高貴なる同期コラボ④
そんなこんなでなおも続くクイズバトル。
だが(悪い意味で)波に乗ったアランくんの勢いは止まらない。
「では次の問題はこちらでーす」
デデン!
『問題:7×7は?』
①21
②49
③-14
④77
「これは……。ふむ、なるほど普通に考えれば7と7を合わせるのだから④一択。しかしそれは実のところひっかけという線も……ならばこれだ!」
ベイビ:②49
アラン:③-14
「正解は②の49でした~」
「くっ、読み負けたか……!!」
「えぇ……」
【コメント】
:読み負けたww
:そういう問題じゃないw
:1番ダメなヤツ選んでる
:マイナスだけはないだろww
:へ、へへへへ陛下!!?
:たっくん若干引いてて草
『問題:太陽はどこから昇る?』
ベイビ:東
アラン:わりと下のほう
【コメント】
:下のほうww
:割とってなんだよ笑
:自信がなくてぼやかしたんやろなぁ
:そもそも方角ですらないw
『問題:以下の漢字の読み方を全部正しく答えよ』
①蜜柑
②柔道
③鮎
④牡牛座
ベイビ:①みかん ②じゅうどう ③あゆ ④おうしざ
アラン:①ミツカン ②やわらみち ③サーモン ④メスウシずわり
【コメント】
:陛下全滅で草
:ミツカンwww
:ポン酢かな?w
:この中じゃマシだけど“やわらみち”もなかなかひどい
:道グニャグニャで草
:歩きづらそうw
:サーモンはさすがにおかしいだろw
:メwスwウwシwずwわwりw
:どんな座り方やねん
:星座ですらないwww
すごい……すごいよアランくん。
事前の知識である程度ポンコツであることは知ってたけどまさかここまでとは……母さんの天然とはまた別の破天荒さをひしひしと感じる。
ただこう言っちゃなんだけど俺としては結構ありがたいんだよな。デビュー以来いっつも俺が母さんに振り回されては視聴者にいじられる流ればっかだったし、ここらで俺も多少はそういうキャラから脱却をしたいと思っていたところだ。
というわけでここはこの空気のまま突き進ませてもらう!
「はいじゃあ次は……あ、これはサービス問題ね」
デデン!
『問題:この中でたっくんがこの世で一番好きなものは?』
①ママ
②ママ
③ママ
④ママ
「おおぉいなんだこれ! なに勝手に変な問題ねじ込んでんの!? これ絶対応募されてきた問題じゃないでしょ!」
「え~なんのことかな~?」
「いやとぼけてもムダだから! てかこれアランくん全然関係ないじゃん!」
「まあまあ、サービス問題と思って」
【コメント】
:犯人モロバレで草
:ただ言わせたいだけのヤツw
:まーたんさぁ……
「4択すべて同じ答え……だと? これはいったいどういうことだ……? さては同じに見えて実は微妙に意味が違うのか……?」
「そしてこっちはこっちで状況を理解できてない!!?」
【コメント】
:どれも同じです陛下ぁ!
:なん・・・だと・・・!
:陛下なにもかも分かってなくて草
:「これはいったいどういうことだ」www
:↑こっちが言いてぇよw
:カオスすぎるwww
「うふふ、では二人とも答えをどうぞ!」
ベイビ:ノーコメント
アラン:①
「はい、アランくんせいか~い!」
「フハハハハハっ! ようやく朕の時代が来たようだな!」
【コメント】
:陛下めっちゃ勝ち誇ってて草
:清々しいほどの高笑い
:なんでこの流れでそこまで堂々と喜べるんだ……(呆れ)
「なお不正解だったたっくんは後で追試なのでママの部屋に来るように――あ、裸でね」
「えええぇなんでだよ!!?」
【コメント】
:まーたたっくんがとばっちりを受けてるww
:相手の策に乗るのを嫌って素直に答えなかったのが裏目に出たか
:でもフツーに答えてたらそれはそれでたぶん「やっぱりたっくんはママが好きなんだ!キャー!」とか言って押し倒されてた可能性
:どっちにしろたっくん詰んでて草
:これはまーたんの見事な作戦勝ち
「いやみなさん言うとる場合じゃないですから! てか部屋とか行かないから! 裸ってなんだよ! いったい何をする気なんだよ!!」
「え~なにをってそれは……ナニかなぁ?///」
「うぉおおいやめろ! どこ見て言ってんだ!!!」
【コメント】
:wwwww
:おやおや・・w
:こいつぁ派手な追試になりそうだぜ・・・
:たっくんいいなぁ
:まーたん「不正解だったのでカラダにわからせますね」
:ひゃあああ///
「ふむ、なるほど不正解ゆえの教育的指導というやつか。よかろう、そういうことならば特別にアランキングダム特性の拷問用器具をいくつか貸し与えようではないか」
「アランくん!? 違うよ!? どんな解釈してんの!?」
「え~拷問かぁ~。それはちょっとたっくんがかわいそうでママとしては気が引けちゃうかなぁ」
「そうか?」
「……でもせっかくだから借りちゃおっかな。あとでどれにするか相談させて」
「いや結局借りんのかい! 一瞬助かったと思ってホッとしたのに!!」
【コメント】
:たっくん……w
:アカン、たっくんの貞操喪失してまう!
