四つ子料理対決!
四人のうち誰の料理が一番美味しい?
春馬は決められるのか?
俺は何故だがめちゃくちゃお腹いっぱいになっていた。
それもそのはず4人の作った料理を全部食べたからだ。なぜそうなったのかと言うと
「料理で勝負よ!」
急に突拍子もなく言い出す花梨。
「うん。望むところ」
とやる気満々の紗月。いや乗るな!
「私もやりたいー」
と有香里。
「ならば私もやらない手はありませんね」
とタ緒。
すると花梨は満足そうに四人を見ると
「それじゃ四人で同じ物を作りましょ。オムライスとか。」
「誰が勝敗を決めるの?」
さっきまで黙っていた有香里が言う。花梨は少し考えてから
「そうね〜春馬、私達四人の料理を食べて誰が一番か決めてちょうだい」
と俺に頼んできた。
責任重大じゃねぇーかと心の中でツッコミつつ
「分かったよ。」
と返事した。そうしないと話が進みそうになかったからだ。
四人はじゃんけんで順番を決めて、よし!と気合いを入れると各々準備を始める。
まずトップバッターは紗月のようだ。紗月はいつもの長い髪をポニーテールにして邪魔にならないようにしている。それもそれで可愛いし美人に見える。
ゴホン。それから紗月はテキパキと料理をしていた。
四つ子料理対決!~紗月の場合~
私は髪をポニーテールにして邪魔にならないようにしてから料理を始めた。
一応料理本も興味本位だが読んだことがあったので特に戸惑うこと無くテキパキと進めていく。
軽く炒めたお肉とピーマンなどの上からご飯を入れて軽く炒め、炒めながらケチャップと鶏ガラスープの素や塩コショウを入れて炒める。
最後にある程度炒めたら隠し味にウスターソースを入れてみる。
それから直ぐにケチャップライスは出来た。
次が一番大変な薄焼き卵だ。流石にお店みたいなのは無理なので上からかけるだけだがそれでも家庭の味って感じがして私は良いと思っている。
私は塩を軽くふってボウルで溶いた卵を流し込むと火加減を調整しながら伸ばしていく。
ある程度焼けたらケチャップライスに乗せる。
「完成」
私はかなり上手くできて内心では凄く嬉しかった
四つ子料理対決!~花梨の場合~
私はこの四人の中で一番料理が上手いと思っている
紗月があそこまで上手く作るのは想定外だった
そんなことは気にせず私は手際よく材料を取り出すと準備を進めていく。
ただ内心ではかなりドキドキしていた。それもそのはずで今から作るオムライスは、春馬に食べてもらえるのだ。
だから失敗する訳にはいかない。
それから私も難なくケチャップライスを作り終わり、薄焼き卵を作る。
溶いた卵をフライパンに流し広げる。ここまでは紗月と同じだが私は少し火を強めた。
ある程度焼いたらケチャップライスにさっと乗せる。
「出来たわ」
花梨のオムライスは作り方こそ紗月と煮ているものの紗月よりも焦げがある感じでこれまた美味しそうに仕上がっていた。
四つ子料理対決!~有香里の場合~
結論から言います。私は…散々でした
ケチャップライスは少し焦げ、卵は1回割るのに失敗して手がベトベトになり、さらに何とか焼いても何回あっつい!と言ったか分かりませんし、力の入れ過ぎなのか破れまくって試行錯誤した結果。
出来たのは黒ぽく穴が空きすぎてボロボロになってしまったオムライスでした
私はそこに穴があったら入りたいと思いました
四つ子料理対決!~多緒の場合~
作る過程はほぼ変わらないので割愛しますが出来自体は普通でした。多少卵が破れた部分はありますがそれを除けば上出来だと自分では思います
ただ一番大事なのは春馬君がどう思うか、なんです
俺は目の前の四つのオムライスを見る。
匂いはすべて美味しそうだし、見た目も有香里の違いは普通に良く出来ている。
ただ有香里のは…
なんと言えば良いだろう、偶にアニメや漫画で見るような良くある失敗の典型例のような感じだ。
俺はひとまず一口づつ食べる事にした。
まず有香里のから。有香里のは見た目こそ焦げていても味は普通に美味しい。卵の塩が濃いめなのもむしろ美味しかった。
次に紗月の作ったオムライス
うん。さっきの有香里のも美味しいけど、ちゃんと調整された味付けがまた上手い
花梨のも紗月のと似た感じだったけどやはり普段から料理してるおかげもあってかよりキッチリした味付けだなと思う。それに少し焦げた部分があるのも良かった。
