第3話 これ、マジヤバいって!
登場人物紹介
水島美貴 新米刑事。
田中晴人 交番長、美貴の上司。
山田剛 一課長、通称デカ長。
江口一馬 一課の刑事。
阿部百合子 美貴の同僚、鑑識。
永谷景子 美貴の同僚、監察医。
*登場する名称等は全てフィクションです。
今日は時間に間に合ったぞ…?!
あれ?誰もいない…。
今日は休みかな…、んな訳あるかい!
そうだ、江口さんに電話しよ。
「もしもし、江口さん。今日は休業とかじゃないですよね。」
「ああ、水島さんスか。皆現場ですよ。携帯連絡したっスけど、出なかったっスよね。」
あーーー!しまった!
いつもの癖で電源切っちゃった。
とにかく現場行こ。
ヤジ馬多いな。
「水島さん、こっちっス。」
「江口さん、被害者は?」
「持ち物から、OLの津田って人のようです。」
「殺されちゃったんですか。」
「はい、凶器は刃物のようですが、見つかってないっス。」
「鑑識結果とかは?」
「一課に戻ってデカ長からあると思うっス。」
「おい、皆集まれ!」
デカ長、声大きいよ…。
「今朝、遺体で発見されたのは、津田香織27歳、会社員。鑑識によると、死亡推定時刻は午前5時から6時。死因は出血死。凶器は刃物でまだ見つかっていない。」
「とりあえず聞き込みっスね。」
「全員、周囲の防犯カメラのチェックと目撃者の捜索だ!」
皆出掛ける。
「おい、水島ちょっと来い!江口も!」
やっぱ怒られるよね…。でも朝苦手なんだよな…。
「お前、監察医の永谷の所で話聞いて来い。」
「へっ?景子にですか?聞き込みとかは…?」
「まだ一課に来たばかりじゃ出来ることは限られてるだろ。早く行け!」
「水島さん、行くっスよ。」
法医学教室に着いた。
「江口さん、何で私は現場の聞き込みじゃないんでしょうか。」
「デカ長には何か考えがあるっスよ。我々は指示通りやるっス。」
そうだね。事件を解決しないと殺された人は浮かばれない。
「美貴、早かったわね。江口さんもお疲れ様。」
「景子、それで司法解剖は?」
「犯人は相当な恨みでもあったのかしらね。」
「傷口が多かったスか。」
「腹部5ヵ所、手足3ヵ所、背中に2ヵ所の計10ヶ所よ。」
「そんなに刺すなんて…酷いね。」
「多分背中は逃げようとした時の傷ね。腹部の傷が致命傷だけど。」
「犯人は被害者ともめた感じっスかね。」
「あと、犯人は左利きね。刺し傷の跡からしても。」
左利きか。犯人、こんなに刺すなんてフラレた腹いせとかか?
一課に戻った。
「デカ長、犯人は左利きで、刺し傷10ヶ所、致命傷は腹部の傷です。」
「おう、江口・水島、現場周辺の聞き込みだ。」
「あの、デカ長。何で最初から聞き込みじゃないんですか。」
「とりあえず、お前は事件解決に専念しろ。解決したら教えてやる!」
何だろう…、でも今は犯人を捕まえることが先だよね。
聞き込みしても、なかなか情報は入らなかった。
「水島さん、今日はこれくらいにして続きは明日するっス。」
「江口さん、私携帯は切らないようにします。」
「分かったっス。何かあったら連絡するっスね。」
…携帯が鳴ってる?今は…朝6時!
「もしもし…。」
「水島さん、大変っス。また殺人っス。」
「えっ、江口さん!」
「直接現場に来るっス。」
とにかく急ごう。
規制線が張られている。
「江口さん、被害者は?」
「昨日と同じ若い女性っス。」
出血痕が凄い。また何回も刺したんだな。
「美貴、朝から大変ね。」
「百合子何か分かった?」
「後で一課に連絡するけど、殺されたの早朝だね。」
何か嫌な予感がする。マジでヤバいかも…。
「まさか…、連続殺人…。」
「決めつけるのはよくないけど、可能性はあるかな。」
一課に戻る。デカ長からの説明だ。
「今朝見つかった被害者だが、所持品から山口蘭28歳、会社員。死亡推定時刻は午前5時から6時の間。死因は出血死。尚、昨日の事件との共通点も多く、連続殺人事件も視野に入れて捜査しろ!」
ううっ、犯人は一人だけではなく二人も殺すなんてどういうつもりだろ。まだ連続と決めつけるのは違うかもだけど…、何かやるせないな。
デカ長の指示で法医学教室に向かう。
「美貴、連日大変ね。」
「景子もね。それでどうだった。」
「刺し傷は10ヵ所以上。傷口からみて左利きね。腹部が致命傷になっている。」
「犯人はやっぱり…。」
「私は司法解剖して状況を伝えるだけ。犯人推理や逮捕するのはあなたの仕事じゃない。」
「連続殺人犯だとすると動機は何?」
「まあ、ここにいても解決しないから現場に行ったら。」
聞き込みをしても有益な情報は無かった。
被害者同士には面識も無い。
最初は怨恨の可能性も考えたけど、無関係な2人となると動機は快楽殺人なの?
そう言えば!
第1殺人現場は公園の近くの茂みだ。第2殺人現場も違う公園だけど茂みの近く。ヤジ馬も集まるくらいだから、朝は人通りがある。
だから午前5時くらいに襲うのかな。
そんな早く出歩くのは新聞配達かジョギングする人くらい…。
そうか!聞き込みする人は昼だからダメなんだ。早朝にいる人なら何か分かるかも。
明日早くに聞き込みだ。
ふわ~っ、ねむ…。
朝4時なんて普段寝てるよ。でも犯人は許せない。
何でこんなことするか分からないけど。
新聞配達の人はこんな時間に働いているんだね。
「あの、ちょっといいですか。警察の者なんですけど。」
「はい、何でしょうか。」
「このあたりで早朝に怪しい人物とか見ませんでしたか。」
「どうかなぁ、怪しい人ねぇ。」
「公園あたりなんですけど。」
「あっ、あいつ!あのランニングしてたヤツ。」
「どうしたんですか。」
「朝から公園でウロウロしてたから、何してるか気になったんだよね。」
「どんな人でしたか。」
「公園で水とか飲んだな。そうだ!左利きだよ。蛇口左手でひねってた。」
おそらくそいつが犯人だ。
「ご協力ありがとうございます。」
そろそろ6時か。一課に向かうかな。
携帯が鳴る。江口さんだ。早速報告だね。
「もしもし江口さん。」
「水島さん、今どこっス。」
「公園付近で聞き込みしてましたよ。」
「また殺人事件っス。すぐ現場に来るっス。」
第4話 予告
3人目の被害者が出てしまった。
連続殺人犯の動機は?はたして犯人確保は出来るのか!
次回 「なにーー!私が囮に?!」
美貴刑事、ちょっとらしくなって来たかな。
今度の事件は厄介ですぞ。
江口君とのバディもなかなか。
それでは次回またお会いしましょう。