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紗月の過去と初恋

今回は恋愛要素多めです

 俺は学校が終わり帰ろうとしていた。


その時、慌てた様子の紗月が校舎に入ってきた。紗月は俺に気付くと


「春馬、まだ帰って無かったの?」


と聞いてくる。俺は


「あぁ先生に職員室までノートを運ぶのを手伝わされてな」


紗月は


「そういう事だったんだね」


と納得したように言う紗月に俺は聞いた。


「紗月こそ、何で戻ってきたんだ?」


紗月は少し言い淀んだ後、恥ずかしそうに言う。


「水筒忘れちゃって、それで取りに来ただけ」


っと言うと教室へと早足で行く。俺は


「俺もちょっと取ってきたい物があるから一緒に行くぞ」


と後を追いかけた。



あれから紗月と教室に着くとドアを開ける。

するとまだ鍵はかかっておらずあっさりと開いた。


ちなみにこの学校では鍵は基本担任がかけるので時間が合えばまだ開いている場合もある。


そして俺は自分の机に行くと机上に探そうと思っていたシャーペンが置かれていた。


俺はシャーペンを手に取ると自分なのを確認してポケットに入れる。


恐らく掃除当番の誰かが俺のだと気付いて置いてくれたのだろう。


振り向くと紗月も水筒を手に取って鞄に入れていた。


その時だった


足音がしたかと思うと、ドアからガチャガッチャンと回す音がした。


俺は嫌な予感がしながらもドアを開けようとする。


ガン!ガン!開かない。


俺は紗月の方を振り返る。


紗月はツバを飲み込むと心配そうにこちらを見ている。


俺は言った。


「閉じ込められた」



私、仲川紗月は春馬と教室に閉じ込められていた。


どうしよう…私はどうにか出られないか考えていた。


ただ良い方法は思いつかない。


その時、後の窓から光が差し込んできた。


私は窓を振り返ると春馬に言う。


「そこの窓から助けを呼べないかな?」


春馬は


「その手があったか!」


と窓に駆け寄る


すると春馬は


「ダメだ、外に誰も居ない。これじゃあ叫んでも聞こえない」


私は


「部活の人とかは?」


春馬は


「部活は基本室内か反対側のグラウンドだ。到底聞こえないだろう」


私は


「春馬、ごめん。私のせいだ。私が忘れ物したから……」


そうだ。小さい時にも同じように忘れ物をして、皆に先に帰ってもらって……だけど道に迷って帰れなくなった事があった。


あの時は確か男の子に助けてもらった。


私よりも背が低くくて、だけど彼は、


「迷子か?それくらいなら僕がどうにかしてやるよ。」


「だから安心しろよな。」


ってあっさりと私を家まで連れて行ってくれた。あの子は私の初恋の相手だった。


すると


「まぁドアが開かないだけだ。それくらいなら俺がどうにかしてやるよ」


「だからそんな顔すんな。安心してくれ」


「えっ……」


私は春馬の方を振り向く。すると窓の前に立っている春馬に、あの時の男の子が重なる。


そういえばあの時、名前は聞かなかった。


だから春馬があの時の男の子が春馬だったとしてもおかしくは無い。


春馬が私の初恋の人……


私は今までに感じたことの無いくらいにドキドキしていた。


目の前の春馬に聞こえてしまいそうなくらいに心臓がドキドキと鼓動を打つ。


すると春馬が


「紗月大丈夫か?顔赤いぞ」


私は


「あ、あ、いや何でもないから」


と顔を隠しながら言った。そして今、気を抜いたら春馬に抱きついてキスしたいくらいに、春馬への気持ちが溢れそうになっていた。




俺はあれからずっと閉じ込められ続けていた。


するとキーンコーンカーンコーンとチャイムがなる。部活終了のチャイムだ。


俺はある事を思いつき紗月に聞く


「なぁ紗月、今日、有香里って陸上部の助っ人だって言ってたよな」


紗月は少し考える仕草をした後


「うん。そう言ってたけど、それがどうかしたの?」


俺は自分の机に行くと要らないプリントを取り出してさっきのシャーペンで文字を書いて紙飛行機型に折る。


そのまま俺は椅子をドアの前に持ってくると上に乗ってドアの上の窓を開ける。


そこから階段の前をめがけて紙飛行機を投げた。


有香里、俺だって気付いてくれー




私、仲川有香里はハァハァと息をしながらグラウンドの端に向かって行く。すると


「有香里、凄いよ、100mを15秒切りは」


私は


「ははは、そうかな?役に立てたら良かったよ」


と言う。


陸上部の副部長でクラスメイトの美沙は


