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番外編 家庭教師のお礼 紗月の場合

今回は紗月にスポットライトを当てたお話です

今、俺は紗月と共に電車に揺られていた。


ガタンゴトンとこの街を走る一番古い車両が音を立てながら走る。壁の色も褪せていてレトロな雰囲気を醸し出している。


そして隣では水色のワンピースを来て、ヘッドホンをし、眼鏡をかけた紗月が真剣な面持ちで文庫本を読んでいた。


眼鏡も相まって有香里とは違った意味で可愛いし、美人に見える。


俺には絶対釣り合わないよなーと思いながらも隣に座っている。と言うか隣しか空いてなかったのだ。


そして紗月も内心は冷静では無かった


私、仲川紗月はもの凄くドキドキしていた。と言うのも隣、肩が当たるくらい近くに春馬が居るのだ


ドキドキしないはずが無かった


私はドキドキしているのを春馬に気づかれない

ように本に集中する。


集中……集中したいけどドキドキして全く集中出来ない…。


そうこうしていると電車がスピードを緩め始めた


『まもなく終点です。お忘れ物内容にご注意ください』


自動放送の女性ボイスが流れて電車がホームをゆっくり曲がっていく


ホームに電車が止まった所で私と春馬は電車を降りた



「で、まずは何処へ行くんだよ?」


「んーそこかな」


紗月が指したのは駅からペデストリアンデッキを渡ってすぐの所にある商業施設だった。


俺達はペデストリアンデッキを歩いていく。真ん中には花壇とその中心に京都タワーのような見た目をした謎のオブジェがそびえ立っていて、下の道には「瞳 (みつめる)」と言う小杉三朗さんと言う方の作った彫刻の像が立っていて平和のシンボルらしい。


そこから俺達は商業施設に入る。名前はラソラと言うらしい。中はレンガ調の壁が特徴的で真ん中には大きな吹き抜けがあり、まるで一つの街のような見た目になっている。


「上から見ていこ」


「そうだな」


俺は紗月に付いていく形でエスカレーターに乗って、一番上まで上がった


最初に紗月が行ったのはやはり本屋だった。


どうやら何か新しい本が出るらしい。


その後も100円ショップに行ったり、服屋に行ったりした。


「これ、どうかな?」


紗月が服を自分に合わせて聞いてくる。


「おう、凄く似合ってると思うぞ」


「そ、そうかな///」


紗月が嬉しそうに、どこか照れたように頰を赤くする。


うん。照れてる紗月も可愛いな。

じゃなくて!


てか有香里や花梨の時も思ったが一緒に服を選んだりするのってなんか彼氏ぽいよな。


まぁ彼氏じゃないけど。


紗月の彼氏……か


ふいに自分が紗月の彼氏になった様子を想像する


ううん!俺なんかじゃ釣り合わないだろ


「どうかした?」


紗月が不思議そうにこちらを見ている


「い、いや何でもない!」


(お前の彼氏を想像してたなんて言えない……)



私は選んだ服をレジに持っていくと後から春馬もやってくる。


「はい、1点で850円です」


私はお財布を取り出す


「あっえーとそちらの方は彼氏さん、ですかね?」


「えっ」


「いやっ」


「えーと、違います」


私はもの凄く顔が熱くなりながら言う


「失礼しました」


私はお支払いを済ませるとお店を後にした


(春馬が……彼氏)


紗月は春馬が彼氏ならと想像する


(大丈夫か?)


春馬が聞いてくる


プシューと音がしそうなくらいに頭から湯気を出しながら言う


「大丈夫」


(春馬が彼氏だったらなんて想像してたとは恥ずかしすぎて言えない)


こうして二人で同じような事をしているのであった


お昼は地下一階に入っているサイゼリアで済ませた


そして俺と紗月は同じ地下一階に入っているゲーセンに寄った。


そしてこのゲーセンで1時間以上居ることになるとは思っても見なかった。


クレーンゲームのコーナーを見ていると紗月が足早に近寄っていく。


そこには可愛い熊ぬいぐるみのキャッチャーがあった。


「やっていい?」


「あぁいいぞ」


すると紗月は自分の財布から200円を取り出すと入れる。


そのままの勢いでアームを調整すると決定ボタンを押す。


ウィーンとアームが下がり熊のぬいぐるみを持ち上げた……が一番上に来たがブルンと揺れて落ちる


紗月は負けじともう一回200円を入れて始める


と、ここからは割愛するが紗月は30分以上クレーンゲームと格闘していた。


そして30分とちょっと経った頃、紗月の動きが止まる。


どうやら財布と相談しているようだ。


俺はちょっと迷った後、自分の財布から1000円札を取り出すと紗月に差し出す


「良いの?」


紗月は申し訳無さそうにする


俺は頷くと言う


「あぁこの人形が欲しいんだろ。俺も手伝うから取れるまでやれよ」


「うん」


紗月は嬉しそうに頷くと、両替機に向かっていく


その後は俺が『もう少し後ろじゃないか?』とかサポートをしながら試行錯誤し続けた。


そして2000円が尽きようかとした時だった


ぬいぐるみを持ち上げたアームがブルンと震える……もそのまま落ちずに横に動いて、ゴトン!と音を立てて取り出し口に落ちる


「やった」


紗月が嬉しそうにこちらを見る


「やったな!」


俺はつい明るく返事する


紗月は取り出したぬいぐるみを抱えると


「うん。春馬のおかげ」


「いや、俺は少し手伝っただけだし…」


「ううん。春馬が居たから」


紗月が小悪魔な微笑みをこちらに向ける


うーん。そこまで言われると照れる


「まぁならどういたしまして」


俺は紗月の頭を撫でる


紗月の顔がゆでダコのように真っ赤になる



俺は駅に歩きながら紗月に言う


「お金、返さなくていいからな」


「良いの?」


俺は頰をかきながら言う


「あぁ、お前の笑顔が見れたからな」


夕日のせいなのか紗月の顔がほんのり赤く見えた




最後までお読み頂きありがとうございます

今回は番外編として家庭教師のお礼の紗月バージョンでした。有香里に近い部分もあったかと思います

あとクレーンゲームの話は実話でちょうどこの話を執筆し始めた昨日、クレーンゲームで一つ取れたのでその時の事を元に書いてみました!

次回は前話の続きの予定です。お楽しみに!

明日はドリームアナザーワールドを更新予定です

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