四つ子の家庭教師
おはよう·こんにちは·こんばんわ、糸田です。
今回は異世界は関係ない四つ子姉妹のハーレムラブコメです。
俺、上条春馬は夏休みも最終日の日暮れのクソ熱い時間にある一軒家の前に立っていた。
表札には仲川と書かれている。
俺はこれからこの家に居候する事になる。
何故そんな事になったのかと言うと半年前に遡る。半年前、母親が亡くなった。足の癌だったらしい。
そしてうちは元々夫婦共働きで母が亡くなったのもあり、父親の稼ぎだけでは俺と自分の二人分を養えない事もあり、父親は俺を一人では育てきれないと親戚に預けようとした。
ただ既に子供がいたりで直ぐには決まらなかった。そして俺は全く勉強ができずテストの点も赤点ギリギリが赤点だった。
そんな時ある親戚が俺を引き取ると名乗り出てくれた。
それは俺も良く会っていたおじさんだった。
おじさんは元高校教師で今は個人で塾をやっていると聞いたことがあった。
どうやら父には引き取る。勉強を教えようと言ってきたらしい。
と言う訳で俺は今ここに居た。
すると俺とは反対側から歩いてきた""ツインテール"が特徴的な女の子が玄関の前で腕を組み、訝しそうにこちらを見ている。
「ちょっとあんた誰?」
「うちになんか用?」
「あ、えーとそのー」
俺はあまりの剣幕にコミュ障を発症し、おどおどしながら言葉を探す
「その、何でもないです……」
「そう」
女の子はそのまま家に入っていく
(ふぅ)
(って、今日から居候させてもらう物ですって言えば良かっただけじゃん)
(俺のバカ……)
(仕方ないか)
俺は凄く緊張しながらインターホンを押す。
もしかしたらさっきの子が出るかもかもしれない。そう考えると暑さに緊張も相まって汗が背中をじとじとと流れる
「はーい!誰ですかー?」
とさっきの子とは違い高めの可愛らしい声がする。
俺はぎょとした。
それも当然でおじさんとさっきの子以外が出るのは想定外だったのだ。
俺は再びコミュ症を発症しながら「は、はい。今日から居候する上条ですけど…」
「あ、えーとお父さん、居候するって子が来てるけど」
と言うとおじさんに変わったらしく
「春馬が入りなさい」
とおじさんの声がする。
俺は元気良く
「はい!」
と言うと戸を開けた。
少し狭い居間に机を囲んで6人居た。
そのうち1人は俺、そしてもう一人はおじさんだ。
あとの四人はおじさんの実の娘らしい。
さらに今日来てから知ったがどうやら四つ子らしい。いつもはおじさんが家に来てたし本人も言わなかったから知らなかったけど。
(さっきの子は四つ子の一人だったのか)
さっきの子だけがこちらに目を向けている
(明らかにさっきのせいで警戒されてる気が……)
そして俺に勉強を教えてくれるのは教師を目指していると言うこの四人らしい。
にしても家庭教師がこんな同い年の女子4人って……。
まぁ、おじさんに似てか顔も整っていて可愛いが。
すると花梨が
「何でこんな奴に教えないといけないのよ!」
と明らかに嫌そうに言う。
(明らかにさっきのせいだよね)
おじさんは花梨の方を見ると
「花梨、まずは教える練習をせんと教師にはなれんぞ。」
と厳しく言う
「それにこれで塾の後継ぎも出来るしな」
「「「ええっ」」」
四人が顔を赤くする
「つまりそれって……」
「私達の誰かが春馬さんと結婚するって事でふよね……」
四人が驚きの目でこちらを見ている
俺はおじさんが俺を引き取ると言った理由が予想出来た。
恐らくあいつら四人の練習台になって塾の後を継いでもらおうと言う事だろう。
俺は「後継ぎなんて聞いてません!てか勉強出来ない人が塾を継いでどうしろっていうんですか?」
おじさんは考える顔をした後言う
「でも今の状態じゃあ高校を卒業する事すら厳しいぞ。」
俺は
「うぅ。」
と言葉を失う。
確かに勉強を教えてもらわないと卒業すら出来ないかもしれない。
俺は覚悟を決めていった。
後を継ぎますからお願いします!と勢い良く土下座した。
こうして俺は四つ子家庭教師に勉強を教えてもらうことになった。
「じゃあここで自己紹介しとかない?」
うさみみリボンと長い髪が特徴の子が提案する
「自己紹介ですか」
反対端に座る子が納得したように言う
「まずは私から」
「私は仲川有香里、得意な科目は数学!あと走ったりするのも得意だよ」
有香里は明るくて体型もスラッとしていて運動も出来そうだ。ただこう見ると意外と背が低い。
他の三人よりも低いのではないかと思う
「次、花梨だよ」
「なんで、私がアイツなんかに自己紹介しないといけないのよ」
「まぁまぁそう言わずに……」
有香里が苦笑しながらもなだめている
「仕方ないわね」
「私、仲川花梨、得意な科目は社会よ、あと英語もできるわ」
有香里よりもシンプルな自己紹介だがしてくれるだけ良いだろう。花梨はなんとなくツンデレにも見える。まぁデレがあるかは分からないが……
「次、紗月」
「あ、うん分かった」
「私、仲川紗月、得意科目は国語、読書が好き」
紗月は少し恥ずかしそうにしながらだったがなんとなくイメージ通りな気がする。読書好きなのは俺もなので仲良く出来そうだ
「最後が私ですね」
「私は仲川多緖、得意な科目は理科です」
「あとは、紗月から借りた本とか漫画とかも読みます」
「多緖は食べるのも好き」
紗月が付け足すように言う
「そうだね。昨日も…うぐぐ」
「有香里も紗月もうるさいです」
多緖が恥ずかしそうに有香里の口を塞ぐ
確かに多緖は食べるのが好きそうだ、四人の中では一番身体が大きい気がする
「ぷはぁ、自己紹介でした」
口が開かれた有香里が締めの言葉を言う
俺はこの四人と暮らせるのだろうか?
