四つ子の年末
今回は四つ子と春馬の年越しの様子です!
「アルミニウムがAiでマグネシウムがMgね」
俺、上条春馬は多緖に理科を教わっていた
そして理科の中でも俺が一番苦手としている元素記号だ。(筆者も化学式と同じくらい苦手です)
「じゃ言ってみて」
「えーとアルミニウムがAiでマグネシウムが……」
「Mgね」
多緖が教えてくれる
「そう、やっぱり覚えられないな」
「うーんならリズムで覚えてみたらどうかな?」
「リズム?」
「そう!例えば水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウム、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、ネオンなら水、兵、リー、ベ、ぼ、く、の、ふ、ね。とか」
「何か聞いたことあるな」
「でしょ。だったらこれで覚えたら良いんじゃない」
「確かに」
「あとさっきのアルミニウムとマグネシウムそれにケイ素、リン、硫黄、塩素、アルゴン、カリウム、ナトリウムなら、七、曲がる、シッ、プ、ス、クラー、ク、かて言うのもあります」
「おー凄く覚えやすいな」
「水、兵、リー、ベ、ぼ、く、の、ふ、ねと七、曲がる、シッ、プ、ス、クラー、ク、か」
「正解です!」
多緖が嬉しそうにこちらを見る
(本当、多緖は理科なら楽しそうだよな)
「本当多緖は理科好きなんだな」
「何でです急に」
「いや、俺に理科教えてる時のお前凄く嬉しそうにしてるからな」
「そ、それは……」
多緖は内心で焦っていた
(春馬と二人きりだからなんて恥ずかしすぎて言えないー)
「ま、まぁ教えるのも好きだしね」
「そうなのか」
(良かった〜何とか誤魔化せた)
多緖は内心で安心したのだった
「それじゃあ今日の家庭教師はこれで終わりましょうか」
「おう」
「これで今年の家庭教師は終わりですかね」
「そうなのか」
「えぇ。四人で話し合って決めたんです。流石に大晦日まで勉強と言うのは少し可哀想ですから」
「春馬君が良ければ明日も家庭教師しましょうか」
多緖が悪戯な笑みを浮かべて言う
「いえ、大丈夫です」
「ふふふ。分かりました」
俺、なんかからかわれた?
にしても笑顔な多緖も可愛いな。
て違う違う!
そんな事を思いながら俺は机の上を片付け始める。
多緖も自分の持ってきたものを片付けると立ち上がる
「それじゃ失礼しますね」
多緖は襖を開けると部屋を出ていった
多緖が出ていって静かになった部屋で俺はポツリと呟く
「大晦日……か」
次の日
今俺が居候しているおじさんの家に俺の父さんが来た。
いつもは6人で座る居間に今日は父さんも居た。
「卓也さん。本当にありがとな。春馬に勉強を教えてくれて」
「いや、教えてるのはあの四人だ」
「すまんすまんそうだったな」
「でも迷惑じゃなかったのか?」
父さんは少し申し訳無さそうに言う
「むしろあの子達四人の良い練習台だからな」
「それなら良いが」
さすが元、上司と部下と言うだけあって話に花を咲かせている。
「そろそろ夕飯にしないと遅くなるわよ」
時計を見た花梨が言う
「そうだな。続きは夕飯の後に話すとしよう」
そうして俺達はいつもと何ら変わらない夕飯を食べた。
「うめーこれ誰が作ってるんだ」
父さんが頬張りながら聞く
「花梨と紗月だな」
「へぇ、こんな可愛い子が作ったご飯を毎日食べれるなんて春馬が羨ましいな」
「可愛」
「いい」
花梨と紗月が顔を真っ赤にして湯気を出している
おじさんは笑っている
こうして夕飯の時間は過ぎていった
「んじゃあ俺はそろそろ帰るな」
父さんは立ち上がると玄関の方に歩いていく
「在真、また好きなタイミングに来てくれい」
おじさんが父さんの後を歩きながら言う
「あぁ、また来る。春馬の事はよろしくな。卓也さん」
「大丈夫だ。勉強は四人と僕も教えるからな」
「よろしくたのむ」
父さんは俺の方に近づくと耳打ちする
(春馬、あの四人のうちの誰かを嫁にしたらどうだ)
(な、なんでだよ)
(だって四ヶ月一緒に生活してるんだぞ。一人くらい好きな子が居るんじゃないか?)
