第2話 新人だって、やる時はやる!
登場人物紹介
水島美貴 新米刑事。
田中晴人 交番長、美貴の上司。
山田剛 一課長、通称デカ長。
江口一馬 一課の刑事。
阿部百合子 美貴の同僚、鑑識。
永谷景子 美貴の同僚、監察医。
*登場する名称等は全てフィクションです。
交番勤務から捜査一課に転属になって早々、殺人事件勃発。
被害者は刺殺されたが、犯行は別の場所みたい。殺害時拘束されたようだし、身元も不明。
犯人は誰か、目的は何か、更に捜査を進める。
「江口さん、聞き込みですかね。」
「聞き込みもいいっスけど、身元調べるのが先っスね。」
そうだよね。殺された人が誰か調べないとね。
「さっき監察医の人から連絡来たっス。」
「景子、何か分かったのかな。」
「美貴、ちょっとこれなんだけど。」
「被害者の写真だね。」
「あなた、ボケかましている場合じゃないわよ。被害者の身体的特徴が身元を判断する資料になるのよ。」
「永谷先生、それで何か分かったっスか。」
「この被害者、内臓に手術痕があったわ。」
「過去に外科手術したってことスよね。」
「そう。しかも単なる外科手術じゃないわ。」
「どゆこと?」
「心臓のバイパス手術してるのよ。これだけの技術を持つ医師はそうそういない。」
「手術した病院が特定出来そうっスね。」
「この近くだと1ヵ所しかないわ。」
「早速行ってみるよ。ありがとね、景子。」
ここの病院か。
心臓外科の先生に聞いてみる。
「こちらの術式はこの病院で行われていますよね。」
「はい。」
「この写真の男に見覚えはあるっスか。」
「どれどれ…、ああ、三村さんですね。」
「この男、三村って言うっスか。どんな人物なんスか。」
「三村さんは…、確か貿易会社の社長さんでしたね。」
「その会社は分かりますかね。」
会社を確認して早速向かう。
この貿易会社だね。
一見普通に見えるなぁ。でも殺人事件となると何かありそう。
受付の人に聞いてみよう。
「あの、三村社長さんのことなんですけど…。」
「社長はあいにく不在にしております。」
「この写真の人、社長さんっスか。」
「はい、うちの社長ですよ。それが何か。」
「こちらの男性、今朝遺体で発見されました。」
「えっ!社長亡くなっていたんですか!」
会社全体が騒然となる。
そりゃそうだよね。社長がいきなり亡くなったらパニックだよ。
会社の責任者が対応することになった。
「それで、三村社長はどういう方でしたか。」
「一代でこの会社を大きくしました。ワンマンタイプでしたね。」
「恨みを持つ人とかいたっスか。」
「特にはいなかったと思います。」
「この会社はどういう貿易をされているんですか。」
「主に東南アジアを中心に食料品や衣類を取り扱っています。」
「生活品中心という感じですね。相手国の取引業者とかは。」
「相手は全て社長が対応するので、私らでは分かりませんね。」
「社長室を調べさせてもらえますか。」
「鍵は社長しか持っていないので、私らでは中に入れません。」
今日の所はこれ以上無理だよね。
「あの、社長さん、心臓手術したっスよね。」
「ああ、通り魔に刺された件ですね。」
「通り魔?いきなり刺したんですか?」
「当時警察の方の捜査に協力しましたね。」
署に資料あるかも。
「景子、今回の刺され方と、以前の通り魔の刺され方、どうかな?」
「美貴、ビンゴかもよ。」
「それって、傷口同じってこと。」
「そう。犯人は同一人物の可能性が高いわ。」
なるほど。
犯人は以前、通り魔を装い殺そうとしたが失敗。今度は殺した。
社長はワンマンだから、取引先ともめても窓口は社長だ。密輸でもしたんか?
電話だ。
「はい、水島です。」
「おい、水島!江口と埠頭に行け!」
「船でも乗るんですか?」
「何言ってる!大量の血痕が発見された。殺害現場に間違いない!」
現場に急行だ。
埠頭に着いた。
「江口さん…、この現場って…。」
「ここ三村社長の会社の倉庫っスね。」
「犯人は会社の関係者ですかね。」
「まだ証拠は無いっス。」
ここで三村社長は殺害され、裏路地に運ばれた。誰がどうやってした?
「水島さん、何かおかしいっス。」
「江口さん、凄く違和感を感じますね。」
そうだ、社長はワンマンなら、自分で仕切っている貿易窓口に会社の人は呼ばない。
但し、社長の腹心の部下が裏切ったら。
それに、自分の倉庫で殺され、身元の証拠を残さないのは犯人が関係者だから?
鑑識が血痕周辺を調べている。
「百合子、何か見つかった?」
「美貴、犯人は複数みたい。」
「足跡だよね。」
「争った形跡もある。多分拘束した感じだね。」
「景子の検証とも合致するね。」
ようやくこの事件、見えて来たかな。
三村さんの会社に戻り、責任者の人に来てもらった。
「先程あなたは社長はワンマン、貿易相手は全て社長がと言いましたね。」
「そうですが。」
「あなたは貿易は東南アジアの方面とも言いましたね。」
「はい。」
「おかしいですね。社長が決める相手が何故東南アジアと限定出来るのでしょうか。アメリカとかヨーロッパもあるかもしれません。」
「それに、あなたは通り魔事件で相手と交渉しましたね。」
「社長が重傷でしたから、犯人とは弁護士を通して対応しました。」
「なるほど。今回社長を殺した犯人ですが…。」
「刑事さん、犯人分かったんですか。」
「あなたが社長を殺したんですね。」
「わっ、私は…。」
おいおい、逃げようとしないでよ。
「後は署で聞くっスよ。」
取り調べであの責任者は殺害を認めた。
かねてから社長の振る舞いに恨みがあったが、最近重要な仕事を一部したらしい。でももう1人部下を連れて倉庫で言い合いになり、口論の末殺害。証拠隠滅と遺体遺棄した。
「いやー、水島さん、凄いっスね。」
「おい!新人、やるじゃねえか。」
「私もバシッと決める時はありますよ。」
「あんま調子乗るんじゃねえよ。」
こうして私の初事件は解決した。
第3話 予告
事件を解決したのも束の間、新たな事件が!
今度はヤバいかも…。恐怖の連続殺人事件が!
次回 「これ、マジヤバいって!」
美貴刑事、事件解決おめでとー♥
でもでも一課はそれ程甘くない?!
新たな事件が始まる…
では次回また。