私、仲川有香里はお父さんに言われて居間に居た。
斜め前には見たことの無い男の子が座っていた
気の強いような子と言うよりは物静かで面倒見のよさそうな子だなと私は思った。
聞いた話だと春馬君と言うらしい
何故だか私は春馬君と初めて会った気がしなかった
「それにこれで塾の後継ぎも出来るしな」
私は突然の事に一瞬意味が分からなかったが
「「「ええっ」」」
私含め四人が一斉に顔を赤くした
「つまりそれって……」
多緒が信じられないと言う顔で言う
「私達の誰かが春馬さんと結婚するって事でふよね……」
私は多緒から続けるように言った
私は改めて春馬さんを見る
男感があまり無くむしろ可愛くも思えた
(意外と私、好みかも)
と思えた
俺は一番奥の部屋に案内された。
部屋は窓が一つと机があるだけで押し入れが膨らんでいる以外シンプルな部屋だ。
おじさん曰く元々俺から見ればおばさんでありあいつらの母親の部屋だったとの事。
おじさんが言うにはおばさんも足の癌で亡くなってしまったらしい。
亡くなった後この部屋は片付けてそのままのようだ。
本格的な家庭教師は新学期の始まる明日かららしい。
ほのかに美味しそうな匂いがしてきた。
そろそろ夕飯のようだ。キッチンに行くと花梨とおじさんが居た。
まぁおじさんは野菜を切ったりなどしかしてないようだが。
すると花梨がこちらの存在に気が付いたようで
「あんたの分は無いから!」
と言う。
(まだ警戒されてる……)
見かねたおじさんが
「お前の分あるからな。安心してくれ」
と苦笑する。
どうやらおじさんも花梨の性格には手を焼いているらしい。
それから俺は夕飯にカレーらしい。
それから30分と掛からず食べ終えてしまった
俺はひとまず自分の部屋で休んでいた
コンコン
「春馬、そろそろ風呂入るんだぞー」
おじさんがドア越しに声をかけてくれる
「はいー」
俺は返事をして部屋を出た
「····」
俺は言葉を失っていた
何でか、それは目の前にお風呂中の紗月が居た
濡れた素肌で顔を耳まで真っ赤にしている
「すまん!」
俺は一瞬にしてドアを閉める
(やべぇ、やってしまった)
いつもの感じで何も考えずに開けてしまったのだ
するとお風呂場のドアが半分開き、体にタオルを巻いた紗月が出てくる
「いや、本当にさっきは悪かった」
両手を擦り合わせる
「良いよ良いよ。私も居るって言わなかったのも悪かったし」
紗月がマイペースに言う
その様子はさながら可愛いと言う表現が合っているだろう
「なら良いが……着替えなくていいのか?」
すると紗月は自分がタオル一枚である事を忘れていたらしい。
紗月の顔がカァーと赤くなったかと思うと
「あ、う、うん、着替えるね」
とだけ言うとドアが閉まる
(たく、どこまでマイペースなんだ紗月は……)
俺は心の中で苦笑していた
そして俺は布団の場所が分からず困り果てていた。
(トコトコ)
と足音がして俺は戸を開ける。
「うお!?春馬さん」
有香里が自分の部屋に戻る所だったようで驚いた様子でこちらを見ていた。
俺は
「驚かせてすまん。布団の場所が分からなくてな。」
有香里は
「それならそこの押し入れの中ですよ」
とあの開けさせる気のない押し入れを指さす。
俺は
「そうか」
と言うと取っ手に手をかけて押し入れを開けようとする。
すると有香里が
「そのまま開けちゃダメですー!」
と来たが時すでに遅し。
そのまま2人して押し入れの中身の下敷きになった。
そして俺の手には明らかに触れてはいけない丸みがあった。
そして正面には有香里の真っ赤な顔があった。
唇は俺の唇スレスレまで来ていた。
と言う事はつまり有香里はこちらに正面を向けている。
となれば手の丸みはアレしかない。
めちゃくちゃドキドキしながらもとっさに離れる。
すると有香里は自分の胸を見た後、顔を真っ赤にして
「すみませんでした!」
と謝る。
俺は自分が謝ろうと思っていたから驚いた。
俺は
「有香里、どう言う事だ?」
と聞く。
すると有香里は
「ここ片付けたの私なんです…。」
俺は心の中で
(お前かよこんな入れ方したのは!)
