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あなたは誰なの?

今回は少し長編です


「君、春馬君だよね?」


 俺とアイツら四人でいつものように学校の最寄り駅まで電車に乗っていると、突然俺の隣に座っていた同い年くらいの女性が話しかけてきた。


「えっと、あなたは?」


「私は美河瑠花、"いつもうちの春馬がお世話になってます"」


「えっ……瑠花なのか?」


「だからアンタは何で春馬をしってるのよ」


「瑠花と春馬君は幼稚園の頃からの幼馴染なの」


「「「「ええええっ」」」」


 四人が車内である事すら忘れて驚きの声を上げる。


「アンタ幼馴染居たの!?」


 花梨が驚いた様子で俺に聞いてくる。


「わ、悪いしばらく会うタイミングが無かったから言いそびれてたんだ」


「そ、そう言う事は先に言いなさいよ!」


「本当に悪かった」


「でも私達は"言わば同級生以上の関係って言っても過言じゃない"わね」


「そちらの四人は?」


「あぁ、俺の家庭教師で、仲川有香里、花梨、紗月、多緖だ」


「へぇ、姉妹なの?」


「まぁ、そんな感じで……」


 花梨が若干苦笑気味に言う。


 流石に四つ子と言うとややこしくなると思ったらしい。


「そうなると、奇遇ですね」


「瑠花も春馬に勉強教えたんです」


「と言っても数学と英語くらいだけどね」


 瑠花が少し苦笑気味に言う。


「でもこれでハッキリしたね」


「瑠花とあなたたち、どっちがより親密なのか」


「確かに、それが本当ならば私たちとあなたは同じ事をした、言わば似た者同士とも言えます」


「春馬さんと過ごした時間だと瑠花さんに負けてしまいそうですが…」


 有香里が続けて言う。


「でも、その深さでは負けるつもりはない」


 さらに紗月が続くように言う。


「お前ら、ここが車内である事を忘れてないか?」


「「「「「あっ」」」」」


「聞いてるこっちが恥ずかしいからやめてくれ」


 俺は耐えきれずに指摘するとはぁと溜息をついて口を開く。


「瑠花も俺がコミュ症なのは知ってるだろ」


「そんな俺が唯一気楽に居れる、こいつらは俺の数少ない友人だ」


「全員が特別に決まってる」

 

「「「「えっ//」」」」


 四人の頰がほんのり赤くなる。


 それからも瑠花と俺が転校した後のことなどを聞いた後、


「所でどこの学校?」


 紗月がいつものマイペースな感じで聞く。


 そして瑠花の口から放たれた学校名は衝撃的な名前だった。


「かなりのお金持ち学校ですよね」


「そこって最近共学化したって言ってたよな」


 多緖と花梨が思い出すように言う。


「そうだよ、よく知ってるね」


「ちなみに私と春馬君は同じクラスだったんだよ」


「「「「ええええっ」」」」


 四人が車内である事を忘れて……以下略

※2回目


「でも、あの時は大変だった」


「なんで?」


「だって元女子高だからクラスメイトお前も含めて全員女の子だし」


「ハーレム」


 紗月がボソッと呟く。


「人聞きの悪い事言うな」


 俺は思わずツッコむ。


 てか、今の四つ子の家に居候している状態も十分ハーレムだと思うのは俺だけだろうか?


『次は……です、お忘れ物無いようにご注意ください』


 電車の走行音にかき消されつつも放送が流れる。


「次だぞ」


 俺は四人に言うとドアの方に移動する。


 その時一緒に動こうとした四人に瑠花が言う。


「こちらからも一つ聞かせて」


「何です?」


多緖が不思議そうに聞く


「君達ってさ春馬君の事好きなの?」


「「「「えっっつ」」」」


四人ともほんのり顔を赤くして押し黙る


「じゃ、今日の放課後でも少し話さない?」


「放課後ですか!?」


「うん」


電車がさらに減速する


『お出口は左側です。お忘れ物無いようにご注意ください』


「多緖、そろそろ行かないと」


紗月が耳打ちする


「分かりました。それでは失礼します」


春馬と共に四人は降りていき車内には瑠花ただ一人が残された


瑠花はフッと笑みを浮かべて降りる春馬達を目で追うとただ一言


「本当に大きくなったね」


まるで保護者のような眼差しで見ていた




ガチャン!俺は教室の鍵を開ける


「いっちばーん」


有香里がはしゃぎながら入る


「お前は小学生か!」


ツッコみながら鍵を教卓に置く


「でも、私達以外だれも居ない教室は変な感じ」


「仕方ないだろ、俺と花梨が日直なんだから」


俺はブィーンと黒板消しクリーナーの電源を付けると黒板消しを擦る


(なんか、アイツらさっきから変というか……なんか隠してるっていうか)


