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親子風呂②

「――というわけで来ちゃいました♪」

「どういうわけだよっ!!!」


【コメント】

 :草

 :いやほんとそうww

 :たっくん大混乱w

 :そりゃなんの前触れもなく風呂場に母親襲来とかワケわからんわな笑

 :というわけで(説明ゼロ)

 :フツーに災害で草


「実はさっき配信してたらたっくんのカラダの話になってね。それで私も久々にたっくんの成長ぶりを見たいな~って……うふっ」

「いやうふっじゃないが!? だからって息子の風呂に凸するかフツー!? しかもガチでいきなりだし! せめてノックぐらいしてくれよ! なにノータイムでドア開放してんの!?」

「ふふふっ……サプラーイズ♪」

「いらなっ! なにその世界一いらないサプライズ! つーか咄嗟に湯船にダイブして逃げ込めたからいいけど股間とか見えたらどうすんだよ!? 今めっちゃ危なかったぞ!?」

「見せたっていい……いえ、むしろ見せるべき」

「なんでだよ! アホかっ!」


【コメント】

 :草

 :見せたっていいwww

 :よくないよくないw


「え、てか気のせいじゃなければなんかほんのり顔赤いけどもしやお酒飲んでる……?」

「うん、今日は飲酒雑談だったから。いえ~い///」

「いやだからいえ~いじゃないって」


 なるほど、それでさっきから妙なテンションなのか。

 どうりで目も若干トロンとしてると思った。


「え、ていうか状況はだいたいわかったけどさ。それならそもそも風呂上がりでよくない? 要するに俺の成長具合を確認したかったってことでしょ? なんでわざわざ風呂場まで入ってくるのさ」

「あ~……たしかに言われてみればそうよね。ごめんね、雑談のテンションでつい勢いで……」

「……まったく」


 やれやれ母さんにも困ったもんだ。ちょっと考えればわかることだろうに……これだからお酒ってやつはこわいぜ。

 とはいえ思いのほかすんなり理解してくれたようでなによりだ。ワンチャンアルコールの影響でまた暴走されたらどうしようかと思ったが、どうやらそうはならなそうだ。

 さて、あとはとっととこのままお引き取り願おう――。


「よーし。じゃあ私も――」

「うぉおおおおい!!」


 おもむろに服を脱ぎ始める母さん。

 俺はぎょっとしながら叫んだ。


「ちょっ、いやいやなにしてんの!!?」

「え? なにって……脱衣?」

「いやキョトンじゃないし! なんでそんな『当然ですが?』みたいなテンションなの!? おかしいだろ!」

「え~いいじゃない。せっかくこうしてバッタリお風呂場で出会ったんだもの。たまには親子水入らずも悪くないでしょ?」

「悪いよ! つーか全然バッタリじゃないじゃん! めちゃくちゃ自分から飛び込んできたじゃん! 偶然どころか確信犯でしょーが!」

「だってたっくん、普段ならこういうの絶対ダメって言いそうだし。今なら配信中だしネタの一環として流れで押し通せるかな~って」

「そんなわけないだろ! どんな理屈だよ! むしろ配信中とか余計ダメだわ!」


【コメント】

 :草

 :さすがまーたん

 :ネタの一環ww

 :どう考えてもネタの範疇飛び越えてて草

 :まーたんの脱衣……(ハァハァ)


「あの、というかマジで帰ってくれませんかね……? ないから……このトシで親子でいっしょに風呂とか。常識的に」

「その常識を……壊したい!」

「壊すなっ! やめろっ!」


【コメント】

 :www

 :かっけぇ・・

 :ちょっと名ゼリフっぽかったw

 :迫真で草

 :さすがっすママミさん!


「まあまあ冗談はこれくらいにして……ねぇたっくん、でも真剣にお願い。ママここで帰ったらただ息子のおフロ覗きに来ただけの変な母親になっちゃうの」

「いや実際そうだと思うけど……」

「ね、だからママを助けると思って。それにほら、いっしょにと言ってもママは脱がないようにするから。あくまで服を着たままたっくんのカラダを洗うだけ。これならいいでしょ?」

「う~ん……そうは言っても俺としてはこのトシで母親に裸を見られるって時点でかなり恥ずかしいんだけど……」

「だいじょーぶ。そこもちゃんと配慮する。洗うのはたっくんの背中側からで、ゼッタイ前は見ないようにするから」

「……ほんとに? それ終わったらすぐ帰る?」

「ほんとほんと。ちょっと洗ってサァーッと流して、そしたらピューッと帰るから。ね、だからママを信じて」

「あ、そう……」


 ならまあ……ギリいいか?

 いやしかしそれにしたって尚もだいぶおかしな状況な気がするけど……。

 ただこうなった以上母さんだってもはや引き下がる気はなさそうだし、これ以上こんなわけのわからんハナシでこじれるのも……仕方ない、ここは俺も妥協するか。


「まあ……そういうことなら」

「やったぁ~♪ これでママもただの変態覗き犯から息子を労わる健全な母親にランクアップだぁ~♪」


【コメント】

 :よかったねまーたん

 :交渉成立

 :お風呂タイムきちゃああ

 :ただの変態覗き犯てw

 :息子のフロに鍵開けて入ってきた時点で変質者のレッテルは剥がれないと思うが

 :健全な母親とは?