とツッコむ。
そして俺は思わず聞く。
「お前もしかして部屋もこんななのか…?」
すると有香里は
「へへへ……見に来ますか?」
と苦笑している。
そして見に行くと当然のように"汚部屋"だった。
俺は有香里に
「今週末掃除な」
と呆れて力なく言う。
すると有香里は
「うげぇ」
と嫌そうな顔をする。
こうして俺の大変な1日が終わった。
「花梨は春馬さんの事しってたの?」
四人全員で居間に集まっていると有香里が聞いてくる。
「まぁ、知ってるっていうか玄関の前で突っ立ってたから話しかけただけ」
「それ、花梨が怖かっただけじゃ……」
「有香里なんか言ったかしらぁ」
私は有香里を睨みながら言う。
「な、何でもありません」
有香里は大げさに頭を下げる。
「でも花梨」
「何?」
「春馬さんは悪い人じゃ無いと思うよ」
有香里が何かを思い出すように言う。
「なんで分かるのよ」
「なんかそう思うだけ」
「なによそれ」
私は思わず笑う。
つられたように有香里、紗月、多緖も笑い出す。
これが私達四つ子の日常"だった"
これからお互いが"ライバル"になるなんてこの時は考えもしなかった
~翌日~
「有香里早く洗面台開けなさいよ」
「紗月、トイレまだですか?」
「待ってーもう少しで開けるから」
「私ももうちょっと待って」
「やっと開いた……って有香里濡れっぱなしじゃない!」
「ごっめん」
等々
朝から慌ただしく、言葉を借りるなら混沌と言った所だろう
特に洗面台とトイレは1つしか無い(当たり前)ので取り合いのようになっていた。
(大家族って大変なんだな……)
まぁ、これでもマシな方で"五つ子"や"十姉妹"も存在するのだから。
ドタバタしたのも束の間、まだ準備をしている"四人より先に家を出た"
俺は転校先の学校に向かっていた。
廊下を歩き言われた教室に向かう。
俺が教室のドアを開けようとした瞬間…別な手が入ってきて俺は顔を上げて振り返る。
すると…見覚えのある"四つ子"が居た。
そして全員え、と驚きの声を上げるしか無かった。
今回も最後までお読み頂きありがとうございます!
読んでいただいた方は分かったと思いますが五等分の花嫁と甘神さんちの縁結び感が強いです。書いてても感じました。ただここからはオリジナリティ満載な感じになりそうです。
今後よろしくお願いします。
今後はこれと一国のお姫様が冒険者になるを交互に書く予定です。では。また次回
追記 8/14
内容に加筆を行いました
と言うのも花梨がなぜあんたの分無いからと言うほど怒るのかが分かりにくかった為です。
追記8/21
四つ子の名前が読めないと言う意見を頂いたので少しキャラ紹介です
有香里 得意科目:数学
四つ子の中では一番勉強が苦手で片付けも苦手。
だけど勇気があって明るくて頼りになる、四人の中のお姉さん的存在でもある……が背が低く妹だと勘違いされがち
花梨 得意科目:歴史、地理、英語
四人の中で一番勉強や料理が出来るけど勝気で春馬を敵視したり、でも四人の中で一番女子力がある。だけど意外と怖がりな弱点も……
紗月 得意科目:国語
四人の中で2番目に勉強や料理が出来て、なおかつ四人の中で一番の読書好き。ちなみに眼鏡は本の読みすぎで目が悪くなったらしい。普段はおっとりしてるけど、何を考えてるか分からない時があって意外とミステリアスな所も。
多緖 得意科目:化学(理科)
四人の中で有香里の次に勉強が出来ない。だけど得意教科な理科ならだれよりも上手く教えられる。
そして四人の中で一番食欲があって、偶に春馬の分を貰うことも……だけど意外と綺麗好きで有香里とは正反対
おまけ
上条春馬
勉強が大の苦手でテストで0点は当たり前
だけど紗月と同じくらいの読書好き
でもコミュ障気味で話しかけられず友達0
だけど他人の事も良く考えられる。それもあって四人とは何とか打ち解けれてきた
以上キャラ紹介でした