読書好きの紗月と強がりな多緒
今回から少しづつラブコメ感が出てきます!
では
俺は席に戻って一息つく休み時間もあと数分になっていた。
つまり10分休みがもう終わる事を意味する。
有香里の机を片付けるだけで休み時間か終わると言う事になんかなぁと思っていると隣で肩までかかる髪を揺らしながら眼鏡をかけて静かに文庫本を読む紗月が目に入る。
前で鼻歌を歌っている有香里のような明るい感じとはまた違って静かに本を読む女子と言うのもまた良い。
しかも眼鏡も相まって何だかエモくも見える。
そして今の紗月は前の学校での自分を見ているようだった。
前の学校でも俺に友達はおらず彼女なんてもってのほかだ。
そんな俺の休み時間の唯一の楽しみが読書だった。
色んなラノベやノベライズ本を読んだのを覚えている。
読書は小さいころから好きだったので飽きることは無かった。
そして今は家でも一緒なのもあって有香里とは話せるようになったが他の三人とはあまり話せていなかった。
特に花梨とは全く話せていない。
なぜか最初から俺を嫌っているようだ。
まさしくツンデレのツンしかないとはこの事だろう。
話を戻して俺は黙々と読書を進める紗月から目が離せないでいた。
恐らく姉妹以外とは話さないのだろう。
「ねぇ」
「何でこっちばっかり見てるの?集中出来ないんだけど。」
「ご、ごめん!」
と俺は正面を見る。
俺は見ていたことを気づかれていて恥ずかしくなっていた。
有香里は
「もしかして紗月に見惚れてたんでふかぁ?」
と悪戯笑顔を浮かべて言う。
俺は
「べ、べ、別にそう言うんじゃねぇーし。」
と言う。
有香里は俺が思わず嘘をついたのを見透かしたように
「えぇそうでふかぁ?」
「紗月は普段からあんな感じで眼鏡かけて読書をしていてその物静かさと可愛さでクラスの男子から注目されてるんですよ。」
と聞いても居ないのに力説を始める。
「有香里…止めて恥ずかしいから。」
と声が聞こえ振り返ると紗月が真っ赤な顔を本で隠している。
どうやら有香里の褒めばかりの力説に照れと恥ずかしさが限界突破したらしい。
あぁやっぱりそう言うところも確かに可愛い…じゃなくて俺は首を振る。
キーンコーンカーンコーン
黒板の上のスピーカーからチャイムが聞こえると思え
とチャイムがなり2時間目になる。
ガタンと教室のドアが開いて40代くらいの先生が入ってくる。
「んじゃあ国語始めるぞ。委員長号令」
と言うと同時に全員立ち上がる。
俺は立ち上がる時にチラッと紗月を見る。
紗月は驚くほど目をキラキラさせていた。
俺は一瞬意味が分からなかったが今の時間が国語だと思い出して紗月は国語だから嬉しそうにしているんだなと分かり何だか微笑ましくなる。
委員長は
「よろしくお願いします」
と丁寧に言う。
続けて生徒全員で復唱すると座る。
先生は教科書を開くと
「んじゃあp35の羅生門を開いてくれ。」
俺は教科書を開いた。
キーンコーンカーンコーン
とチャイムがなり授業が終わった。
そして予想通り紗月は積極的に手を挙げたりいつもの紗月は別人のようだった。
まぁ好き科目だと熱中出来るのは分かるけども。
委員長の
「ありがとうございました」
の挨拶を皮切りに教室が賑やかになる。
そんな中、有香里はまた鼻歌を歌いながら次の準備をしていて紗月は再び文庫本を開き、花梨はクラスのギャルぽい女子とおしゃべりで盛り上がっていた。
そしてその後ろでは多緒が先生にプリントの山(クラス30人分)を渡されていた。
何だか今にもバラまきそうで怖い。
俺はやれやれと席を立つと多緒の方に向かった。
「おい、多緒持ちきれないなら持つぞ。」
「大丈夫です。これくらい持てます」
と言う。
ただそうは見えない。
それくらいにプリントがグラグラしていた。そしてペラペラと上から数枚落ちて俺が受け取ると
「ほら、こうなるだろ。」
と呆れながら上から三分の一を取った。
すると多緒は
「あ、ありがとうございます。」
と顔を赤らめながら言う。
これもこれで可愛い…じゃなくて昨日過ごして分かった事は多緒は意地っ張りと言うか強がりだと言う事だ。
出来ると思って引き受けても無理してでもやろうとする。
俺にはそれが危なかっしく見えて仕方がない。
そんな感じに俺と多緒は並んでプリントを先生に届けた。
あれからもう1時間がすぎついに昼食だ。
俺は四人(主に有香里)に案内されながら食堂に来ていた。
そして俺含め四人ともうどん定食にした。
ただ多緒だけは天ぷら付きの物なのでかなり多く見える。
そしてみんなで食べ始めてしばらくして多緒はあっさり完食した。
多緒はよく食べる。俺は太るをんじゃないかと思ってしまうが言ったら殴られそうなのでやめておく。
そして遅れること少しで俺達も食べ終わり少し休憩する。
横に座っている有香里が言った。
「春馬さん口におべんと付けてますよ」
と俺の口元に付いていた米粒を食べる。
そして俺の頬に有香里の唇が触れる。
そうほぼキスに近い状況になのだ。
他の三人からの視線が集中する。
やっと有香里も自分しでかした事に気付いたらしく赤面する。
「あ、いや、キスとかじゃなくて、その、事故と言う事で。」
俺は心の中で無理あるわ!とツッコむ。
こうして慌ただしい昼食が終わった。
今回も最後までお読み頂きありがとうございます。明日からは基本毎日更新する予定です。そして最後の有香里のキスは五等分の花嫁の四葉のキスのパロディとしてやってみました。次回以降も一つはパロディ要素がありますよ。ではまた次回お会いしましょう