷による出血死。目撃者は無し。」
「あのー、デカ長…。」
「何だ、水島!」
「今朝、第2現場付近で怪しい人物の事、聞き込みました。」
「何だ、言ってみろ。」
「新聞配達の人によれば、事件発生時刻に公園をジョギングしていた人がいたそうです。」
「早朝ならジョギングするヤツくらいいるだろ。」
「その人、公園でウロウロしていて、水飲んだ時、左利きだったそうです。」
「犯人の刺し方は左利きだったな。」
「はい、もし犯人がジョギングをするふりをして殺害する相手を物色していたとしたら…。」
「よし、全員ジョギングしていた人物の捜査に向かえ。水島、江口、ちょっと来い。」
デカ長、いつになく神妙だな。
「デカ長、何スか。」
「水島、お前に頼みがある。」
「私にですか?何でしょうか。」
「明日早朝、囮捜査をして欲しい。」
えっ、おっ囮ですと?
「デカ長、水島さんを囮にするの危なくないっスか。」
「危険は重々承知してる。だがな、俺は犯人を絶対許せない。」
私も同年代の人達が次々に殺されてくのはつらいな。
「私、囮やります!これ以上被害者を出したくないです。」
デカ長から私と江口さんに捜査の説明が行われた。
翌早朝。
「水島さん、やっぱり危なくないっスか。」
「犯人捕まえるには、もうこれしかないよ。」
「そうかもしれないっスけど…。」
そりゃ、私だって怖いよ…。
でも、殺された3人はもっと怖かったんだよ。
そろそろ犯行時刻だ。
「江口さん、そろそろです。」
「十分気を付けるっス。」
公園の近くにさしかかる。
午前5時とか、誰もいないよ…。
あれ?向こうに誰かいるっぽい。
よく見るとジャージ着ている。
何かこっちに走って来るんですけど。
「お嬢さん、こんな朝早くお仕事ですか。」
「はい、うちの会社仕事早いんですよね。」
「ちょっと困っているんで、あちらの公園で手助けしてもらえますか。」
コイツが犯人だな。本性現すまで様子見るか。
「ええ、分かりました。短い時間でしたら大丈夫です。」
「ありがとうございます。助かりますよ。」
誘う手口は上手い感じだね。
でも何で殺すの?
「それで、何をお困りですか。」
「私のこと、どう思いますか?」
「どうって、朝からジョギングして健康的だとか?」
「そうじゃねえだろ!俺が好きかって聞いてんだよ!」
ヤバっ、コイツ急変したな。
激情して殺しまでするか普通。
「急にそんなこと言われても...。」
「何だ。お前もダメなんだな。」
「お前もってことは他の人にも聞いたんですか。」
「毎日聞いてるよ!全員はっ?とか言いやがるから黙らせてやったよ。」
「それで3人も殺害したんですね。」
「お前、何でそんなこと知ってんだ!」
連続殺人犯、ついに捕らえた!
「あなたが来るのを待っていたのよ。」
「何者だ、お前!」
「あなたに言う筋合いはないわ!」
素早く犯人の足を狙う。
相手が転んだ瞬間、取り押さえる。
「江口さん、犯人確保!」
「おっしゃ、午前5時15分、連続殺人犯逮捕っス。」
一課に戻り犯人の取り調べだ。
ん?何かデカ長が呼んでる。
「おい、水島。」
「はい、何でしょうか。」
「お前、あの犯人の取り調べしろ。」
えーーー!何で私?
まだ来たばかりのヒヨッ子だよ。
ムリムリムリムリ…。
「デカ長、流石に私では無理かと...。」
「俺にはお前が適任だと思うがな。」
いや、何で?どこをどうすれば適任なのよ。
でも、亡くなった3人の無念をはらせるのは私だけかも…。
「分かりました、デカ長。やってみます。」
「お嬢さん、刑事だったんだな。」
「何であなたは3人も殺したの。」
この人の動機って、イマイチはっきりしないのよね。
「それより、私が殺した証拠でもあるんですかね。」
くっ、まだ殺害に使用した凶器は見つかっていない。
「あれ、誤認逮捕ってやつですかね。刑事さん、やらかしちゃいました?」
コイツ、調子乗ってる。でも確かに証拠や動機をはっきりさせないと釈放せざるを得ない。
「あなた私を殺そうとしなかった。」
「そんなことは無いです。ちょっと怒りそうでしたが、殺すなんてことしませんよ。」
いや、殺害意志はある。しかも凶器は今も隠し持っているはず。
殺されたみんなの無念を晴らしてあげるんだ。
「あなた左利きよね。」
「そうですが、それが何か。」
「今でも凶器を隠し持っているでしょ。」
「刑事さん、私ただジョギングしていただけですよ。凶器とかどこにあるって言うんですか。」
「あなた、ジョギングしてジャージ着てるけど。」
「動き易いですからね。」
「それ、不自然なのよ。何で長袖なの。暑くない?」
「何着たっていいじゃねえかよ!」
そうか!上着に凶器隠してる。
「分かったわ、凶器の場所。それと動機。」
連続殺人犯は自供し、無事事件は解決した。
凶器のナイフは仕込刀で左腕の内側に隠してた。犯人はたまたま朝若い女性を見て急に恋愛感情が出た。気性の荒い性格で興奮すると止まらないそうだ。それで無関係の人に危害を加えていいはずない。
「デカ長、何で私に取り調べるように言ったんですか。」
「お前なら、被害者の無念を晴らせる気がしただけさ。」
第5話 予告
突如来た爆弾犯からの予告。
爆発したら多くの犠牲者が...。
次回 「えっ?爆発しちゃうの?!」
美貴刑事の華麗なる足さばき♥
見事事件も解決したのも束の間、今度は爆弾事件。
それでは次回また。