(まっいか)


黒板消しを取ると黒板を消していく


花梨はもう一つの黒板消しをクリーナーに掛けていた




『有香里ちゃん達のアドレス教えてくれない?』


昼休みが始まってすぐに俺は瑠花から送られてきたメッセージに困惑していた


俺は仕方なく四人を呼び出すと送られてきたメッセージを見せる


「って、訳なんだがお前らのアドレス教えていいか?」


「良いよ」「構わないわ」「大丈夫」「大丈夫です」


四人から了承を受けてアドレスを送る


「にしても瑠花のやつ、なんで有香里達のアドレスなんかを?」


「んんんんっ!」


四人ともギクリとする


「瑠花と何があるのか?」


「な、何でもないです」


多緖がきっぱり否定する


「なら良いが」


こうして昼休みが過ぎていった




『分かった。そこに行くね』


私、仲川紗月のスマホにらトーク画面が映されていた。


あのあと瑠花さんから連絡があって家の最寄り駅にあるカフェで話すことになった


『まもなく電車が参ります。危険ですから黄色い点字ブロックの内側にお下がり下さい』


聞き慣れた地元電車のアナウンスが流れて、目立つマルーン色の車体がホームに入ってくる


ちなみに春馬には嘘の理由でもう一個先の電車で帰ってもらった


春馬には申し訳ないけど四人で話し合ってこれが一番良いと言う事になった



最寄り駅に着いて改札を出ると直ぐにカフェがある


店内に入ると既に瑠花さんが居た


私達四人は瑠花さんの座る席に向かう


店内の席は2人掛けが何個かある形の為、席をくっつけて5人で座る。


机には既に5つカフェオレが置かれていて、瑠花さんの分は半分減っていた


「それじゃ、電車での話の続きをしていいかな?」


「は、はい」


四人でつばをのみ込む


「君達は春馬君の事、好きなの?」


「え、えーと」


やはり四人して口籠ってしまう


「まぁ無理には言わなくても良いよ」


瑠花さんが苦笑混じりに言う


「まぁ、もしも春馬君の事、好きなんだったら私の事は気にしなくて良いし、むしろ応援するから」


「あのー」


有香里が小さく手を挙げる


「瑠花さんは春馬さんの事好き、ではないんでふか?」


「うーん、好きと言うよりからかったり、話したりそれだけできれば…別に付き合うとか、そう言う事は考えて無いかな」


私は心の中でからかったり、話したりできればってそれってそれくらい好きなのでは?と思う。


実際に自分が感じているからだろうか


「まぁそう言う事だから、頑張って」


「それを話したかっただけなの」


そう言うと瑠花さんはお支払いをして、先に出て行った


「なんか、瑠花さん無理をしてる感じだったって言うか」


「自分の気持ちを押し殺して私達を応援しようとしてくれていたって感じでしたよね」


有香里と多緖が続けて言う


「実際、瑠花さん"も"春馬の事好きなのかも」


「うーんでもどうすれば」


私の意見に有香里が悩む声を出す


こうして私達四人の中に長い沈黙が落ちた




お風呂上がり、パジャマを来た私はいつものように居間に行った。


するといつものように有香里、花梨、多緖が集まって話している


「紗月だー」


有香里が真っ先に気付く


私は花梨と机を挟んで反対側に座る


(どうしよう、言い出しづらい)


(でも……言わなくちゃだよね)


私は決意を決めると立ち上がる


「紗月どうしたの?」


有香里が不思議そうにこちらを見ている


「わ、私春馬の事が好き」


いつもの私からは考えられないくらい本気の声で言った


「さ、紗月……」


花梨が驚きの目で私を見ている


恥ずかしい。そんな気持ちがよぎる


だけど後悔は無かった


「私も春馬さんの事……」


有香里も立ち上がるも途中で言葉を濁す


「有香里……」


私は驚きのあまり何も言えなかった


つづく




最後までお読み頂きありがとうございます

今回の話では幼馴染が現れました!

ちなみに幼馴染と再会するのが電車なのは最近筆者が実際に電車で中学の頃の友人と再会したからと言う実話から来ています。そして次回は明後日更新予定です!では

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