四つ子の意外な趣味や特技 (前編)
今回の話では紗月と有香里の意外な趣味や特技が分かります!
「たまには気分変えも必要だと思わない?」
有香里がどっかの生徒会長のようにあまり無い背と胸を張って言う。
私、仲川紗月は土曜日の午前中にも関わらず、他の三人と共に居間に集まっていた。
「どういう事よ」
花梨が訳が分からないと言わんばかりに聞き返す
「だからたまには春馬さんの家庭教師する場所を変えてみない?」
「帰るって言っても何処に?」
多緖も有香里に質問する
「ん〜」
(いや考えてなかったんかい!)
有香里以外の三人が心の中で同時にツッコむ
「こことか」
「いやここだと余計集中できんだろ」
花梨が呆れたように言う
「じゃあ私達の部屋は?」
「「「はっ」」」
「「「えー」」」
「それは流石に」と多緖
「だ、ダメだろ」と花梨
その時居間の襖が開いてお父さんがこちらを覗く
「場所替えをするのは良い案だと思うぞ」
「学校でも教科によって教室が違うだろう」
「それは……そうですけど」
「春馬くんのことは君達四人に託しているから四人で考えなさい」
バタン
襖が閉まる
「お父さんもああ言ってたしやってみない?」
「まぁ、お父さんも言ってるし、一回だけなら」
花梨も渋々と言った感じで有香里を見ている
「確かにすべての科目が同じ教室だなんて事ありませんもんね」
多緖も納得したようだ
「所で誰からするんですか?」
多緖が思い出したように聞く
「う〜んじゃんけんで決めようか」
「の、のぞむところよ」
花梨が自信ありげに言う
「じゃいくよー」
「じゃ〜んけんぽん」
「えっ」
「ふん」
結果はトップバッターが私、次に有香里、多緖、花梨の順番になった
こうして部屋替え家庭教師が始まった。
俺、上条春馬は家庭教師の時間まで部屋でゆっくりしていた。
「そろそろか」
俺は筆箱と教科書、ノートを手に取ると部屋を出る
どうやら今日は紗月の部屋でするらしい
(てか、同級生の女子の部屋に入るのは有香里いらいだぞ)
紗月の部屋は俺の部屋から階段を上がって直ぐの場所にある
紗月の部屋の前に着いた俺は少し躊躇いながらも意を決して襖をノックする
コンコン
「入っていいか?」
「いいよ」
ゴクリ
つばを飲み込み俺は襖を開けた
紗月の部屋は有香里の部屋と違って綺麗に片付いている。
そして勉強机の上や椅子などは水色の物が多い
目線を下にすると部屋の真ん中には小さめな机がある。さらに机の下に布のかけられた何かが置かれている
多少気になりながらも紗月の前に座った
「ここ違う、そこはさんずい」
俺は国語の中でも苦手な漢字を教えてもらっていた
さんずいとか木偏とかごちゃごちゃしてきて、さっきから頭が痛くなっていた。
紗月が時計を見上げる
「そろそろいい時間だし、今日は終わろっか」
「もうそんな時間か」
漢字に苦戦している間にそんな時間になっていた事に驚く。
俺は筆箱を下ろして、教科書とノートを閉じる。
その時
「あっヤバ」
紗月の小さな声が聞こえたかと思うと机の下で布がかけてあった物が横に崩れてこちらに飛び出していた
「見ないで……」
紗月の声も虚しく俺は見てしまった
男と男の描かれた表紙……つまりBLだった
「BL……だよな」
「えっと、変な意味じゃなくて、その、なんか見かけて、それで、買っちゃったって言うか、それだけで……」
紗月が真っ赤な顔を両手で隠している
何と言うかテンパりすぎて変な言い回しになっているが、今はそれどころではなさそうだ。
「だから……その、他の三人には言わないで……」
(四つ子でも秘密ってあるもんなんだな…)
(当たり前か)
「分かった、三人には言わないよ。約束する」
「ありがとう……」
「まぁ、俺も最近スマホでアニメ見たりするのにハマってたりするし、誰しも趣味とか、内緒事はあるもんだろ」
(まぁ、BLは意外過ぎたが……)
「なんか、春馬のおかげで元気が出た気がする」
(なんか仲間意識でも芽生えさせちゃったかな?)
俺は苦笑しつつ部屋を後にした
(にしても、恥ずかしがる紗月が、いつものクールな感じから打って変わって可愛かったな)
(いかんいかん)
俺は思考を変えて部屋に戻った
夕飯を食べ終えた俺は有香里の部屋へと向かっていた
(またお、ゲフンゲフン散らかりまくった部屋になってそうだな)
「入るぞ」
「はーい」
俺は襖を開ける
「やっぱりか」
「何がでふ?」
「家庭教師の前に掃除だ」
「がっビーン」
"掛け布団を被ったまま"座る有香里が嫌そうな顔をする
「こんな状態じゃまともに勉強なんかできないだろ」
俺は呆れつつも言う
「はぁい」
「掃除するから立て」
俺は布団をどかそうとする
「ダメー!」
「なんでだよ」
「そ、その……"服着てないから照れる"でふ」
「は」
「どの服でも良いから取ってくれまふか?」
「なんで俺が……」
(まぁ、掃除してくれそうだししゃなしか)
俺は布団に散らばる服から適当に選んで渡した。
こうして家庭教師の前に掃除が始まった。
前もやったが漫画などの本を片付けていく。
以前よりも漫画などが増えていて「薫と花は凛と咲く」とか「鬼滅の剣」などがある。
どれもアニメ化された作品なので知ってはいるが見たことは無い。
(今度見てみるか)
こうして本棚を片付けて俺は部屋の端の布団に散らかる服を畳んでいた。
「布団どかすぞ」
「はー……あっ」
時すでにおすし……じゃなくて遅し。
布団からパラッと一冊のノートが落ちる。
「このノートはなんだ?」
「えーとそれは……」
俺はノートを拾うと開く。
するとノートには美術部員とか"芸大生"が書いたのかと言うくらい細い線で丁寧に書かれた動物の絵だった。
動物と言ってもそこら辺にいる犬や猫だが、何だかカッコいいようなそんな絵になっている。
「お前が書いたのか?」
「う、うん。ふと絵を描いたら上手くかけて……なんとなく描き続けてただけでふ」
動物の他にも偶に橋などもあったが一つ異質な物もあった。
「"鳥居"?」
「あぁ、それは初詣に行った時の事を思い出して書いたの、あまり上手くはないでふけど」
「いや、上手すぎるわ!てか運動神経もあって、絵も得意とか普通に羨ましい」
「そ、そうでふ?」
俺のあまりの勢いに有香里は照れたように赤くなった顔の頰をかきながら言う。
「美術部とか入らないのか?」
有香里はちょっと考える表情をした後口を開く。
「入らないでふ。部活に入ったら春馬さんの家庭教師をできなくなるでふから」
(それに春馬さんと会える時間も少なっちゃうでふし)
有香里は心の中で思った。
「じゃあ片付いた事でふし、家庭教師初めまふか」
「そうだな」
「ここはこれと掛け算して」
俺は有香里に数学を教えてもらっていた。
「そう言うことか」
「そうそう」
やはり数学は難しい。
俺は改めて実家した。
「じゃあ、そろそろ終わろっか」
「おう」
俺は筆箱などを片付けて有香里の部屋を出た。
にしても今日は色々大変な日だった。
最後までお読み頂きありがとうございます
今回は四つ子の部屋で家庭教師してもらうと言う話でした!次回は多緖と花梨の家庭教師です!お楽しみに!