:ここに来てのまさかの陛下からのアシスト
:教育的指導てww
:陛下ぜんぜん状況理解できてなくて草
「あ、ちなみに言うと今のが最終問題だからこれにてクイズはおしまいね。そして最後の問題だけ正解すると10億ポイントっていう特別ルールだったから、本日の勝者はアランくんで~す」
「えぇえええ!? ウソでしょ!!?」
【コメント】
:草
:草
:マジかよww
:急に誰も知らんルールきたw
:理不尽すぎるwwwwww
:畳み掛けるようにたっくんが悲惨な目にw
:強く生きろ、ベイビ
:花咲ベイビの受難
:↑涼〇ハルヒシリーズみたいで草
「フハハハハハ! これが朕のチカラだ! 思い知ったかアカよ!!」
【コメント】
:だからなんでそんな喜べるんだよwww
:ま、まあそういう純粋なとこが陛下の魅力だから……
:むしろここまで来ると才能
:皇帝陛下万歳!
:バンザーイ!
:陛下最強!陛下最強!
鳴りやまない陛下コールと万歳三唱。
ちくしょう、いったいどうしてこんなことに……まあ罰ゲームとかがなかっただけ幸いか。
そしてそうこうしているうちに配信が終了する。
最後はよく分からない終わり方だったが、こうしてアランくんとの初コラボはなんとか無事にエンディングを迎えたのだった。
――と、思っていたのだが。
「おい、ちょっと待て」
「ん?」
配信終了に伴い通話を切ろうとしたところでアランくんに呼び止められる。
はて、いったいなんだろう?
「その……き、今日の貴様らの働きは大儀であった。ま、また次もその調子で励むがよい……!」
「え」
また次も……?
これってもしや。
「え~っと……それは俺の勘違いじゃなければ、またコラボしようねって誘ってくれてると捉えてもいいの?」
「なっ……!? か、勝手な解釈をするでないわ! 朕は王の中の王だぞ! 貴様ら庶民とは立場が違うのだ! そう簡単にコラボなどできるものか!」
「あ、そうなんだ」
「……だがまあ、貴様がどうしてもと言うなら朕も考えてやらんこともないがな///」
どことなく照れを感じるアランくんの声。
事ここに至って俺は理解した気がした。
アランくんはデビュー以来、今日までまだ誰ともコラボしたことはなかった。でもそれは決して誰かとコラボしたくなかったわけじゃなく、本当はずっとしてみたかったけど言い出せなかっただけなんじゃないかと。
そしてだからこそ、今日のコラボはアランくんにとっても実はケッコー嬉しかったのではないか……とも。
まあその辺の真相は定かじゃないし本人が本音を口にするとも思えないが、少なくとも俺はそう思った。
なので――。
「そっか。じゃあまた今度ね、アランくん」
「っ!? ……ああ、さらばだ///」
プツッと途切れる通話の音。
「あらあら。良いわね~男の子の友情って」
頬に手を当てながら俺の隣でニコニコとほほ笑む母さん。
なんだその感想……と思いつつも、俺は俺でその隣でよくわからない満足感と言うか充足感があった。
果たして次のコラボがいつになるかは分からないけど、これは次回も楽しみだ。
そんなこんなでアランくんとの初コラボは幕を閉じた。
※通話切断後
アランくん「……つ、次っていつかな?」(ソワソワ)
次回はこのせっかくのてぇてぇ空気をぶち壊す親子風呂回です
※6/17(火)更新予定