学園祭周りと気付き
学園祭を通じて多緒の気持ちはどう変わるのでしょうか!?
「そこセリフ違うぞ」
「ごめん」
俺は演劇部の先輩に何回目か分からないが謝る。
「春馬君大丈夫?」
俺は苦笑しながら
「大丈夫。セリフを覚えるのが苦手なだけだから」
「へぇ、始めて聞いた」
「あれ、言ってなかったけ」
「うん。と言うかよくそれでやるって言えたね…」
多緒は苦笑気味に言う。
そう俺は勉強が苦手だ。授業で言われた事を覚えられない。
つまり言われた事や書いてあることを覚えるのが苦手なのだ。
「ハハハ」
俺も苦笑いになる。
こうして前日のリハーサルを終えた
教室に戻ると装飾も大詰めまで来ていた。
壁には風船が貼られ黒板にもイラストが描かれてる。女子の絵心ってすげぇ。
そんな感じにある程度準備の終わった教室を見ていると…
パン!
急に大きな音がして見ると風船を割ったらしい
何やってんだと苦笑しつつ教室を後にする。
廊下には「北国祭」と言う文字とイラストの描かれたチラシも貼ってある。
こうして学園祭は本番を迎えた。
「ではこれより学園祭の始めることを宣言します」
「おおお」
スピーカーからの声に周りから歓声が上がる
そんな中俺は
「眠い」
と目を擦っていた。
昨晩、半ば徹夜でセリフを暗記したのだ。
そんなこんなで学園祭が始まった
俺は最初に自分のクラスの手伝いをした。
今日は劇に出る関係で午前のシフトにしてもらったのだ。
「こっちお願いします」
「はーい」
クラスの女子や四人がメイド服姿で接客をしている。
なんだかんだ言ってもアイツら四人のメイド姿も中々似合っていた
ちなみにクラスTシャツは黒なのでメイド服と同化してあまり目立たない。ただ俺達男子はクラスTシャツだけなので目立っている。
「こっちもお願いしまーす」
開始から1時間が経ってメイド喫茶は大盛況となっていた。
俺は応援として頼まれた物を運んだりしていた。
「はい。どうぞ」
俺は机にカップを置く。
その時視界の端で花梨が足を絡ませて転びそうになっている事に気づいた。
気付くと体が先に動いていた。
「大丈夫か?」
片手で花梨の肩を押さえ、もう片手でお盆を支える。
「え、ええ大丈夫よ」
花梨は顔を真っ赤にして俯いている
「ま、頑張れよ」
俺はバックヤードに戻る。
そしてこれ以降は有香里が盛大に転けて運んでたものをぶちまけた事以外はハプニングも無く午前の手伝いを終えた。
◯◯◯
「ロミオ!」
「ジュリエット!」
私、仲川花梨は紗月は春馬達の演劇を観に来ていた。
「急遽の代役にしては上手い」
「そ、そうね」
私、仲川多緒は演劇が終わって春馬君と並んで廊下を歩きながら考えていた。
(劇をしてた時、春馬君に凄くドキドキしてしまったのはなぜでしょうか)
(演技が上手かったから……?)
(いや、違う気がします。だとしたら恋……)
すると
「ふぁ疲れたー」
春馬君は体を伸ばしながら言う。
「ですね。でもセリフちゃんと言えてましたよ」
「そりゃあほぼ徹夜で台本読みこんだからな」
「えっ大丈夫なんですか?」
私は思わず心配になって聞く
「うん。かなり眠いけど…」
「いや本当に大丈夫ですか?」
「ハハハ」
春馬君は苦笑していた。
それから私と春馬はしばらく色々な出し物を見て周った。各クラスだけじゃなくて、色んな部活もやってて学校であることを忘れそうなくらい楽しかった。
あれから他の三人には先に帰ってもらって私と春馬は委員長と副委員長の仕事だけ終えてから帰った。
家から少し離れた公園まで帰ってきた所で春馬が
「ちょっと休ませてくれ」
と入口近くのベンチに腰を下ろす
「大丈夫ですか?」
「大丈夫。大丈夫だけど流石にキツくてな」
「ちょっと休んでから帰りましょうか」
私は春馬が休んでいる間に公園を見渡す。
公園は鉄棒や滑り台、シーソー、ブランコがあって、端には公衆トイレもあるこの街の中でも大きい方の公園だ。
私は後ろを見る。後にはかなり大きなため池がある。ただ水位がかなり下がっているようにも見える
私は視線を戻して遠い目で鉄棒を見つめる。
私が小学校に入りたての頃に四人で鉄棒をして、私は思いっきり頭を棒に打って泣いたのを覚えている(※実話)
「お母ーさん」
「よしよし多緒、痛かったね」
「痛いの痛いの飛んでいけー」
あの時のお母さんの事は今でも鮮明に覚えている。
それから1年ほどしてお母さんは亡くなってしまった。
ズルズル
「えっ」
私が視線を春馬に戻すと春馬は私の膝に頭を乗せて寝ていた。
またもの凄くドキドキしている。劇の時と同じ。
(やっぱり……)
私は左右を見て誰も居ないのを確かめると私は寝ている春馬の唇にキスをした。
私は口を離すと
「私はあなたを好きになってしまったみたいです」
「春馬はあの時のお母さんと同じくらいに私の大事な人です」
「今はこのような形でしか言えませんが、いつかは面と向かって言えるように、私頑張ります」
「お母さん…」
あの時のようにお母さんは私を見ていてくれている。
私はそう信じていた。
あの後私はなんとか逆上がりを成功するが出来た。
だから
「今度はお母さんが居なくても成功させてみせます」
最後までお読み頂きありがとうございます
今回は学園祭1日目と放課後の話です。ついに多緒も自分の恋心に気付きました。これで四人とも春馬を好きだと自覚しましたが最後に付き合えるのは四人ともなのか!?それとも一人だけなのか!?最後まであとどれくらい続くかはまだ決めてませんがよろしくお願いします。さらに本作が1200pvを突破いたしました!本当にありがとうございます。
次回もお楽しみに!