多緒も普通に美味しかった。ただ少し薄めだった気がする
「で、どうなの?」
と花梨が痺れを切らしてか顔を近づけて聞いてくる
。
俺は正直に言った。
「一番は花梨と紗月どっちもかな」
「「ええぇっ」」
いや、そこまで驚かなくても…と思いつつ俺は続けた。
「それに有香里や多緒のも美味しかった」
「私達」
「のも」
と有香里から多緒が引き継いで言う。
俺は一番言いたかった事を言った
「けど、」
「けど?」
四人が一緒に言う。
「四人共美味しかったぜ」
「「ええぇ」」
「何よそれ?」
花梨が不貞腐れたように言う
「まぁまぁ花梨、それだけみんな一生懸命作ってたってことだ」
俺は顔には出さなかったが内心は凄く恥ずかしかった。
最近有香里に借りて読んでいる五つ子の漫画でも料理対決をすると言うシーンがあった。あの時の主人公も同じ気持ちだったのだろうか。
こうして四つ子料理対決は無事幕を下ろした
花梨の気付いたこと
「あんなあんなに料理下手じゃなかったわよね有香里」
私は有香里の部屋で聞いてみた。
有香里は目を泳がせながら
「そ、そうかな?」
私は少し強めに言う
「明らかにそうでしょ!あそこまで酷くは無かったはずよ」
すると有香里は覚悟を決めたように言う。
「花梨も感じてたんだ。自分でもなんか変だなって感じてたんだよ」
有香里はそこまで言うと窓の方を向いてぼんやりと空を眺めながら言う。
「なんか、ドキドキしちゃって空回りしてたって言うか。とにかく本調子じゃ無かったんだよね」
「それってあんたもアイツの事…」
有香里はこちらに向き直ると
「そうかも。それに…」
「それに、昔にも春馬と会ったことがあるような気がするんだよね」
私はある日の事を思い出していた。
たしかあの日は紗月が道に迷って男の子と帰ってきて…その子と三人で遊んだような…
私は気付く。あの時遊んだのが春まで隣で一緒に遊んだのが有香里だとしたら!?
私は少し歩くと振り向く
「と言う事は私とあなたは恋のライバルと言うことかしら」
有香里は少しさみしそうに言う
「たぶん、たぶんだけど私と花梨だけじゃなくて紗月や多緒も、春馬の事好きなんだろうし」
「春馬を……春馬を"四等分"出来たらいいのにね」
私は呆れながら言う。
「はぁ、なーに言ってんの。そんな事出来るわけ無いじゃない」
私はこうなることも分かっていた。でも……私は春馬を独り占めしたい。姉妹の関係が悪くなってでも。
私は有香里の部屋を出て自分の部屋へと戻る。少し古い床がギシギシとしなる音がする。
すると角から出てきた"人"にぶつかって尻もちをつく。
「いっててて、もう!どこ見てんの……」
目の前で頭を掻いていたのは春馬だった。
「春馬は大丈夫?」
私はさっきまでの態度とは変わって優しめに聞く。
「あぁ、大丈夫だ。俺こそ悪い。」
と言いながら立ち上がる。
私と春馬は部屋へと歩いていた。
私は春馬を見上げる。
やっぱり春馬の事が好きだ。そしてお母さんに言われた通り春馬を卒業させなければならない。
「卒業、させてやるわよ……」
「えっ、」
「だから!私があんたを卒業させてやるって言ってんの」
春馬は驚いたように目を見開きながら言う
「お、おう。ありがとな」
私は前に向き直ると
「絶対、他の三人には渡さない!」
と心の中で思った
俺、上条春馬は何時ものように学校に来て教室に向かっていた。
すると廊下がなにやら騒がしい
俺は近づいてみる。どうやらみんなボードに貼られた壁新聞を見ていたらしい。
壁新聞の見出しにはこう書かれていた
『3組の委員長、上条春馬が四股?』
「は」
「どうですか?私の新聞部の初新聞は」
その声は新聞部部長の立花百合音だった
「これはどういう事だ!?」
立花は自信ありげに言う
「昨日見ちゃいましたのあなたがクラスの女子四人と一緒に同じ"家"に帰るのをね」
「うぐ」
俺は何も言えなくなっていた
今回も最後までお読み頂きありがとうございます!
1日早く投稿出来ました。
今回の話で登場したオムライスのレシピは筆者の母親の作り方をベースにしています。たぶんおいしくできるはずです。そして最後には恋のライバルがさらに増えました!四人ともがライバルになるのか?
次回は明日の予定です