「役に立ったどころじゃないよ。うちの部の新記録だよ!」


続けて


「有香里、有香里が良ければだけど、陸上部入らない?」


「え、」


私は少し迷った後、私は言った。


「申し訳ないけど無理かな。ごめんね」


すると美沙は驚いた顔をした後


「有香里もしかして……好きな人が出来て一緒にいたいからだったり」


私は


「まぁ、そんな感じでふ」


と曖昧に答える。


曖昧に答えたのはこの気持ちが何なのか分からないからだ。


確かに一緒に居たいし勉強を教えたい。これが家庭教師と言う役目があるからなのか、それとも恋愛的な感情なのか、今の私には分からない。


だけどこれからも彼…春馬さんと家庭教師として共に過ごしたらこの気持ちが何なのか分かるかもしれない。


私はそんな事を考えながら校舎に戻ると階段を登っていた。


更衣室はこの階段を登った先にある。


よいしょっと。


ってあれ、私は廊下に白い紙飛行機が落ちていることに気付いた。


私はしゃがんで紙飛行機を手に取る。


すると中に何かが書いてあることに気付いた私は紙飛行機を広げる。すると


「教室のドアに鍵がかかってて出られない。助けてくれ」


私はその字を見ただけで誰か分かった。


「春馬さんの字だ」


と言う事は近くの教室に春馬さんが居るってことだ。


私は一番近くの教室の前に行くとドアをノックして


「春馬さん、居るんですか?」


すると


「あぁ、居るぞ」


私は


「やっぱり春馬さんなんですね。私先生に鍵借りてきます!」


と言うと職員室に小走りで向かった。




ガチャと音がして鍵が開く。


私はドアを勢い良く開けた。


「春馬さん、助けに来ましたよ〜」


すると教室には春馬さんと紗月が居た。


春馬さんはこちらに来ると


「有香里ありがとな。お前が居たから助かった」


私は


「いえ、別にいいですよ〜」


と照れながら言う。


すると紗月は


「ふふふ、あの時と一緒だね。またあっさりと私を助けてくれた」


と私も初めて見る表情で言う。


「あの時?何のことだ」


と春馬さんは不思議そうにしている。


紗月は微笑むと


「何でもないよ。」


と言う。


その表情は恋する女の子そのものだった。



道路に歩く五人の影が落ちている。


あの後俺達三人が中々帰ってこないからとタ緒と花梨も戻ってきたようだった。


前には有香里、タ緒、花梨の三人が楽しそうに話している。


そしてその後を俺と紗月の二人で歩いている。


俺は紗月に聞いてみる。


「紗月、良いのか?前行かなくて」


すると紗月は首を振ってから


「ううん、良い。今は春馬と居たいから」


俺は


「おぉ、そうか」と返事をする。


何だか紗月が変わった気がするが…気のせいだろうか。


そしてその変化は前を歩く有香里も感じていた。


紗月、さっきの一件があってから、変わった。


なんと言ったら良いか分からないけど、春馬さんに対して積極的に話すようになった気がする。


今も嬉しそうに話している。


もしかして…


そしてその夜、有香里は自分の推測が間違っていないと確信する事になる。




その日の夜


私は家庭教師として春馬に国語を教えていた。

 

ただ今日の一件もあって教えながらもドキドキしていた。


私は気付かれないでと思いながら教えた。




そして一通りの復習を終えて、終わりだと言おうと春馬を見ると春馬は机に突っ伏して寝落ちていた。


でもノートはキッチリ全て書かれていた。


本当に春馬はこういう所は律儀だ。


当然だが私は春馬の寝顔を初めて見る。春馬の寝顔は優しい顔をしていて、私は再びドキッとする。


そのままの勢いで私は春馬の耳をハムっとする

教室では我慢していた気持ちが溢れ出すように。



そして細く開いた襖の隙間から偶然見てしまった有香里は自分の推測が間違っていないと確信し、さらにあることに気付いた。このままでは紗月が恋のライバルになると言うことに。


今回も最後までお読み頂きありがとうございます。

今回は紗月の過去と初恋相手について明かされます。ちなみに分かる人もいると思いますが過去の話は五等分の花嫁の四葉や甘神さんちの縁結びの夜 重の過去を参考にしています。

そしてまさかの本作が累計pv数500pvを突破しました!

本当にありがとうございます。

今後も学業と並行しながら出来る範囲で更新していきます。

次回の更新は日曜日の予定です


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