(うっせえよ)
と言うかアイツラにも他に好きなやつくらい居るだろと俺は内心で思う。
父さんは俺から離れて立ち上がると玄関を開ける
「それじゃまたな」
父さんは軽く手を振るとドアを閉める
なんか俺を見ていた気がしたが気のせいだろうか
あれから俺は部屋に戻っていた
と言うのも四人がお風呂から出るのを待っているのだ。
俺は時計を見る。
9時50分
四人が入ってから30分近く経っていた
一人ずつ入ってももう出たころだろう
俺は読んでいた漫画(有香里から借りた)を置くと部屋を出た。
洗面所に着いた俺は何も考えずにドアを開ける。
結論から言おう。確かに四人は出ていた
だが多緖以外の三人が下着姿のままだった
前もこんな事あったろ!(通算2度目)
「お前いつまで人の下着を見てんだよ!」
俺は花梨に腹パンされそこからの記憶はない
「花梨、またやり過ぎたんじゃないですか」
「バカね、私達の下着をまた見てきたのよ」
「それはそうだけど」
紗月が口ごもる
「流石にやり過ぎな気が……」
有香里が起きない春馬を見ながら言う
そしてこの会話は春馬にもうっすら聞こえていた。
(また花梨にやられて……)
(まぁ俺も悪いけど……てかアイツらもゆっくりしすぎだろ)
「死んじゃったなんて事ないよね」
有香里が思わずといった感じで言う
「死んでたまるかー」
俺は飛び起きる
「おぉ生き返った」
有香里が驚いたように言う
「いや俺は死んでねぇよ!」
「ふぅ散々な目にあった」
俺はあれからまだ頭がクラクラしたが取り敢えずお風呂に入った。
「にしても俺がアイツらの誰かを好き?な訳ないよな」
俺は父さんが帰り際に言った事を思い出す
確かに、有香里は昔にあったこともあって親近感はあるし、花梨は今日みたいに暴力されると困るが美人ではあるし紗月も眼鏡して読書してる姿は美人だし、でも以外とマイペースで、多緖はあの四人の中で一番真面目で……
って俺、何でこんなにアイツらの事を考えてるんだ
俺は頭を振ると湯船から出た
お風呂から上がるとテレビは紅白歌合戦がフィナーレになっていた。
「あと少しで年越しだな」
「ですねぇ」
いつの間にかこたつに入ってた多緖が言う
「今年も色々あったよね」
有香里が遠くを見ながら言う
「春馬と出会って、家庭教師として勉強を教えて」
「学園祭で一緒に劇をすることになった時は流石に驚きましたけどね」
「それに家庭教師のお礼として私達ひとりひとりと"デート"して」
「デートじゃねぇよ!」
俺は勢いでツッコむ
「ナイスツッコミ!」
花梨がグーサインを出す
ハハハ
誰からとも無く笑い出す
すると襖が開く
「年越しそば出来たぞー」
「年越しそばですか」
多緖が目を輝かせる
「本当お前は食べるの好きだよな」
「別に良いでしょ」
多緖がむくれる
「太るぞ」
「ズバッと言わないでください!」
俺は昨日の仕返しとばかりに多緖からかってみた。
以外に多緖は乗りも良くて楽しい。
それから俺達は年越しそばを食べて気付けば0時まであと1分ちょっとになっていた。
「でも今年は私達の大きく変わった年だったな」
花梨が思い出すように遠くを見る
「ですね」
多緖も同じ事を思っているようだ
「そうだね」
有香里も頷く
「でも変えてくれたのは春馬」
紗月が俺を見ながら言う
「お、俺!?」
「だな」
「ですね」
「だね」
花梨と多緖と有香里が同意する
「いや、俺全く分からないんだが」
するとテレビから除夜の鐘が聞こえて直ぐに
「明けましておめでとうございます」
アナウンサーが明るい声で告げる
「年越したな」
「「「「明けましておめでとうございます」」」」
「明けましておめでとうございます」
俺も四人に向かって言う
それからもワイワイ話して寝たのは1時前だった
次の日
「春馬どう?」
有香里が俺に問いかける
俺の目の前には着物を来た四人が立っていた
次回に続く
最後までお読み頂きありがとうございます
本当は初詣まで描くつもりでしたが大晦日だけで思ったより長くなったので分割しました。
最初に登場した元素記号は皆さん得意でしたかね?
自分は本当に覚えられなくて苦労しています。
春馬の様に何とか覚えれるように頑張ります!
では次回お楽しみに!次の更新はドリームアナザーワールドです!