「はぁ……」


 やれやれどうしてこんなことになってしまったのやら……。

 まあでも助かった。落としどころとしてはかろうじて無難なところに落ち着けたのは不幸中の幸いだ。

 もともとVTuberだから実際にカラダは映らないとはいえ、さすがに親子そろって裸とかありえないからな。

 はたして健全かどうかは知らんが、ただ背中を流す音だけの配信ならレーティング的にもセーフだろ。



 ――と、このときの俺はそう思っていた。


 だが結論から言っておこう。

 今にして振り返れば、俺のこの考えは完全に浅はかと言わざるを得なかった。



「は~い、じゃあまずはここに座って~」

「あ、うん……」


 股間をタオルで隠しながらお風呂用のイスに腰かける俺。

 ドキドキと心臓が震える。

 なんというか未成年ゆえに当然ながら行ったことはないのだが、どことなくそういうお店に来ちゃった感がすごい。

 おかしいな、慣れ親しんだ自分ちの風呂のはずなのに……。


「うん、そしたら背中にボディソープをたらしていくね」


 背後に回った母さんが俺の背中にボディソープを垂らす。

 ああ、ついに始まってしまう……。


「んっ……」

「あ、ごめん。冷たかった?」

「ああいや平気。なんか背中に直接ボディソープ垂らすとかなにげに初めての感覚だからちょっとビックリしただけ……」

「あーたしかにそうよね。フツーは自分の手で塗るものだもんね」


 話しながらもツゥーッと背筋をつたっていくボディソープ。

 なんだかこの時点でもう指先で背筋を撫でられるようだ。


「じゃあ今度はこの垂らしたボディソープを泡立てていきまーす。最初は円を描くようにゆーっくりと背中全体になじませるようにね」


 言いながら母さんが俺の背中を優しい手つきで撫でまわしていく。

 やってることは本当にただ洗ってるだけ。行為だけなら問題はない。


 ただ――。


「んっ……んっ……」

「…………」

「んっ……んっ……」

「…………」


 ……ちょ、なんすかこれ? なんかさっきから声がアレなんですけど。

 いや一生懸命やってくれてるのは分かるけどあきらかに声だけ聴くとテイストが違うって言うか……。


【コメント】

 :おぉう

 :声えっっっっっ

 :おいこれ大丈夫か?ww

 :センシティブすぎるw

 :いいぞ!もっとやれ!(けしからん!早くやめたまえ!)

 :↑逆逆ぅー!

 :すごい・・・

 :おっほぉ

 :ドキドキ///

 :あ~(ワイの股〇が)ぴょんぴょんするんじゃ~……

 :こんなんほぼD〇siteだろ

 :お願いします運営さん!このシチュエーションのASMRボイス待ってます!

 :なぁこのコメント欄にいるやつらなんか全員前屈みじゃね??


 俺と同じく母さんの吐息混じりの艶めかしい声に沸き立つリスナーたち。

 そのテンションの湿度はさながら風呂場の蒸気のごとく高かった。


「そういえば、たっくんっていっつもどこから洗うの?」

「え」

「カラダ。最初はどこからかな~って」

「あ、ああ……」


 いかんいかん、ついボーっとしてしまった……。


「まーやっぱ頭からかな。その方が効率的だし」


【コメント】

 :お、いっしょや

 :同じく

 :効率的ってどの辺が?


「どの辺? そりゃまあ単純にっていうか。下から洗うと最後に頭洗ったときに結局またシャンプーの泡が落ちてきますし二度手間感があるからですかね」


【コメント】

 :下?

 :下・・・ね

 :下っていったいどこのことですか!?もっと具体的に教えてください!!


「いや下ってそういうんじゃないですから。ちょっ、やめてください妙な隠語っぽくするの。フツーに首から下のシタですよ」


【コメント】

 :草

 :wwww

 :さーせんw

 :・・・でもほんとうは?


「だから本当もクソもないですって! なんですかその念押し! まるで俺が特定の部位を指して言ったみたいになっちゃうじゃないですか!」

「うふふ、落ち着いてたっくん。ママはちゃ~んとたっくんの言いたいこと全部わかってたから」

「あーうん……それはまたどうも??」

「それで? じゃあ実際おチン〇ンはいつ洗うの?」

「おぃいいい! そこはせめて隠語を用いろよ!!!」


【コメント】

 :wwwwww

 :wwww

 :ダイレクトアタックで草

 :なんのためらいもなくw

 :おい配信やぞww

 :まーたんさぁ・・(笑)

 :ちなみに頭から洗う人って天才肌らしいよ


「え、そうなんですか?」


【コメント】

 :へ~

 :初耳

 :知らなかった

 :マジか。むしろなんとなく努力家っぽいと思ってたわ

 :俺はおっちょこちょいなタイプってどっかで見たけど


「えぇ……なんか情報が錯そうしてるんですけど。なにが真実なんですかね?」


【コメント】

 :頭から洗う人はマザコンだよ


「なんでだよ! よりにもよってピンポイントすぎるでしょ!?」

「あら~///」

「いやあら~じゃないあら~じゃない! やめてまんざらでもない雰囲気出すの! 違うから! てか今なにげに俺以外にも頭から洗うってコメントした人ケッコーいたでしょ! その人らはどうなるんですか!」


【コメント】

 :マザコンだからまーたんのファンになったんやで


「あー……」


 すごい、かつてないほど納得した。



続きは6/24(火)の予定です


先に言っておくと若干アウト寄りな回になりそうなので今のうち謝っておきます!ごめんなさい!(レーティング的には全然セーフだと思うんですが……)

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視聴者層を考えたら否定できないコメントで草
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